カザフスタン資源大手のユーラシア・リソーシズ・グループ(本社:ルクセンブルグ、ERG)の2024年12月期決算が大幅な減益になっていた模様だ。英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が8月13日に伝えた。ただ、これはカザフスタン通貨テンゲの下落による為替差益によるもので、鉱業事業は増益だったとみられる。
■鉄鉱石やアルミナを生産
FTによると、ERGの2024年12月期の税引き前利益は12億ドルの赤字で、前の期の4400万ドルから赤字額が拡大した。ただ、同社がFTの取材に答えたところでは、主力事業である合金鉄、鉄鉱石、アルミナの生産量がすべて増加したため、2024年の利息、税金、減価償却費、償却前利益(EBITDA)は22%増の19億ドルになったという。
ERGは10年以上前にロンドンでの株式上場を廃止した非公開企業で、決算の開示義務はない。
■ロシアの銀行からの融資を再編
ERGはカザフスタン、ブラジル、コンゴ民主共和国(DRコンゴ)に鉱山を持つ資源系の複合企業(コングロマリット)。採掘事業のほか、製錬や販売、運輸まで幅広く手掛ける。カザフスタン政府が発行済み株式の約40%を保有するカザフスタンの班国営企業でもある。
ロシアの銀行であるVTBとズベルバンク銀から融資を受けていたため、2022年のロシアによるウクライナ侵攻に伴う両銀への経済制裁後、融資の再編に取り組んでいた。報道によると、ERGは2023年にVTBへの、2024年にズベルバンク銀への融資再編を終えたという。
(IR Universe Kure)