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エヌ・ピー・シー(6255)  25/8期決算メモ ややポジティブからややネガティブへ変更

2025/10/13 23:44
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エヌ・ピー・シー(6255)  25/8期決算メモ ややポジティブからややネガティブへ変更

 

 

25/8期は減収とMIX悪化で14.1%減収21.2%営利減、26/8期ペロブスカイト売上寄与も低採算で13.6%減収60.4%営利減予想

株価円(10/10)602円   時価総額132億円       発行済株22052千株

PER(26/8期DO予:25.6X)PBR(1.20X) 配当(26/8期予)10円  配当利回り:1.7%

 

要約

 

25/8期はファースト・ソーラー(FS)向け減収とMIX悪化で14.1%減収21.2%営利減

 10/9に25/8期決算が開示され、10/10に説明会が開催された。25/8期は、売上高92.72億円(4/10減額予想比0.22億円未達、14.1%減)、営業利益19.20億円(同0.16億円上振れ、21.2%減)と、ほぼ4/10の減額修正並みで着地した。また受注は79.16億円(8.0%減)、受注残高67.23億円(16.8%減)、生産高については52.91億円(52.2%減)に留まった。なお4/10に期初計画(中計)予想である売上高109.25億円(1.2%増)、営利20.69億円に対し売上高92.94億円、営利19.04億円に大幅減額修正している。これはFS社が工場の稼働を優先し、改造案件の発注を先延ばししたこと、トランプ政権の政策の不確実性からFSの新規案件が様子見となったこと、FAも米国での関税問題などで目標未達となったことが挙げられる。

 

 

 25/8期より、実数でのセグメント別での開示が変更となり、24/8期との対比ができないが、PV製造装置71.59億円、FA装置7.72億円、PVパネルリサイクル装置2.28億円、部品9.71億円、環境関連サービス1.41億円という内訳。PVはFSルイジアナ新工場向け、国内向けではペロブスカイト用開発装置を2社向けに売上計上した。またPVパネルリサイクル装置ではフレームJ-BOX分離装置が国内3台、海外2台、ガラス分離装置が国内、海外各1台売上となった。収益性の高い部品は下期に売上が減少し、計画を下回って微減となった。利益面では売上減に加え、高採算の部品売上の伸び悩みからMIX悪化もあり利益率が低下し2ケタ減益に。

 

 25/8期受注は実数の内訳はないが、PV装置ではペロブスカイト用量産向け大型案件の受注(売上計上は26/8下期)が下期にあり、加えて他社向けにも開発向け装置を受注した。海外ではFS向けに開発装置、パイロットラインの受注を獲得した。また既存の改造案件もあるが規模は小さく、新規PV受注が遅れている。受注残高ではFS向け新設が一服、ペロブスカイト向けが26/8下期向けで大きく残っている。

 

26/8期ペロブスカイト売上寄与も低採算、FS向けも低調で13.6%減収60.4%営利減予想 

 

 26/8期会社予想は売上高80.14億円(13.6%減)、総利益19.52億円(37.1%減)、営業利益7.60億円(60.4%減)予想と大幅減収減益予想とした。なお今回、米国関税、再エネに対する政策見直しによるFSの既存CdTePV設備投資の不確実性、またペロブスカイトPV向けでは量産設備投資の実行時期がどうなるかで大きく収益動向が変化するとして、従来の中計計画を白紙とし公表を見送ることとした。

 

 現状、FS向けのCdTe新設装置受注残が減少しており、受注残高では国内量産向けのペロブスカイトPV向け装置の受注残が多く残っている。このため、26/8期も下期偏重の売上計上となる見通し。しかもペロブスカイトPV装置は採算面で劣ること、高採算の部品売上も増えない前提としており、減収影響とMIX悪化で総利益率が9.0ポイント悪化し24.4%にとどまる見通しにある。また販管費も減収ながら研究開発費増、その他経費増で微増となる見通しから、大幅な営利減となる見通しに。

 

 

