日本製鉄株式会社は29日、United States Steel Corporation(USスチール)の買収の一環として、USスチールの高炉一貫製鉄所であるモンバレー製鉄所やゲイリー製鉄所への追加投資計画を発表した。公表済みの労働協約の対象設備に対する2026年までの追加投資14億ドルに加え、計13億ドルを投入する方針だ。
モンバレー製鉄所には少なくとも10億ドルの投資を行う予定だ。歩留りやエネルギー効率、製品品質、操業効率全体の向上が期待される。買収後には熱延設備の新設もしくは回収を行う計画だという。また、ゲイリー製鉄所に対しては、約3億ドルを投資して第14高炉を改修する。
日本製鉄の森高弘副会長は、「日本製鉄は、当初からUSスチールの設備全体を高く評価しており、本買収後、設備投資の拡大や日本製鉄の先進技術の提供を通じて、『総合力世界No.1の鉄鋼メーカー』として、USスチールを支え、成長させることを表明してきた」とした上で、「モンバレー製鉄所とゲイリー製鉄所における強い鉄鋼業の伝統をすべてのステークホルダーと米国鉄鋼業界のために、今後、何世代にもわたって成長・発展させることに貢献できることを大変嬉しく思う」とコメントしている。
今回の投資は、日本製鉄によるUSスチール買収完了と必要な許認可取得を前提条件としている。詳細な設計・仕様は技術的な検討・精査を経て決定する予定。同社は2024年下期での買収完了を見込んでいる。
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(IRuniverse K.Kuribara)