第11回バッテリーサミット報告①CBMMのDr. Marc Meads、東芝の稲垣浩貴氏
IRuniverseは2月18日、べルサール御成門タワー(東京・港)で「第11回バッテリーサミット」を開催した。国内外から13名が登壇し、最新のバッテリー・鉱物・政策動向について様々な視点で講演した。聴講者は約150人と満席で、間のコーヒーブレイクや懇親会では熱心な交流が繰り広げられた。
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総合司会はJFEケミカル株式会社の長山勝博氏、サステイナビリティ技術設計機構代表理事/(国研)物質・材料研究機構 名誉研究員の原田幸明氏、S&Pグローバル コモディティインサイツ バッテリーメタルチームリード 陳文婷(チェン・ウェンティン)氏の3人体制。前半部分は長山氏が担当した。
今回は会場を建て替え中の学士会館からべルサール御成門タワーに移した。海外からの登壇者が多く、聴講者にもこれまでにもまして国際色が強かった。主催するIRUniverseとしても代表の棚町が挨拶で「どうかなあと思ったけれど」と本音を漏らした通り新たな挑戦の部分もあったが、聴講者の白熱ムードが懸念を晴らした。
■ニオブの世界的メーカー登場、ハイパワーの車載電池を解説
CBMMのDr. Marc Meads
トップバッターに立ったのはブラジルからCBMMのAPAC事業開発マネージャー、Dr. Marc Meads。CBMMは世界シェア7割を握るニオブの世界的メーカーで、東芝と電動バス向けのニオブベース車載電池の試作で協業する。
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講演では、電動バス以外のニオブのバッテリー向け使用について解説があった。ニオブは多くが鉄鋼や超合金のコーティングに使われるが、太陽電池やリン酸鉄リチウム(LFP)電池、ニッケルベースの正極材量などの材料にも使用される。ニオブベースの車載電池はハイパワーでコストが安いのが特徴で、鉱山用重機向け車載電池などにも向く。
インフレの世情を反映して、今回のバッテリートピックスでは質疑応答ではコストに関する質問が多かった。このニオブベースの車載電池についても「新技術を使った電池はコストに見合うのか」との質問が飛んだ。Meads氏は「試作に当たっては東芝さんとも協議した。ハイパワーであることを考えると割高ではないと思う」と話した。
■東芝のリチウムイオン二次電池、チタン酸やニオブも使用
東芝の稲垣浩貴 電池事業部・技師長
続いて、そのCBMMと協業する東芝の電池事業部・技師長、稲垣浩貴氏が登壇した。同社の電池事業、特に二次電池(繰り返し使える充電式電池)の中のリチウムイオン二次電池(SCiB)について、包括的かつ詳細な説明があった。
SCiBは負極にチタン酸リチウム(LTO)を使用しており、金属リチウムの析出を抑えられることから、一般的なリチウムイオン電池(LIB)に比べ急速充電と長寿命が可能だ。既に自動車のほか、鉄道や船舶、産業機器、電力・エネルギー設備など多様な分野で用いられている。
前出のCBMMとの協業事業では、さらに次世代負極であるニオブチタン酸化物(NTO)を共同開発し、容量増加に成功した。こちらは前述のとおり試作段階にある。
この新しい材料を用いた電池の話題は会場の興味を誘った。まず「従来品との違いをより詳しく知りたい」との要望があり、負極材料に抵抗がかからないことなどが説明された。
(IR Universe Kure)
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