 事業別売上では具体的な数字の開示はなく、既に受注済みの国内向けペロブスカイト生産ライン向けが下期に売上計上予定。またFS向けペロブスカイト装置は開発装置の計上(パイロットプラントは27/8期に売上予想)を見込むが、CdTePV向けはルイジアナ新工場向けが26/8Q4に納入予定も、追加装置と改造、部品増加はないと見られる。PVパネルリサイクル向けでも受注済みのフレームJ-BOX分離装置、ガラス分離装置の売上計上が見込め、短納期のガラス分離装置の当期受注、売上も期待するが、寄与は小さい。

 

 

 受注予想は不確実性が高いという点で開示がなされていないが、FS向けの対応はペロブスカイトPVを含め対応するとしている。現状は25/8期微増程度が精一杯と見られる。

 

トランプ政策、ペロブスカイト量産化投資動向が不透明で中計予想を白紙に

 

 同社は従来、中計見通しとして27/8期に売上高130億円、営利26億円を目指すとしていたが、中計予想を一旦白紙とした。しかし中期的な事業方針として、FS向けの取組は継続しつつ、高付加価値な事業の柱を拡大し、利益率向上を図るとしている。イメージとしてはFS向け4:ペロブスカイト向け3:PVパネルリサイクル2:産業自動化装置ほか1という構成を目指し、恒常的に総利益率30%を確保することを目標としている。

 

 まず具体的にFS向けについてFSの業績予想と同社の取組について見ていく。2025年FS収益予想は売上高49~57億ドル(2/25予想では53~58億ドルと減額見通し)、営業利益15.3~16.7億ドル(同19.5~23億ドルと減額見通し)、出荷量16.7~19.3GW(同18~20GWとこちらも減額)予想となっている。設備投資は2026年末に25GW(米国内14GW)に達する予定。ただし追加生産能力増強はトランプ政策の関連もあり投資方針が未確定になっている。なお同社はFSに対しCdTe薄膜モジュール用ライン向け(後工程)で、ガラス/EVA/バックシート供給、自動レイアップ、バッシング/リード配線(薄膜基板上の電極接続)、真空ラミネーション(ダブルガラス対応)、フレーミング、J-Box実装などを納入している。また検査工程ではラミネート前/後レーザー検査、耐電圧試験、クラスAAAのモジュールテスター(薄膜向けパルス対応)、最終ソーティング等、を納入している。一方で、ペロブスカイト及びペロブスカイトとCdTeのタンデムの開発は前倒しの方向とのことで、追加投資やタンデム化後には既存工場の装置入れ替え・大幅改造などにも対応していく方針としているが、規模的には小さい見通し。

 

 

 ペロブスカイトPVの取組については、薄膜CdTe製造で培った実績、さらにFS向けの多くの納入実績が評価され、国内向けで25/8Q3に後工程での国内大型受注を獲得した(時期的には積水化学向けの可能性があると推測される)。さらにその他企業からの開発用装置受注も獲得している。経産省が2040年までに国内に20GW程度の導入を導入する計画を公表しており、更に継続的な受注を見込む。なお9/29に韓国のGosanTech(高性能なインクジェット技術を有し、韓国FPDメーカーのサムスン電子やLG電子にFPD製造用塗布装置やペロブスカイト向けインクジェット塗布装置の提供実績のある企業)と業務提携を発表、ペロブスカイト製造の前工程向けに米国、日本メーカー向けにインクジェット塗布装置を供給していく方針。これによりペロブスカイトPVについては前工程、後工程の両部門の受注が可能となり、さらなる受注拡大が期待される。特に米国向けではFS向けにペロブスカイト前工程で上部セルのインクジェット塗布向けなどへの受注が期待されるが、27/8期には納入できる見通しとしている。

 

 

 太陽光パネルリサイクル装置については、市場が内外で拡大中であり、今後、大きな柱となる期待をもっている。まず国内についてはパネルのガラスのリサイクルがポイントとなっている。PV(主にc-Si)のリサイクルで課題になっている点は、現状、収益の“柱”がアルミ枠・銅・銀などの高価金属で、ガラスは重量比70%を占めるものの単価が低く、運搬・前処理コストが勝ちやすく、政策や規制スキームの有無で採算が左右される点が指摘されている。しかもガラスとセル/バックシートを“きれいに”剥がす工程(脱ラミ:EVA/POEの分離)が最難関で、ここがLCA(ライフサイクルアセスメント)・エネルギー・品質に直結している。ガラスを高付加価値で戻すには混入物や有機残渣の少なさが必須で、粗い破砕では“ダウンサイクル”になりやすいなど課題が山積している。従来はモジュールについて酸素を遮断した密閉炉内で加熱し、EVA(エチレン酢酸ビニル)などの有機封止材を熱的に分解・気化させる熱分解法の採用が良いとされてきた。これはEVAが完全に分解除去されるため、回収されるガラスの表面には残留物がほとんど残らず、高い純度が確保され、ガラスは単なる骨材としてではなく、ガラス原料としての再利用(クローズドループリサイクル)の可能性が高まることにある。

