YKK APと富山大学が共同研究講座を設置
アルミニウムの資源循環とカーボンニュートラル実現に向けた研究開発を加速
YKK AP株式会社(本社:東京都千代田区、社長:魚津 彰)と国立大学法人富山大学(齋藤 滋学長、以下、富山大学)は、7月28日、6月1日に「アルミ再生・循環システム工学(YKK AP)共同研究講座」を設置したと発表した。
YKK APはビジョン「Evolution 2030」の柱に地球環境への貢献を掲げ、脱炭素化・循環型社会実現に向けた仕組みづくりを推進していく。製品素材のリサイクル技術確立を目指し、2030年度までにアルミリサイクル率100%(国内)達成を目標に掲げている。
アルミリサイクル率の向上には、市中から回収される多様なアルミニウム合金スクラップから不純物を効率的に除去する技術や、除去しきれない不純物を含んだ状態でも材料として高い特性を発揮させる技術の確立が不可欠。YKK APはこれらの課題解決を加速させるため、軽金属材料の研究、特にアルミニウム分野で高度な技術や学術的な知見を有する富山大学に共同研究講座(※1)を設置し、以下の研究を実施する。
共同研究講座の概要
【講座名称】 アルミ再生・循環システム工学(YKK AP)共同研究講座
【研究内容】
1.アルミニウム合金スクラップからの不純物分離プロセス
富山大学で考案されたアルミニウムアップグレードリサイクル技術の実用化に向け、不純物を分離するプロセス効率化技術の構築に取り組む。
2.不純物を含むアルミニウム材料の特性改善
市中アルミリサイクル工程で発生する不純物を多く含む材料の特性改善や新たな用途開発を試みる。
3.アルミニウムリサイクル工程のエネルギー削減
塑性(そせい)加工(※2)技術を活用し、リサイクルプロセスのエネルギー削減につながる押出形材の製造技術を研究する。
【設置期間】 2025年6月1日~2027年9月30日(2年4ヶ月間)
【設置部局】 国立大学法人富山大学 先進軽金属材料国際研究機構 先進アルミニウム国際研究センター
【研究体制】 YKK APより共同研究講座教員1名を置き、当該教員にクロスアポイントメント制度を適用(※3)
共同研究講座を設置する「富山大学先進アルミニウム国際研究センター」
富山大学は日本のアルミニウム材料研究における中心的役割を担い、本講座によるアルミリサイクルプロセスに係る取り組みにより、リサイクルアルミの価値向上、持続可能なアルミ産業の構築、新規リサイクルプロセス構築に伴う雇用創生、SDGsに資する環境ビジネスの創生等の成果が期待される。
YKK APはJST(※4)の共創の場形成支援プログラム「富山循環経済モデル創成に向けた産学官民共創拠点」(富山大学COI-NEXT)に幹事企業として参画しており、これまでも富山大学や関係自治体、参画企業と連携してアルミニウム資源循環モデルの構築に取り組んできた。アルミリサイクル技術の共創を加速させるため、2023年には富山大学先進アルミニウム国際研究センターに対して1,000万円の寄付を行っている。今回の共同研究講座を通じて、企業が持つ実験設備や生産設備と、富山大学が持つ先進的な技術や学術的知見を融合させることで、カーボンニュートラルに資する研究と実用化を加速させ、持続可能な社会の実現に貢献していく。
※1:大学と企業などの外部機関が共通の研究課題についてそれぞれの強みを生かし、対等な立場で共同研究を行うための制度。大学内に研究組織を設置し、一定期間継続的に研究活動を行う。
※2:金属などの材料に力を加えることで変形させて形状を作り上げる加工方法のこと。アルミの押出、圧延、プレス加工などが該当。
※3:研究者等が大学や民間企業の間で、それぞれと雇用契約関係を結び、それぞれの機関での役割に応じて研究開発や教育に従事することを可能にする制度。
※4:国立研究開発法人 科学技術振興機構
(IR universe rr)
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