226/3期予想は半導体製造装置向け軟調を考慮し1.0%減収8.1%営利減に減額も下期増額も
株価5581円(8/15) 時価総額3784億円 発行済株67811千株
PER(26/3DO予:13.6X)PBR(1.66X)配当(26/3予)152円 配当利回り:2.7%
要約
・26/3Q1は1.9%減収12.5%営利減と原子力プラント工事減、半導体製造装置需要軟調響く
・26/3期予想は半導体製造装置向けの軟調分を考慮し1.0%減収8.1%営利減に若干減額修正
・27/3期に売上高2750億円(7%増)、営利476億円(28.5%増)計画達成は半導体次第
26/3Q1は1.9%減収12.5%営利減と原子力プラント工事減、半導体製造装置需要軟調響く
耐熱技術を活かし、シール材、断熱、耐薬品など、幅広い機能を持った製品・サービスを提供するユニークな企業。26/3Q1決算が8/7に発表され、同日説明資料も開示された。26/3Q1は売上高620.44億円(1.9%減)、営利92.29億円(12.5%減)、経常利益92.33億円(23.4%減)と2四半期連続減収減益となった。
セグメント別ではプラント向けが売上高194.07億円(2.2%減)、営利30.84億円(8.9%減)と、石油精製、石化プラント向けメンテナンス需要が堅調に推移も、原子力向けの工事量が減少し、利益はMIX悪化で利益率が若干低下した。
工業製品は売上高133.90億円(6.1%増)、営利28.03億円(2.5%減)と国内インフラ向けシール材、フッ素樹脂ライニングが好調も、利益は原料高などが影響、円高もあり減益に。
高機能製品は売上高97.60億円(15.3%減)、営利17.88億円(34.2%減)と半導体製造装置向けで在庫調整の遅れ、レガシー半導体向けの不調などで減収、利益は稼働率低下、補修品などの伸び悩みで大幅に利益率が低下した。
自動車部品は売上高128.33億円(3.3%増)、営利11.00億円(11.6%減)と国内でトヨタグループの自動車減産影響が薄れ増収も、利益は円高影響もあり減益となった。
建材は売上高68.53億円(2.8%減)、営利4.52億円(40.4%増)と、都内の再開発案件について一部大型物件の工事遅延があり減収。利益面では品種集約などもあり事業構造の見直しによる収益改善が継続し大幅増益に。
全体を通じ日本向け製造業向けで設備投資の堅調さから緩やかに回復も生産は伸びておらず、海外は中国向けが足踏み状況、米国は関税問題などで不安定。売上面では半導体製造装置向けが軟調、その他は計画並みと見られる。
26/3期予想は半導体製造装置向けの軟調分を考慮し1.0%減収8.1%営利減に若干減額修正
26/3Q1の半導体製造装置回復遅れを考慮、同事業を減額し26/3期を売上高2540億円(期初計画比30億円減額1.0%減、)営業利益365億円(同5億円減額、8.1%減)、経常利益365億円(同10億円減額、12.5%減)、税引利益258億円(同2億円減額、19.6%減)予想とした。
セグメント別では期初計画に対し、高機能製品だけを修正(売上高で30億円、営業利益で5億円)、あとの事業は期初計画を据え置いた(新たに26/3H1、26/3H2の半期予想を開示)した。会社予想はトランプ関税、世界景気の不透明感などから概ね前年度比売上横ばいを想定、新基幹システム構築費用などの増加を見込んでいる。ちなみに新基幹システム費30億円を除くと実質営利利益は395億円(0.6%減)予想となる。
具体的にプラント向けが売上高760億円(3.1%減)、営利105億円(16.0%減)予想。エネルギー基本計画改定で原子力発電の維持・活用が示され堅調な伸びで売上は下期型で高水準確保見通し。工業製品は売上高560億円(5.3%増)、営利115億円(4.1%増)と、半導体向けのフッ素樹脂製品の拡大、電子部品向けの断熱製品拡大が期待される。高機能製品は売上高410億円(8.0%減)、営利88億円(14%減)と、上期は大幅減も下期は前上期並に戻すとしている。今回減額修正しているが、AI半導体の投資状況から下期に急拡大もあり得るため、会社想定ほど落ち込まず多少上振れが見込める。自動車部部品は売上高505億円(1.4%減)、営利42億円(7.5%減)予想。関税影響を加味し伸び悩みを想定も、トヨタの生産増加などで微減収見通し。建材は売上高305億円(4.8%増)、営利15億円(6.8%増)と、大型案件の先延ばし影響も利益は品種統合などで収益性向上を見込む。
営業利益の減益要因では一過性の新基幹システム関連30億円、人件費増10億円などから販管費負担40億円の減益影響を見込む。なお経常利益は円安一巡、税引利益は特別利益を想定しておらず2ケタ減益を見込む。
現状、会社側では半導体関連の回復の遅れ分を高機能製品で減額修正したが、AI半導体の拡大基調に変化はなく、会社減額ほどにはならないと見られる。また工業製品の中の30%程度を占めるとみられるフッ素樹脂関連は、増収を確保するとみられ変更していない。全体として減額修正に対し多少収益の上振れが期待される。
27/3期に売上高2750億円(7%増)、営利476億円(28.5%増)計画達成は半導体次第
同社は現中計において27/3期に売上高2750億円(今期予想比7%増)、営利率17.3%計算上476億円(同28.5%増)、海外売上高580億円を数値目標としている。事業戦略としてコア事業としてプラント工事、工業製品、高機能製品の3事業を区分した。この中で27/3期へ売上伸び率が最も大きいのが高機能製品で、売上高550億円(26/3期予想比23%増)を見込む。具体的に各種Oリングやクリーンルーム対応ジャケットヒーター、高性能断熱材、フレキシブル断熱材などの拡大を見込む。Oリングではフッ素ゴムに強み、ジャケットヒーターでは5nm以下のプロセス、化合物半導体向けなどに強い。今回26/3期高機能製品を減額修正したが、化合物半導体ではEV見直しで設備投資が先送りされ、27/3期も想定ほどの伸びが期待しにくい。またプラント向けでは水素・アンモニア技術開発に期待が膨らむが、本格拡大には時間を要する。27/3期は先端半導体の生産拡大で半導体関連の伸びから再度最高益更新が見込まれるが、中計計画の利益未達成の可能性がある。
株価は4/7には昨年暴落時安値3800円以来の安値4083円を付けたが、5/12の決算発表で26/3期予想が0.2%減収6.9%営利減予想ながら総還元性向50%以上を打ち出し、配当を108円から152円に大幅増配予定としたこともあり全体相場とともに上昇、8/7の26/3Q1発表日に6000円大台乗せで年初来高値更新となった。しかし26/3期若干減額修正を開示で500円程度の調整となっている。現状、26/3期修正会社予想EPS403.93円に対しPER13.8倍はプライムガラス・土石製品PER21.6倍に対し割安感があり、またピラー13.1倍、バルカー13.1倍、イーグル工業12.6倍と大きな差がない状況となっている。同社26/3期予想は減額も、前向きな一時費用30億円を前提にすると実質的に0.6%営利減予想であり、下期多少増額が見込まれ、実質5期連続最高益更新が期待できる。配当は17期連続増配、財務健全性も継続的に高まっている。27/3期は中計計画で利益は未達懸念があるものの、27/3期も増配が見込まれ、ポジティブ継続としたい。
*図表は決算説明会資料より添付
*ピラー(6490)、バルカー(7995)、イーグル工業(6486)との比較
(H.Mirai)