Loading...

普通鋼電炉工業会主催「2025年電炉鋼材フォーラム」 開催される(第2報)

2025/11/09 19:28
文字サイズ
普通鋼電炉工業会主催「2025年電炉鋼材フォーラム」 開催される(第2報)

2025年11月6日(木)普通鋼電炉工業会主催の2025年電炉鋼材フォーラムがハイブリッドで開催された。

IRUNIVERSEは会場で聴講させていただいたので、その一部を紹介する。

残念ながら撮影禁止であったので、講演会の様子は、普通鋼電炉工業会のHPにアップされ次第、紹介したい。

 

第1報については、下記よりご覧ください。

普通鋼電炉工業会主催「2025年電炉鋼材フォーラム」 開催される

 

株式会社丸紅経済研究所 上席主任研究員の桒名奈美氏の発表内容は、非常に緻密である上、可能なかぎり直近の情報を整理された。

一読されることをお奨めする資料となっていた。

「日本のGX政策と鉄鋼業界への影響」

講演資料

講演概要  

米国のパリ協定離脱、欧州委員会は産業競争力と気候変動対策両立に軸足を転換するなど、気候変動を巡る国際情勢は数年前と比べ様相が変わりつつある中で、 日本では、2025 年2 月に 2040年までの中長期ビジョンを示す GX 2040 ビジョンが閣議決定された。同時に第 7 次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画も決定された。

5月にはGX推進法、資源法が国会と通過し、日本のGX戦略の絵姿が示された。  

排出削減目標は、結果として前回と同じ削減幅となった(2035年60 %,2040年73 %)。  

GX推進法の改正により規制が具体化された。

・排出量取引精度(GX-ETS)の義務化⇒26年度から直接排出量10万t-CO2以上の企業に対して排出量取引制度への参加を義務化する。企業には排出量に応じた閾値が設定され、排出枠が無償割当される。

・化石燃料賦課金の徴収⇒化石燃料の輸入事業者等を対象に、化石燃料に由来する二酸化炭素の量 に応じた賦課金を徴収(石油石炭税と同一対象に賦課)。

 

さらに、2025年10月に鉄鋼連盟が発表した「GXスチールガイドライン(旧・グリーンスチールに関するガイドライン)」、「鉄鋼製品に関するカーボンフットプリント製品別算定ガイドライン」、「非化石電力鋼材のカーボンフットプリント算定ガイドライン」公表についても言及した。

 

GXスチールガイドライン・関連ガイドライン:一般社団法人日本鉄鋼連盟

 

これらの状況を踏まえ、鉄鋼業における需要構造の変化とGXに伴うコスト負担が外部環境を大きく変えていく見通しであると、説明した。

 

 

 

スチールプランテック株式会社 プラントエンジニアリング本部 電気炉エンジニアリング第二部 吉田 賢統 氏は、スクラップ予熱型アーク炉、ECOARK導入時のエネルギーバランスを説明した。

この技術は電気炉内にシャフト部を設置してスクラップを装入し、排ガス顕熱等で予熱後に挿入する装置を含む技術である。

スクラップ予熱入力(130kWh/トン)により電力原単位大幅低減(400⇒250 kWh/トン)、排ガス顕熱ロス大幅低減(280⇒155 kWh/トン)を達成。

 

「CNに向けたアーク炉技術の動向及びアーク炉設備における自動化、安全化について設備紹介」

講演資料

  

株式会社 鉄リサイクリング・リサーチ 代表取締役 林 誠一 氏は、発展途上国の戦略を明確にし、発展途上国Grにおいては、鉄源が枯渇する恐れは起きそうにないとした。

「カーボン・ニュートラルに向けた鉄源需給の展望」

講演資料

講演概要

発展途上国Grの2024年粗鋼生産量392万トンの内、主要7か国を2分割して分析した。

①鉄鉱石 or天然ガス自給国;インド、トルコ、ブラジル、イラン、エジプト

②いずれも輸入に頼らざるえを得ない国;ベトナム、バングラディシュ

 

・インド:世界第2位の粗鋼生産国であるインドは鉄鉱石、石炭、天然ガスなど豊富な地下資源を保 有するが、多様な製鋼法及び石炭エネルギーの天然ガスへの改善が鍵。鉄鋼蓄積量は着実に増加して16.5億tあり、豊富 なスクラップ発生財源の元、現在のスクラップ輸入量は抑制され、やがて輸出国に転進する可能性もある。

・トルコ:電炉シェア72 %のトルコは、世界最大の鉄スクラップ輸入国。EUの廃棄物輸出規制は非OECD国限られ、これを免れるもののEU域内の電炉化促進によりEUからのスクラップ輸出量は抑制される。中国の陸路ルートでの安値ビレット輸入が定常化しつつあり、電炉生産を抑制させる要因に繋がる。

・ブラジル:鉄鉱石生産量世界第2位、輸出第2位。高炉-転炉法75.5 %、電炉23.2 %。CNに対しては、高炉の水素還元の開発に取り組んでいる。堅調な増加を続ける鉄鋼蓄積量は4億5,000万tに及び2010年前後からスクラップ輸出国に転じており、23年の主な輸出先にインド、バングラディシュがある。

・イラン:鉄鉱石埋蔵量世界5位、天然ガス同2位、原油同2位の豊富な原料環境にあり、電炉シェア92 %、鉄源はDRI。CN対策で先進Grを既に先行。推定鉄鋼蓄積量4億8,500万tを発生財源に、スクラップ輸出国として展開していく可能性がある。

・エジプト:鉄鉱石埋蔵量推定30億t。高品位を主とし、天然ガスにもめぐまれる。電炉シェア100 %。DRI-電炉ルートと国内スクラップを主鉄源とするアーク電炉に分かれ、DRI-電炉で熱延鋼板、冷延鋼板が製造されている。

 

・ベトナム:鉄鉱石、石炭、石油・天然ガス、ボーキサイトなど豊富な地下資源を持つ。鉄鉱石埋蔵量は推定12億t、低~中位品目であり、高品位もあるがインフラが整わず輸入している。電炉シェア41 %。鉄鉱石の自給化を図ることが高炉維持の課題。 中国のビレット輸入に加え、ASEAN地区新高炉建設によるビレット流通も加わって、難しい局面を迎えている。

・バングラディシュ:電炉シェア100 %。電力が課題であり、国内初の原子力発電が2025年稼働見込み。鉄源はスクラップ100 %。輸入依存84 %。ソースは米国シェア35 %、EU27 10 %。中国、ASEAN新高炉のビレット動向が大きな懸念材料。

 

循環資源である鉄スクラップは基盤鉄源として、量よりもむしろ品位に対する要求が高まると予想され、国際的な品位関する議論や規定が急がれるとした。

 

なお、各国の詳細については、下記HPから調査レポートを閲覧ください。

株式会社鉄リサイクリング・リサーチ Steel Recycling Research Co.,Ltd.

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

関連記事

新着記事

ランキング