新着情報

2025/06/18   国際商流の混乱で北...
2025/06/18   アルミUBC自治体...
2025/06/18   アルミUBC自治体...
2025/06/18   Project B...
2025/06/18   インドネシア国営ア...
2025/06/18   EV&LIB減速の...
2025/06/18   世界規模の鉱床か ...
2025/06/18   結局は赤字体質 ベ...
2025/06/18   不景気韓国、悪しき...
2025/06/18   中国の本気の鉄鋼減...
2025/06/18   鉄鋼:インドの一人...
2025/06/18   自動車リサイクル法...
2025/06/18   Rio Tinto...
2025/06/18   鉄鋼:世界粗鋼生産...
2025/06/18   SWCC:スモール...
2025/06/18   金銀価格が明暗 N...
2025/06/18   日本電線工業会出荷...
2025/06/18   日本電線工業会出荷...
2025/06/18   国内よう素PSI実...
2025/06/18   国内酸化チタンPS...

自動車リサイクル法施行20年の節目 日本自動車リサイクル機構が定時社員総会で資源循環の課題と展望を議論

 

(日本自動車リサイクル機構 代表理事 石井浩道氏の開会の挨拶)

 

 2025年6月17日、一般社団法人日本自動車リサイクル機構が鉄鋼会館(東京都中央区日本橋茅場町3丁目)で定時社員総会・懇親会を開催した。

 

 懇親会は午後4時から開催され、石井浩道・代表理事が開会挨拶で次のように話した。

「本年は自動車リサイクル法が施行されてから20年目の節目であり、正しい自動車リサイクルの促進や更なる環境負荷の低減、資源循環の強化を図るため関係機関と連携を強化が必要だと考えています。
 来週から始まる資源回収インセンティブ制度は飛躍の機会となるでしょう。この制度を活用し、移民系企業との差別化を図るとともにリサイクル技術をさらに進化させ次世代のものづくり技術の礎を築いていくのが我々の使命だと考えています。」

 

 開会の挨拶の後、自由民主党 衆議院議員の茂木敏充氏、経済産業省 製造産業局 自動車課 自動車リサイクル室長の原充氏、環境省 環境再生・資源循環局次長の角倉一郎氏、一般社団法人 日本自動車工業会 環境技術・政策委員会 リサイクル・廃棄物部会 部会長の嶋村高士氏、公益財団法人 自動車リサイクル促進センター 専務理事の永井辰幸氏が来賓の挨拶を述べた。

 

(自由民主党 茂木敏充氏の挨拶)

 

 自由民主党 衆議院議員の茂木敏充氏は昨年に続き懇親会へ招かれたことへの謝意を述べるとともに、次のように語った。

「古代文明の時代から都市化に伴う廃棄物処理の問題は存在しており、当時から割れた土器の再利用などといったサステナビリティの思想がありました。日本でも奈良・平安時代には紙屑の再利用が行われ、江戸時代には古物を回収・再活用する、いわばリサイクル業ともいえる職業も生まれました。
 資源の枯渇や地球温暖化といった世界共通の課題を解決するため、我が国は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて取り組んでおり、私自身も党内でグリーントランスフォーメーション実行本部長として責務を担っています。
 自動車リサイクル法が施行されて20年が経過した今こそ、更なる持続可能性と進化が求められています。未来の子どもたちへ豊かで美しい地球を引き継いでいくためにも、皆様とともにリサイクルの推進を進めてまいりたいと思います。」

 


(経済産業省 原充氏の挨拶)

 

経済産業省 製造産業局 自動車課 自動車リサイクル室長の原 充氏は同省の取り組みについて次のように語った。
 「今年の5月に“脱炭素社会への転換”および“資源の有効利用”を目的とした法改正が国会で可決されました。これにより、いわゆる3R法(資源有効利用促進法)の対象製品を拡大し、一定規模以上の製造事業者に対して再生資源の利用計画や定期報告の提出が義務づけられることとなりました。
 また、自動車リサイクル法の施行から20年を迎える本年は、制度全体の見直しに着手する予定であり、現場の実態や業界の声を踏まえて制度の改善を図り、自動車1台あたりの資源価値をさらに高めていきたいと考えています。」

