ドイツで工学を学び、日本で30年以上の実務経験を有する技術者ローゼンクランツ氏は、プレゼンテーション「CLEAN ENERGY – SOLAR: German Engineering, Japanese Quality Management, Chinese OEM」の中で、自社R&Lの太陽光発電事業を紹介した。

ローゼンクランツ氏、ドイツの技術力、日本の品質管理、中国の生産基盤の融合こそが、クリーンエネルギー技術の普及と脱炭素化を加速させる鍵となることを主張。
R&L社は、太陽光発電システムにおけるEPC(設計・調達・建設)分野のリーディングカンパニーとして、設計から施工、保守まで一貫したソリューションを提供している。
講演では、さまざまな環境条件や土地特性に対応した同社の革新的システムが紹介された。

まず注目すべきは、固定式および単軸追尾式を備えたメガソーラーシステムである。固定式は長期安定性を重視し、単軸追尾式は太陽の動きに合わせてパネル角度を自動調整することで、一日を通じて最適な日射を確保する。これにより、限られた土地を有効活用しながら高効率な発電を実現している。
次に紹介されたソーラーカーポートは、再生可能エネルギーを日常インフラに統合する好例である。車両の駐車スペースを提供しながら電力を生成し、EV充電システムの電源としても機能する。ローゼンクランツ氏は、これらの設備が運用コストの削減のみならず、都市部や商業施設における環境責任の「見える化」にも貢献していると説明した。
さらに、R&L社独自の「垂直型ソーラーパネル(Suichoku)」が紹介された。これは同社のアグリPVシリーズの一部であり、両面受光型モジュールを垂直に設置する構造を採用している。
この設計により、稲作地、そば畑、草地などの農業環境下でも下部で作物を育てることが可能である。朝夕の発電を中心とするこの方式は、従来の南向き配置と比べて5~15%高い発電効率を達成している。また、鉄道沿線や高速道路、空港周辺にも応用でき、防音壁としての機能と発電を両立させることで土地利用効率と環境価値を同時に高めている。
さらに、浮体式太陽光発電システム(Floating PV)も取り上げられた。池やダム、貯水池の水面に設置することで、水の冷却効果により発電効率が向上し、水の蒸発や藻類の発生を抑制することができる。土地資源が限られる地域に最適な解決策であり、R&L社の環境適応型エネルギー技術の柔軟性を象徴する事例である。
技術紹介の締めくくりとして、ローゼンクランツ氏は「SkyH2O + RE」を発表した。これは、太陽光エネルギーと大気中の水分を抽出・浄化する気候テクノロジーを融合した革新的なシステムである。
余剰再生可能エネルギーを利用して水を生成・浄化することで、水資源の持続的管理に貢献し、特に水不足地域での活用が期待されている。九州のように湿度が高い地域では、すでに導入に向けた関心が高まっているという。
Q&Aセッション:イノベーション、効率性、そしてクリーンエネルギーの未来
基調講演に続き、太陽光エネルギー技術の進化をさらに掘り下げる質疑応答セッションが行われた。ディスカッションでは、モジュール効率の最新動向、環境への責任、太陽光と水資源技術の融合などが主なテーマとなった。
Q. まず、太陽光パネルの発電効率に関する質問に対し、ローゼンクランツ氏は「最新のソーラーパネルは、同じ設置面積でも旧世代と比べて約1.5倍の発電量を実現している」と説明した。

Q. 続いて、参加者の一人から薄膜型ソーラーセル技術の導入について質問があった。薄膜型は軽量で設置自由度が高く、複雑な地形や屋根、炭素素材の表面など設置が難しい環境にも柔軟に対応できることで知られている。ローゼンクランツ氏は、このようなタイプのソーラー技術の導入について問われ、導入には賛成の立場を示した一方で、日本のように規制の厳しい国では新技術の導入に多くの資源とエネルギーを要する点を指摘した。R&L社が推進する革新的で創造的なソーラーシステムは、こうした課題に対する一つの解決策を提示しているという。
さらに、環境面への配慮も重要な議題として取り上げられた。ローゼンクランツ氏は事業立ち上げ当初、コストの低さから台湾製のPVモジュール導入を検討していた経緯を述べた上で、「二酸化炭素の削減量こそが新技術を評価する最も重要な指標である」と強調した。
これらの取り組みを踏まえ、ローゼンクランツ氏は次のように未来への展望を語った。
「明日の通貨は炭素削減である。もはや効率性だけでは不十分であり、真のイノベーションとは技術性能と環境責任の両立を図ることだ。」
このセッションを通じ、太陽光エネルギー技術の高度化と、地球規模の持続可能性課題への貢献という新たな方向性が明確になった。
Q. 最後に、海水を浄化し淡水化するシステムについての質問が寄せられた。ローゼンクランツ氏は、現在九州地方での普及を進めていると述べたが、瀬戸内海や沖縄南部など遠隔地での展開がより効率的ではないかとの指摘があった。これに対し氏は、「現時点で九州が最も関心を示している地域であるにすぎず、他地域やコミュニティからの関心があれば積極的に導入に向けて協議を進めたい」と応じた。
R&L社は、これまでに日本国内21都道府県で970メガワットを超える太陽光発電設備を導入しており、海外でもオーストラリア、台湾、シンガポール、サウジアラビアなどで合計1,800メガワットの実績を有している。高度なエンジニアリング技術と環境調和を軸に、同社は今後も世界各地で実用的かつ持続可能なクリーンエネルギーの普及を牽引していく方針である。
