鉄スクラップ解析システムの研究開発を行うエバースチールは28日、米シリコンバレーに拠点を置くベンチャーキャピタルのDCMベンチャーズより2億円の資金調達を実施したと発表した。今回調達した資金は、既存の鉄スクラップAI検収システムの機能向上や自社組織拡大への投資を予定している。
エバースチールは、田島圭二郎社長が東京大学での鉄鋼材リサイクルの研究とスイス工科大学での画像解析技術の研究をもとに創業した鉄のリサイクルに特化したベンチャー企業。AI技術を活用した鉄スクラップの解析システム開発に強みを持ち、複数の大手鉄鋼メーカーと実証実験などに取り組んできているという。
エバースチールは『現在は鉄リサイクルのフローの中でも「検収」に特化した開発を行っているが、今後は「調達」「配合」「製造」までサポートし、技術の力で新しい製鉄の形を作っていきたい』と今後の展望を述べている。

鉄鋼業界ではCO2排出削減を見据えて、石炭を燃やして鉄鉱石から鉄を作る「高炉法」から、鉄スクラップを活用して鉄を作る「電炉法」への転換が焦点になっている。ただ、鉄のリサイクル原料である鉄スクラップには鉄以外の不純物や爆発物等が混入するケースがあり、そのチェック体制の確立が課題とされている。
(IRuniverse G・Mochizuki)