米ゼネラル・モーターズ(GM)は7月16日、自社ホームページ上で、「使用済みEVバッテリーのエネルギー貯蔵システムへの応用について、米バッテリーリサイクル企業のレッドウッド・マテリアルズと協力することで覚書を交わした」と発表した。GMは韓国LGともリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池向けセルの生産を準備中。電池事業に邁進する。
■使用済みEV電池を個人宅などでの発電に応用
プレスリリース: GM and Redwood Materials to pursue use of U.S.-built batteries for energy storage
覚書の詳細は2025年下期に改めて発表する。増加する一方の米国の電力需要に対応し、個人宅などでEVを電力資源として使うことを想定する。
レッドウッドは米ネバダ州カーソン市に本拠を置くバッテリーリサイクル企業。2022年秋に、パナソニックエナジーとEV用リチウムイオン電池の正極材と銅箔の調達で契約したことで知られる。6月27日には、回収したEVバッテリーの応用を専門に手掛ける子会社「レッドウッド・エナジー(Redwood Energy)」を創立したばかりだった。
プレスリリース:Redwood Energy: Fast, low-cost storage to power the age of AI and a changing grid
米電力需要
(出所:レッドウッド・マテリアルズの発表資料)
■電池生産はLFPと旧型の二本建て
GMは7月14日には、「韓国電池大手のLGエナジー・ソリューションと合弁でテネシー州に建設中のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池セル工場が、開業に向け準備を整えつつある」とも発表した。2025年内に工場の状態を整え、2027年下期までに操業を開始する。
プレスリリース:Ultium Cells to upgrade Tennessee plant for low-cost EV battery cell production
GMとLGエナジーの合弁会社であるアルティウム・セルズ(Ultium Cells)が、テネシー州スプリングヒルにあるGMの工場を改修し、LFP工を生産する。アルティウムは2021年4月、スプリングヒル工場に23億ドル(約3400億円)を投じると発表していた。
GMは、現在、オハイオ州の工場などでニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム(NCMA)電池を生産しているが、LFP生産では出遅れ気味だ。LFP生産開始後も、既存工場の生産は継続する。
(IR Universe Kure)