 

(環境省角倉一郎氏の挨拶)

 

 環境省 環境再生・資源循環局 次長の角倉一郎氏は、自動車リサイクルをめぐる今後の政策方針について次のように語った。
 「昨年8月、官邸主導で発足した関係閣僚会議をもとに『第5次循環型社会形成推進基本計画』を策定しました。循環経済への移行のために環境対策だけでなく産業競争力や経済安全保障の観点からも重要であり、政府全体で取り組みを進めています。
 2025年度には経産省と連携し、資源回収を促進する新たなインセンティブ制度を導入予定です。環境省は今後も、自動車を起点とした静脈産業と動脈産業が連携しながら循環経済と産業競争力の両立を図っていきたいと考えています。」

 

(日本自動車工業会 嶋村高士氏の挨拶)

 

 一般社団法人 日本自動車工業会 環境技術・政策委員会 リサイクル・廃棄物部会 部会長の嶋村高士氏はchat GPTを用いて作った「解体事業者の皆様の前で下手な挨拶をすればスクラップにされそうでプレッシャーを感じます」といった挨拶文で会場を沸かせ、

「中古車の海外輸出の増大にしているといった問題についてchat GPTに聞いたところ、問題を整理して日本国内の自動車リサイクルシステムの危機が訪れているという理にかなった回答が得られました。我々が情報を調べて分析するプロセスとchat GPTの回答プロセスは似ており、最新の情報がアップデートしながら間違った情報で混乱してしまうところも同様です。また、chat GPTだけでアウトプットするには限界があると感じました。」と語り、最後は「本日は、自らの“脳内ChatGPT”をアップデートする場。知見や経験を持ち寄り、皆で自動車リサイクルの未来を切り拓いていきたい」と締めくくった。

 

(自動車リサイクル促進センター 永井辰幸氏の挨拶)

 

 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター 専務理事の永井辰幸氏は、昨年の能登半島地震により焼損したリサイクルプラントの撤去支援に対する謝意を述べた上で、制度の現状と今後の展望について次のように語った。
「自動車リサイクル法の施行から20年が経過して新規参入事業者が増加したため、法制度の理解不足が一部で課題となっています。対策として、千葉県と三重県で研修を実施し、今後は他地域にも展開していきたいと考えています。
日本の自動車産業は資源が制約されていく将来を見据えて、資源循環の高度化やITの活用、関係者との連携が不可欠となります。今後は機構のネットワークを活かし、小規模な実証実験を進められる仕組みづくりに取り組んでいきます。」

 

(日本自動車工業会長 堂坂健児氏の乾杯)

 

 来賓の挨拶の後、一般社団法人 日本自動車工業会 環境技術・政策委員会 リサイクル・廃棄物会 副部会長 堂坂健児氏は乾杯の挨拶で関係者が交流を開始された。

 

(日本自動車リサイクル機構 阿部知和氏の乾杯)

 

 中締めの挨拶では一般社団法人 日本自動車リサイクル機構 専任理事の阿部知和氏が懇親会参加への感謝を述べた後、「経済産業省や環境省においても中古車の海外流出を含む自動車リサイクルの課題が認識されつつあり、業界団体として非常に心強く感じています。今後は、機構に未加入の事業者とも連携を深め、外的要因に左右されない強い業界体制を築くことが重要です。
 廃業や中古車両供給の減少により会員数が一時的に減少する局面もありますが、新たな参加も増えており、業界全体としての成長の余地はまだ大きいと見ています。今回、自民党の茂木氏をお招きできたことは組織の力を示す象徴的な出来事です。この結束力を生かし、今後は海外企業とも対等に渡り合える体制づくりに取り組んでいきたいと考えています。」と会を締め括った。

 

 懇親会では現場の実情を踏まえた意見交換が活発に行われ、中古車の海外流出といった問題をはじめとして参加者の間で自国におけるリサイクル体制の強化や制度整備の必要性について真剣な議論が交わされていた。

 

関連記事:6.25 自動車リサイクルサミットⅣ in 東京 ~様変わりした中古車・廃車市場の今~

 

 

(IRuniverse Fushimi)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る