世界の資源大手の2023年12月期決算の発表も終盤に差し掛かった。香港と深圳の株式市場に上場する中国の資源大手の決算はほぼ出そろった。金や銅の好調が目立った一方、レアアース(希土類)やリチウムは苦境が鮮明だった。2023年にコバルト生産世界一となった洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)は増益を確保した。
中国資源大手の2023年12月期決算概要
(社名は通称。売上高と純利益の単位は中国稀土のみ香港ドル、ほかは人民元。%は前年比増減)
金採掘の紫金鉱業が3月24日に発表した2023年12月期純利益は前の期比5%増の211億元だった。同年の国際金相場が過去最高値を更新した恩恵を受けた。
一方、リチウム生産の天斉リチウムは同年の炭酸リチウム価格が8割安となった影響に苦しんだ。中国稀土も同年の中国のレアアース輸出入が低調だったため振るわなかったが、赤字規模は前の期から縮小した。
なお、中国国有金属大手の中国アルミ業は6割の大幅増益となったが、これは比較対象となった前の期に資産調整や引当金計上を行った影響が大きい。同社は現在も子会社売却などの改革を実行中。中国のアルミ価格は堅調ではあるものの、同社の2023年は3割の減収だった。
(IR Universe Kure)