2025年10月下旬~11月上旬のレアアース市況はほぼ横ばい。米中両国は10月30日に韓国で首脳会談を開催したが、中国のレアアース輸出規制に関する結果報告に米中で食い違いが見られ、市場には困惑ムードが広がっている。
■米政府「規制はすべて撤回」、中国開発当局「撤回していない」
米ホワイトハウスは11月1日、ホームページ上で、韓国で10月30日に開催の米中首脳会談のファクトシートを公開した。中国は2022年から課してきたレアアースおよびレアメタルの輸出規制をほぼすべて撤回するとした。
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一方、中国商務省が10月30日に発表した文書では、「10月9日に開始したレアアースの輸出規制強化を1年間延期する」と記述があった。規制見直しの対象は2025年10月9日分だけだ。
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11月7日の日本経済新聞によると、中国国内では米国の発表を無効とする見方が広がっている。内モンゴル自治区のレアアース開発当局や中国経済紙の財新が、中国側は撤回していないとの見方を示したという。
■中国のレアアース価格は11月に小反発
中国の業界団体である中国稀土協会が日次で発表しているレアアース価格の平均値は11月6日に206.4と、前日の206.9とほぼ横ばいだった。10月下旬に節目の200を割り込む場面があったが、11月に入ってからはその水準からは反発している。ただ、勢いは限定的で、8月下旬の直近高値233は遠い。
中国レアアース指数の推移

(出所: 中国稀土協会)
■ネオジム小動き、テルビウムは小幅安
金属ネオジムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

磁石向け需要が多い軽希土類の金属ネオジムは10月23日に仲値$107.75/kgを付けた。9月初旬以来の安値水準ではあるものの、微調整の範囲内。9月から$110を挟みほぼ横ばい圏での推移が続く。
金属テルビウムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

金属テルビウムは10月29日に仲値$1290/kgと、節目の$1300を割り込んだ。ただ、2023年末以来の高値圏にあることを考えると、これも微調整の域を出ない。
■ランタンとジスプロシウムは9月4日から横ばい
金属ランタンの価格推移(99% FOB China)(S/Kg)

金属ジスプロシウムの価格推移(99.5% FOB China)($/Kg)

金属ランタンと金属ジスプロシウムは9月4日から2か月以上に渡り横ばい。
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●11月7日
中国税関総署が11月7日に発表した中国の2025年10月の貿易統計で、1-10月のレアアース輸出量は前年同期比10.5%増と、増加率は1-9月の12.6%増から縮小した。レアアース輸出額は前年同期比2.9%減と、1-9月の7.8%減から減少率が緩和した。
1-10月の中国のレアアース輸入額は前年同期比6.9%増と、1-9月の6.9%増から増加率が横ばいだった。輸入量は23.3%減で、減少率は1-9月の23.0%減とほぼ同じだった。
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●11月6日
高市早苗首相は11月6日の参院本会議での代表質問で、南鳥島周辺でのレアアース開発について、米国と具体的な協力の進め方を検討する考えを示した。
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●10月30日
双日は10月30日、同社が出融資する豪資源大手のライナス・レアアース(Lynas Rare Earths Ltd)が製造する重希土類について、日本国内向けの輸入を開始したと発表した。
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(IR Universe Kure)