11月13日15時、住友電工は25年度上期実績と年間見通しについて井上社長が説明した。説明に使われた資料は同社のHPからダウンロードできる。
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<25年度上期の実績>

〇業績概要(資料4ページ)
売上高は2兆3,735億円と、前年同期比6%の増収となった。利益面では、増収に加えて、徹底したコスト低減と売値改善に努めた結果、営業利益は1,530億円、経常利益は1,555億円、当期利益は979億円と、いずれも前年同期から大幅な増益となった。
売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてで前回予想値を上回るとともに、上半期としての過去最高を更新した。
〇上期業績推移(同5ページ)
25年の上期は、売上高、営業利益ともに上半期としての過去最高を更新。また、営業利益率も6.4%と、こちらも上半期としての過去最高を更新。
米国の追加関税への対応をはじめとして課題も多くあるが、これまで取り組んできた高付加価値品の格安、徹底したコスト低減、売値改善、新製品開発など、様々な取り組みの成果が出たと考えている。
〇セグメント別売上高・営業利益(同6ページ)
後ほど説明するのでここでは割愛。
貸借対照表(7ページ)とキャッシュフロー(同8ページ)も割愛
<25年度年間見通し>
〇事業環境サマリー(同10ページ)
米国の通貨、関税をはじめとする政策見直し、EV需要の原則、政治的・政学的リスク、中国・欧州経済の停滞など、今後の世界経済の見通しは引き続き不透明だが、情報通信分野では、生成AI拡大によりデータセンタ(DC)向け製品の需要が大幅に増加する見通しであり、環境エネルギー分野も脱炭素社会の進展が継続しており、エネルギーインフラ関連の投資は活況な状況が続いている。自動車分野も、CASE進展により中長期的な成長が期待される。
このように、同社の事業機会は今後一層の拡大が見込まれる状況であり、需要を確実に補足し、同社の成長、発展につなげていく。
〇業績予想(同11ページ)
期実績と直近の事業環境を踏まえ、売上高は4兆7,500億円、営業利益は3,400億円、営業利益は3,460億円、当期利益は2,300億円と、それぞれ従来予想を上方修正した。いずれも過去最高の更新を狙う計画。
また、効率性についても、税前は10.4%、ROEは9.8%、ともに中期経営計画で掲げた目標8%以上を達成する見込み。
〇業績推移(同12ページ)
今回見直し後の業績予想は、中期経営計画の目標を大幅に超過する見通し。今年度は中期経営計画2025の最終年度であり、今回公表した業績予想を確実に達成し、来年度から始まる次の中期経営計画へとつなげていく。
〇セグメント別売上高・営業利益(同13ページ)
事業セグメント別の内訳についても、足元の状況を踏まえて見直しをした。
<各セグメントの状況と取組み>
〇環境エネルギー(同15ページ)
脱炭素社会の進展が継続し、エネルギーインフラに関わる投資が活況で、高圧電力ケーブルや受変電設備の需要が引き続き堅調。また、電動車モーター用平角巻線の需要も拡大している。
今期の営業利益は700億円と、銅関連の利益が大きかった前期には及ばない計画だが、前回の営業利益620億円からは80億円の上方修正した。主な取組み事項が、電力ケーブルの受注拡大、欧州新拠点の立ち上げ、受変電設備の生産能力増強、受注拡大などに取り組んでいく。
〇情報通信(同16ページ)
生成AI拡大により、光デバイス、光配線製品、光ケーブル、化合物半導体基盤など、DC関連製品の需要がさらに増加している。今期の営業利益は540億円と、前回の440億円から100億円上方修正した。
この後、データセンター関連事業の取組みについて、担当役員より説明する。
〇自動車(同17ページ)
事業環境は、今期の世界の自動車生産台数はおおむね前期並みになると見込んでいる。今期の営業利益は1,620億円と、為替や米国関税の影響もあり、前期実績には及ばない計画だが、米国関税の影響を見直したことなどにより、前回の1,400億円からは220億円上方修正した。
主な取組み事項は、事業環境変化への柔軟な対応、事業体質強化などに取り組んでいく。
〇エレクトロニクス(同18ページ)
