米MPマテリアルズ、中国向けレアアースの出荷を停止 高関税で「商売にならず」
米資源大手MPマテリアルズコーポレーションは4月17日、自社ホームページ上で、「中国に向けたレアアースの出荷を停止した」と発表した。「(中国が米国製品に課す) 125%の関税の下で貴重な重要材料を販売することは、商業的に合理的ではなく、米国の国益にも合致しない」とした。米中の関税の応酬が企業レベルで影響し始めた。
プレスリリース:MP Materials Accelerates Strategy to Reindustrialize the Rare Earth Supply Chain | MP Materials
MPマテリアルズは発表で、「かねてこうした状況に対応する準備をしてきた」と説明。「これまで米国のレアアースサプライチェーン(供給網)全体を回復するために約10億ドルを投資してきた。現在、カリフォルニア州の同社工場では、レアアース生産量のほぼ半分を処理し、製品のほぼすべてを日本、韓国、米国といった中国以外の地域で販売している」と述べた。今後も米国でのレアアースのサプライチェーン強化に尽力するとしている。
米中は関税の応酬を続ける。米国は中国製品に145%、中国は米国製品に125%をそれぞれ課す。米国は中国製品への関税について4月17日、他の関税も合わせると「245%に達する」との見解も示した。中国はこれについては「国際的なジョークだ」とした。
もっとも、関税合戦には終止符の予感も漂う。中国側はこれ以上の関税の応酬について、米側が引き上げたとしても「無視する」との姿勢を示した。トランプ米大統領も4月17日に関税について「一定の水準を超えると人々は買わなくなるため、これ以上の引き上げは望まない」と述べたと伝わる。トランプ氏は同日、米国が中国に対する大規模関税を発表して以降、中国側から協議の申し出があったとも明らかにした。
(IR Universe Kure)
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