
銅さいを扱う業者によると「かなり取り合いになっており、品位30%の銅さいでは、キロ当たり60〜70円で取引されている」という。この相場水準は過去からしても高めの水準だという。
なにゆえに?
「すべての銅製錬メーカーがそうではないですが、少なくとも日比共同精錬やJX佐賀関は銅さい、銅スクラップを欲しがっている」とのことで、すでに中国系の高値が定着し、集荷難に陥っている国内ではヤマ(銅製錬所)も銅スクラップのRC(加工費)を下げて(結果的にヤマの買値は高くなる)銅スクラップの集荷増に努めているという。
この原因として指摘されているのが、先ごろフォースマジユール宣言も発して銅鉱石の供給がストップしているパナマの銅鉱山が影響している。
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ここから出される銅鉱石のほとんどが日本向け、ということで、国内銅製錬所はいきおい、他の銅鉱石を調達すべく、探し回っている、と聞く。そのため、スポット銅鉱石のTCはこのところ急速に値下がりしており、80ドル割れも近い。
銅鉱石TC相場の推移 ドル/トン 3ヶ月
銅鉱石のTCが下がっている、ということは鉱石需給がひっ迫していることを示す指標となる。加工処理する側のスメルター(製錬所)の利益がTCであるため、鉱山側有利の場合にはTCが下がることになる。
日比では、この銅鉱石供給減を補うべく、銅さい、銅スクラップの買いを強化しているという。自溶炉の製錬は基板スクラップを欲している。今後も銅鉱石の供給不安はしばし続くとみられ、TC相場も70ドルまで下がる可能性は高い。
また「時代はSDGsでもあるため、ヤマは基本的に銅さい、銅スクラップの投入量は増やしていくとみている」と銅さい扱い業者。
ただ、一部の製錬所は、硫酸設備でのトラブルや、炉修からの再開がスムーズではないことからスクラップのスポット購入は止めているところもあるようだが、こうした製錬メーカーもスクラップ買いに走ればさらにひっ迫感は強まり、相場を押し上げることになるのは火を見るより明らかだ。
(iruniverse/MIRU)