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中国のニッケル銑鉄&鉱石価格動向(25年7月第2週)  動き鈍い、鉱石は1年半ぶり高値

2025/07/09 13:53
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 2025年7月第2週の中国のニッケル銑鉄とニッケル鉱石価格は動きが鈍い。在庫が充足している精錬所がニッケル銑鉄の調達を手控え、銑鉄価格はさえない。一方、鉱石価格は値上がりしているものの、横ばい圏での推移が目立つなど全体に勢いが乏しい。

 

■銑鉄半年ぶり安値、鉱石は1年半ぶり高値

 

過去3ヶ月間のニッケル銑鉄価格の推移(NPI content 10-15% China)(RMB/Nickel/MTU)

 

 中国のニッケル銑鉄価格は7月3日に高値RMB925/MTUと1月末以来およそ半年ぶりの安値を付けた。4月半ばにRMB1000超えの直近高値を付け、以後は調整の動きが続く

 上海有色網(SMM)は7月7日のレポートで、「ニッケル銑鉄が使われるステンレス鋼の先物価格はやや戻ったものの、製錬所がなお在庫を抱えているため、ニッケル銑鉄を新たに調達しようとする意欲は低い」と指摘した。

 

過去3ヶ月間のニッケル鉱石価格の推移(1.8min CIF China)($/ton)

 

 中国のニッケル鉱石価格は6月19日に仲値$77/tonに上げた。2024年1月以来およそ1年半ぶりの高値水準となる。3月20日から6月17日までの3か月間に渡り横ばいが続いた後で、やっと動いた。しかし、その後はやはり同水準から動いていない。

 SMMは「フィリピンなど輸入鉱石の調達元が雨期入りするなどで生産が不安定化しており、中国国内の鉱石の取引も慎重さが目立つ」と分析した。

 

 ニッケル鉱石を巡っては、インドネシアの関連法律も不透明感が出ている。インドネシアのエネルギー・鉱物資源省(MEMR)は7月3日、「同国内の採掘業者に課している『企業の作業・予算計画(RKAB)』の有効期限を現在の3年間から1年間に短縮することを計画している」と発表した。

 

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■精錬も値動き限定

過去3か月間のLME($/ton)とSHFE(RMB/ton)のニッケル価格の推移

 

 精錬ニッケル価格も値動きは限られている。ロンドン金属取引所(LME)のニッケル価格は7月8日に現物$1万4940/tonを付けた。6月23日に$1万4605に下げたものの持ち直し、$1万5000をやや下回る水準での推移が続いている。

 上海先物取引所(SHFE)のニッケル価格も同じ動き。7月8日に現物RMB12万1180/tonを付けた。12万ちょうど前後での値動きが続く。

 

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Topics

8月1日

 中国生態環境省など中国政府の6部門は6月10日、リチウムイオン電池用の再生ブラックマス輸入を解禁すると発表した。8月1日付で発効する。

 

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7月3日

 中国のステンレス大手である青山控股集団と韓国鉄鋼大手のポスコ・ホールディングスは7月3日、ポスコが中国で展開するステンレス子会社2社を青山に譲渡することで合意した。

 

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6月30日

 大同特殊鋼は6月30日、ニッケルやクロムの比率を高めた高合金の生産体制整備に向けて、愛知県の2工場を増強すると発表した。

 

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6月20日

 ステンレスの国際業界団体である世界ステンレス協会(Worldstainless、旧ISSF)が6月20日に発表した統計によると、2025年1-3月期の世界のステンレス鋼の生産量は前年同期比6.2%増の1554万トンだった。

 

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6月16日

 カナダ深海鉱物調査会社のザ・メタルズ(The metals company、TMC)は6月16日、韓国の高麗亜鉛からの出資を受け入れると発表した。

 

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6月11日

 インドネシア国営鉱山のアネカ・タンバン(アンタム、PT Antam)は6月11日、「車載電池世界最大手である中国の寧徳時代新能源科技(CATL)と、高圧酸浸出法(HPAL)のニッケル製鉄所の運営会社を6月10日付で合弁設立した」と発表した。

 

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(IR Universe Kure)

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