中国の李強首相は6月15-18日、中国の首相としては約7年ぶりにオーストラリアを訪問した。最終日である6月18日には西オーストラリア州にある中国の天斉リチウム業の合弁工場を視察。リチウムを含む重要鉱物が、豪中関係の要となっていることを印象付けた。
■水酸化リチウム処理工場を視察
ロイター通信やAP通信などの外電の6月18日までの報道によると、李首相が視察したのはバースにある天斉リチウム・エナジー・オーストラリアの水酸化リチウム処理工場。この工場は中国の天斉リチウム業が発行済み株式の51%、豪資源会社IGOが49%をそれぞれ出資する。香港英字紙のサウスチャイナ・モーニング・ポストは6月16日、李氏の同工場訪問について、「重要鉱物への投資に対する中国の関心を強調する」意味があると伝えた。
■乗っ取り阻止や米との接近も相次ぐが
重要鉱物を巡る豪中間の関係には緊張も漂う。豪政府は6月初旬、同国レアアース大手のノーザン・ミネラルズの中国人投資家による乗っ取りを阻止する通知を出したばかり。4月までには、米国と共有する脱中国依存の流れを背景に、同国のライナス・レアアースと米同業のMPマテリアルズコーポレーションの合併も取りざたされてきた。
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サウスチャイナ・モーニング・ポストによれば、豪側はペニー・ウォン外相が「オーストラリアの外国投資の枠組みはすべての人に開かれている」と述べ、「重要鉱物産業の発展は我々の望みだ」と話してはいる。ただ、重要鉱物の争奪戦が激しさを増す中、中国側の意思表示に対し、豪側が実際にどう反応するかは見通しにくくなりつつある。
李首相はオーストラリアの前にニュージーランドを訪問。6月19日からはマレーシアに立ち寄っている。
(IR Universe Kure)