コバルト資産の運用を手掛ける英コバルト・ホールディングスPLC(Cobalt Holdings PLC)は5月12日、プレスリリースサイトで、ロンドン証券取引所への新規上場計画が進展したと発表した。順調にいけば6月にも上場し、最大2億3000万ドルを調達する。この分野ではロンドン証取でも最大規模の新規公開株式(IPO)となる見通しだ。
同社はコバルトの現物のみを保管し、購入者との取引を仲介する。これにより、購入者は需給によらず安定価格でのコバルト調達が可能になる。コバルト現物の提供には、スイス資源大手のグレンコアが6年間の供給契約を結び、第一弾として6000トン、その後は最大10億ドル相当のプレミアムグレードを提供する。コバルト・ホールディングスはベルギー、オランダ、シンガポール、韓国に倉庫を設置し、提供された現物コバルトを保管する。
グレンコアは米資産運用会社のアンカレッジ・ストラクチャード・コモディティ・アドバイゾ(Anchorage Structured Commodities Advisor, L.P.)とともに、コバルト・ホールディングスの上場に際しての基礎投資家としても出資する。2社合計で上場後のコバルト・ホールディングスの発行済み株式の20.5%を保有する予定だ。
■価格低迷、運用のチャンス
コバルト価格は中国企業の大幅増産により供給過剰となり、足元の価格が低迷している。ただ、2025年に入ってからはその低価格を構成しようとする動きが目立ち始め、2月にはコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)がコバルト輸出を一時停止した。
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今回のプレスリリースによると、コバルト・ホールディングス側は「コバルトは中長期的には電気自動車(EV)普及に伴う需要拡大が見込まれ、低価格の現在は買いを入れる好機」と述べたという。
過去3年間のLGコバルト価格の推移(CO99.3%)($/LB)
(IR Universe Kure)