 

 また、セル層に残されたシリコンウェハや貴金属(銀)もEVA残渣のない状態で回収されるため、その後の精錬処理や化学処理工程における純度確保が容易になるとしていた。しかし一方では、工程エネルギーと排ガス処理が問題となっていた。これに対しガラス分離という“最難関”工程の環境負荷を低減し得る手段とし、AGC(25年4月)、セントラル硝子(25年6月)が同社のホットナイフ方を用いて分離したカバーガラスの水平リサイクルを実現したことをリリースした。しかも同社は廃棄パネルのカバーガラスから封止材を除去する中間処理用の装置『EVA スクレーパー』を開発、2025年9月1日に発売を開始した。特殊なブラシでガラスを割らずに封止材を取り除く新たな装置を開発した。自動化で処理効率を高めつつ、不純物のない廃ガラスの供給に寄与できるため、非破損パネルが一定割合で確保でき、ガラスの高位用途(新板/高品質カレット)に流せる販路があるなら、ホットナイフ法が板で抜けるため歩留まりと単価が両立しやすく、電力・排ガスの負担も小さめで優位点が見いだせる。

 

 現在、同社の国内PVパネルリサイクル装置を導入した企業は18都道府県、22社で、ガラス分離装置12台、フレーム&J-Box分離装置20台の実績となっている。今後、2025年11月より開始するリサイクル義務化に向けた再資源化事業等高度化法(リサイクル事業者の認定制度)に基づき、広域認定を受けるために同社ユーザーが申請手続きを開始しており、ガラスを割らずに分離する方法が第一選択肢として採用されることで、更にユーザーの拡大が期待される。一方海外ではフランスが廃棄パネルリサイクルを行う組織Sorenが来期の委託先を選定する入札を行う予定で、ガラスの水平リサイクルを唯一実施(板ガラスとして再利用済みで600t以上の実績)している同社ユーザーのEnvie社の追加発注が期待される。さらに欧州では潜在顧客6~8社に対しデモ開催を予定しているほか、ギリシャや豪州、米国、台湾でも商談が進みつつあり、海外向けも拡大が見込まれる。いずれにしてもパネルリサイクル装置については国内外の法整備が進むことが前提で、収益の本格寄与は27/8期以降に期待が膨らむ。

 

 

 

 このほか、FA装置、産廃業界向け装置、環境サービスとして植物工場等があるものの、寄与は小さいと見られる。

 

 全体を通じ、FSの中長期的な需要拡大、加えてペロブスカイトPV、ホットナイフ分離によるPV解体分離装置の拡大が期待される。しかし足元はトランプ政策の不透明感、国内もメガソーラーの見直し機運、再エネに対する政策変更もありえる中で、同社収益は潜在的な成長力が高まりを期待するものの、収益寄与は27/8期以降にずれ込むものと見られる。

 

 株価はトランプ政権の再エネ政策の不透明感から冴えない動きが続き、短期的にペロブスカイト太陽電池関連で一時的に脚光を浴びて株価が上昇しても長続きせず下降気味に推移していた。さらに10/9の決算発表で26/8期はペロブスカイトの売上計上でも採算が悪く収益が更に悪化する予想から、9/10には4/11の587円以来の602円と安値引けした。現在、26/8期予想EPS24.59円に対しPER24.5倍は機械スタンダード11.6倍に対し割高な水準にある。今後、国内ではペロブスカイトPVに対する大型設備助成策も見込まれるが、基本的にはFS頼みとなっており、27/8期以降でないと収益の本格回復が見込めないとして、ややポジティブからややネガティブに評価を引き下げたい。

(図表は25/8HI会社説明会、25/8期会社決算説明会資料、GosanTechのHPから添付)

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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