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電気自動車の量産技術と将来動向(日産自動車の技術戦略)

2012年7月3日

科学技術者フォーラム

 

 品川区立総合区民会館「きゅりあん」(JR 大井町)にて開催された、今回のSTFフォーラムでは、講師に日産自動車株式会社の岸田郁夫氏(先進車両生産技術部・エキスパートリーダー)を迎え、同社の電気自動車の魅力、主要コンポーネントの量産技術とその課題などが解説された。


 ゼロ・エミッション車のリーダーとして
 近年、自動車市場では「ゼロ・エミッション」をコンセプトにした電気自動車市場が立ち上がり、各社とも急速に市場投入を開始。激しく競合する中で、ハイブリッド車を含め、この分野では日本メーカーが世界のトップを走っている。 中でも日産自動車は「日産リーフ」を戦略EV 車として、いち早く市場投入。2010 年12 月の日米発売開始以来、今年5月までの累計販売台数は約30,000 台にのぼる。

 

 講演では、そんなリーフの魅力についてが詳しく解説された。車底にレイアウトされた薄型リチウムイオン電池、車両前方に搭載された駆動モーターとインバーターにより、静寂性と軽快な走りを実現。またスマートな外観デザインに対し、車内の居住空間も広く、ユーザーの満足度は極めて高い。そして、何より「ゼロ・エミッション」にふさわしい環境を配慮した電力構造は、未来の自動車のあるべき姿といえるだろう。同社のEV 普及に向けた取り組みとしては、急速充電器開発の現状や充電インフラ、ITシステムを用いたユーザーサポート体制、などが紹介され、震災の教訓から特に興味深かったのが、CMでも話題の「LEAF to Home」(日産リーフのバッテリーによる電力供給システム)。


 さらに将来に向けた取り組みとして、車用としては使用済と判断されたバッテリーの再利用=4Rビジネス『高いエネルギー密度バッテリーの再利用(リユース)/ユーザーニーズに合わせたリパック(リファブリケート)/様々な用途へリセール/資源回収(リサイクル)』の展開には大いに期待をもたされた。

 
 日産は基本的にバッテリーのリユースをメインに考えており、先述したLeaf to Homeのほかに Battery to Office としてEV バッテリーからオフィス、病院、工場などに電力供給を行うとともに、太陽電池からEV バッテリーに蓄電→EV 充電機に送る、という再生可能エネルギーの循環も計画している。

 日産のバッテリーは 5 年使っても容量は 80%ほど残っているためリユースが可能とのこと。

 

 この電池については講演後も多くの質問が出た。いわく、東芝が開発したチタン酸リチウム電池はどうなのか?中国などでメインに使われているオリビン酸鉄系のリチウムイオン電池など。リチウムイオンバッテリーじたいが開発競争が激化し、日本は韓国勢との戦いに苦戦しているのだが、チタン酸リチウム電池については「出力は高いが、発熱の問題性がある」とのこと。鉄系については発熱性はないが、容量が少ないという問題点があるため、日産は現在のマンガン系リチウムイオン電池(*具体にはニッケル酸リチウムとマンガン酸リチウムのブレンド)に至ったという。


 パワートレインをはじめ、パワステ、ブレーキ、エアコン等主要部分の全てが電化されている今、まさにクルマは「オール電化」の時代を迎えているといえるだろう。リーフの車体は追浜工場、モータは横浜工場、電池は座間工場で製造されている。

 リーフの車両生産については、日産追浜工場のVTRとともに、現行の作業工程が詳述。工場内では、ガソリン車もEV車も同じラインで作られており、同じ作業編成を取る混流生産体制となっている。また、今後もグローバルで生産されるEV車のマザー工場として、電機系の作業安全の確保やEV固有の品質保証のための保証工程の体系化にも尽力している様が紹介された。さらに2003 年以降、海外生産が50%を超える中、世界各国の生産拠点にて、日産生産方式(=同期方式)をしっかりと伝承させるべく人材育成にも注力し、世界トップクラスの品質と生産性を実現すべく日々努めているという。

 

 EV車両本体の将来に向けた課題としては、軽量化・電気消費低減による航続距離アップが挙げられた。軽量化については、すでにアルミ部品が多用されており、アルミ製ボディパネル部品も適用。また世界初となる超高張力鋼板(980 メガパスカルのハイテン鋼からギガパスカルレベルのハイテン)の開発が進められており、2013 年には車両適用される見通し。そのための金型、成形技術の向上が直近の課題であり、衝突安全性や燃費向上を十分に加味した完成を目指している。


 次に、電動パワートレイン部の生産過程についても、VTRとともにわかりやすく解説。同機式永久磁石モーターとPWM制御インバーターは、そのコンパクトな外見とは対照に、トルク、出力ともに高スペック。ネオジム磁石が採用されたモーターに関しては(昨今のレアアース問題から価格が高騰しているジスプロシウムの代替も検討されてはいるものの)永久磁石そのものの威力なしにこの高スペックは実現されないのは事実であり、今後は加工分野での開発にも力を注いでいくとの意向が語られた。

 リーフのモータは同期式永久磁石モータを採用、。インバータは PWM 制御インバータ、愛大トルクは 280N、最大出力は 80kw。リーフの航続距離は一回の充電で 200km 以上走ることができる。
 磁石部分については、Dy(ジスプロシウム)使用量を従来比 75%削減を目標に掲げている大同特殊鋼の熱間加工磁石(Hot Pressed)の採用を検討しているとのこと。


エネルギー密度2倍の高性能「リチウムイオンバッテリー」
 そしていよいよ、今講座のメインともいうべき、EV用リチウムイオンバッテリーの開発についての詳細が開示された。会場では、講師が持参したリチウムイオン電池が回覧され(内部のセル構造が見られるようにパックが開封されている)、じっくりと手に取り観察する受講者の姿に、興味の高さがうかがえた。軽量、コンパクトでありながら、従来のバッテリーの約2倍のエネルギー密度をもつという、このリチウムイオンバッテリー。マンガンという資源豊富(=低コスト)かつ安定した結晶構造を有する「マンガン系正極材料」と、高冷却性能(=高寿命)でシンプルな構造を有する「ラミネート構造セル」を採用することで、性能、信頼性ともに自動車用としての量産には最適である。開発現場においては、切断、接合などの作業工程においての技術向上や高速精密組立技術、化学反応制御など、更なる技術開発を行っていくとの課題が語られた。
 リーフに積まれているバッテリーパックにはレトルトパウチ製のラミネートセルが 1 台に192 個搭載されており、これで 24kw/h のエネルギーを出している。日産と NEC エナジーデバイス(旧NEC トーキン)で設立した電池製造会社 AESC(オートモーティブエナジー)のラミーネート型マンガン系リチウムイオン電池はなんといっても安全かつ高出力を維持できるところが最大の特徴である。正極材の材料+格子構造(スピネル構造)が結晶構造を安定させ、リチウムイオン電池で最も回避すべき「熱暴走」の抑制、防止に機能している。技術的には正極と負極のズレに特に注意を払っており、シックスシグマレベルで積み上げていくことが大事だという。他に接合の品質でも現在は超音波とレーザー接合を使用しているとのこと。

 

 以上、電気自動車の魅力を再確認し、世界をリードするEV車開発の現場を垣間見ることができた約3時間に及ぶこの講演。会場を埋め尽くした受講者の盛大な拍手のもと、終了となった。

 

(IRuniverse 福田陽子/棚町裕次)

 

 

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(IRUNVIERSE)

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