米財務省は4月30日、ホームページ上で、「米国とウクライナは『米国・ウクライナ復興投資基金』を設立する協定に署名した」と発表した。基金にはウクライナのレアアース(希土類)開発などへの米企業の優先関与などを認める資源協定が含まれたとされる。
■ウクライナの経済回復目指し共同基金
発表では同基金について、「侵攻以来、米国の人々がウクライナの防衛に提供してきた多大な財政的および物的支援を認識する。この経済パートナーシップは、両国が協力して投資し、相互の資産、才能、能力がウクライナの経済回復を加速できるようにするためのものだ」と説明した。
また、ベッセント米財務長官は発表資料中で「トランプ米大統領は、このパートナーシップをウクライナの永続的な平和と繁栄に対する双方のコミットメントを示すものとして構想した。合意を迅速に運用することを楽しみにしている」と述べた。
■アルミやグラファイト開発で米企業に優先権
トランプ大統領は2025年に入り、ウクライナに対し戦争終結の仲介や支援の見返りとしてレアアースをはじめとする資源の提供を求めてきた。ただ、2月にはゼレンスキー大統領とトランプ大統領が口論になり決裂。その後、落としどころを探る動きが続き、4月に入ってからはトランプ大統領が「4月24日に合意できると思う」と話すなど、4月下旬の締結観測が出ていた。
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ウクライナは、レアアース資源自体は多くないが、ウラン、チタン、鉄鉱石、マンガン、黒鉛などは生産が盛んだ。5月1日の米ブルームバーグ通信は今回の資源協定について、「米国はアルミニウムやグラファイト、石油、天然ガスを含むウクライナの天然資源を開発する新規投資プロジェクトへの優先的なアクセス権を得る」とした。
(IR Universe Kure)