「タリフマン」トランプ米大統領の関税政策が、早くも世界の資源業界に影響し始めたようだ。カナダとメキシコへの関税強化の観測を受け、一部鉄鋼メーカーが米国からの新規受注を見合わせていると伝わった。一方、米アルミ大手のアルコアはオーストラリアから米国への迂回輸出を示唆。資源各社も対応を迫られつつある。
■カナダ、メキシコで強まる不安
米ブルームバーグ通信は1月25日、「カナダの鉄鋼会社ステルコが米国の取引先に対し、販売の見積もりを一時停止すると通知した」と伝えた。ほかにメキシコの鉄鋼サプライヤーも25日までに資材の受注を停止したとされ、これについて米アリゾナ州の鉄鋼流通会社であるフラック・グローバルのトップは「メキシコの鉄鋼メーカーは米市場へのアプローチに関して多くの不安を抱え、商業方針を変更している」と説明したという。
一方、ロイター通信は1月23日、「アルコアのウィリアム・オプリンガー最高経営責任者(CEO)が同日、米国がカナダからの輸入品に関税を課す場合、オーストラリアでの生産分を米国に輸出することが考えられると述べた」と伝えた。同氏はオーストラリアからの迂回輸出について、「新たな関税に基づいて世界のシステムを最適化させる」とも話したという。
■「米国内で生産するなら低税率だ。しかしそれ以外は…」
ダボス会議でオンライン講演するトランプ米大統領
(出所:WEF公式ホームページ)
トランプ米大統領は1月23日、スイスのダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF、ダボス会議)で、オンラインで講演した。
同大統領はそこで、「世界の企業に送る私のメッセージはとても簡単だ」として、「米国で製品を作れば地球上のどこの国よりも低い税金を適用するだろう。だが米国で製品を生産しなければ関税を支払わなければならないだろう」と話した。また、「関税は数千億ドル、数兆ドルで、わが国の経済を強化し負債を返すため財務省に入るだろう」とも述べた。
トランプ氏は1月20日の大統領就任初日、「メキシコとカナダへの25%の関税を考えている。(導入時期は)2月1日になると思う」と発言。中国製品にも10%の関税をかけるとしている。
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(IR Universe Kure)