錫価格が急騰している。ロンドン金属取引所(LME)での価格は10月3日に現物$3万7700/tonと、前日比3.6%上げた。インドネシアで違法採掘の錫鉱山を閉鎖するとの観測が浮上し、供給が細るとの見方から買いが入っている。
■1000以上の零細鉱山が閉鎖の観測も
過去3か月間のLMEとSHFEでの錫価格の推移($/ton)(RMB/ton)
LMEの錫価格はコンゴでの鉱山閉鎖観測が流れた4月初旬以来の高値水準となる。上海先物取引所(SHFE)での現物は9月30日に前日比2.3%高のRMB27万2520/tonを付け、やはり4月初め以来の高値圏に上げた。
10月6日のロイター通信は「インドネシア政府は10月6日、汚職事件により押収した製錬所や重機などの錫関連の資産を、国営鉱山会社のPTティマに引き渡した」と伝えた。
これに先立ち、上海有色網(SMM)は9月29日、「インドネシアのプラボウォ大統領が同日、インドネシア軍(TNI)などに向け、錫の密輸ルートの取り締まりと違法鉱山の閉鎖を含む錫産業の整備を命じた」と伝えていた。これを受け、市場では同国のバンカ島とビリトゥン島にある1000以上の零細鉱山が閉鎖されるとの観測が浮上した。
■密輸横行、実際の流通量は?
インドネシアでは零細鉱山が多いことから錫の違法採掘が横行し、密輸も続いている。Mining.comが10月5日に世界金属統計局のデータとして伝えたところによれば、中国の1-8月のインドネシア産錫の輸入量は1192トン。マレーシアは1-7月に642トンを輸入した。しかし、どこまでが公式でどこまでが密輸品か、また密輸品がこのほかにもあるのかなどは把握しきれていないという。
インドネシア政府は違法行為が横行する錫産業の整備を目指す構えだ。ただ、こうした零細鉱山からの供給が実際に国際市場で流通している錫の量に対し、どれほどの比重を占めるのかも判然としない部分がある。閉鎖のニュースなどに過敏に反応するなど、観測先行で価格が動きやすい面があるだけに、錫価格はもう一波乱あってもおかしくない。
(IR Universe Kure)