FPCは、主要顧客向けの需要が堅調に推移しているが、季節要因により下期は需要が一服する見込み。電子ワイヤーは、EV向け製品の需要が鈍化する一方、航空宇宙などの新規分野が伸長している。今期の営業利益は280億円と、前回の250億円から30億円上方修正した。
〇産業素材(同19ページ)
超硬工具は日本国内を中心に需要が軟調だが、電動車、航空機、半導体などの新規市場が拡大している。また、インドなどの新興国市場も伸長。
当期の営業利益は260億円と、前回の240億円から20億円上方修正した。
<トピックス>
〇上場子会社再編(同21-22ページ)
10月30日付で、上場子会社2社の資本関係見直しについて公表した。具体的には、住友理工の完全子会社化と、大和ハウス工業による完全子会社化に向けた住友電設の持ち分譲渡の2件。この2点を実施完了すると、同社グループにおける親子上場を解消することとなる。
住友理工の完全子会社化の意義は、モビリティ分野における車作りの変革が一層進展する中、住友理工の技術力、研究開発力を同社の素材加工技術と組み合わせ、グループ総合力として発揮することで、同社グループの企業価値のさらなる向上が実現できると考えている。期待されるシナジー効果として、モビリティ分野における協業の加速化、顧客対応力の強化、技術力、研究開発力の相互活用、経営基盤の強化の4点を掲げているが、これらを通じ、グローバルモビリティサプライヤーとして、モビリティ分野における競争力を強化していく。
●協業加速化の具体例(同23ページ)
BEVバッテリー用の断熱材や配線部品、ドライバー・モニタリング・システム、ハーネス、一体型ドアトリムモジュールなど、多岐にわたる分野で協業を開始しているが、完全子会社化により、こうした協業をさらに加速していく。さらには、同社の電線ケーブル技術と住友理工の高分子材料技術を融合することで、次世代モビリティに不可欠な製品、システムの開発を加速できるもと考えている。
●住友電設の持分譲渡について(同24ページ)
同社グループ及び住友電設の企業価値のさらなる向上を図るため、適切な資本関係のあり方につき真摯に検討してきた。そのような中で、大和ハウスから、住友電設が75年間培ってき円ニアリングと人材の強みを、ダイワハウスグループの多彩なバリエーションチェーンの中でさらに発揮できるではないかとの提案をもらった。住友電設における検討も踏まえ、同社としては、ダイワハウスグループの一員となることが、住友電設の新たな成長への道を開くものと判断し、ダイワハウスによる完全子会社化に向けて、住友電設の持分を譲渡することにした。なお、ダイワハウス、住友電設、同社の3社間において業務提携契約を締結し、持分譲渡も従前の良好な取引関係を維持、継続するとともに、今後の3社における協業の展開を検討していくことに合意している。
本件は、住友理工の完全子会社化と合わせ、同社グループ全体の企業価値向上に資するものと考えている。
<企業価値向上に向けて>
〇ROIC 改善の取組み(同28ページ)
同社は、ROICを最重要指標として設定し、部門ごとに事業特性に応じたKPIや改善活動を個別に設定して取り組んでいる。
〇収益力向上に向けた取組み(同29ページ)
益力向上に向けて、事業の新陳代謝に取り組み、高付加価値化を追求することで利益率の改善を図っていく。
〇政策保有株式の方針(同30ページ)
政策保有株式は、今上半期は一部売却を含め合計7銘柄を処分した。下期以降に売却を予定している銘柄もあり、政策保有株式の縮減に向けた取り組みを今後も継続していく。
〇CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)(同31ページ)
25年度上期は98日と、前期末対比で1日の改善となりました。
コロナ禍前の水準に戻すことを目標としており、同ページの下段に記載の活動などに引き続き取り組んでいく。
〇フリーキャッシュフロー(同32ページ)
コロナ禍以降、稼ぐ力が改善しており、24年度には営業キャッシュフローが4,000億円を超過、今年度も4,000億円を上回る計画。
投資キャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローは2,000億円を見込む。
〇キャッシュ創出・アロケーション
●EBITDD(営業利益+減価償却+研究開発)と資金使途(同33ページ)
中期経営計画では、キャッシュ創出力を表す指標として、税や金利、減価償却費、研究開発費を差し引く前の利益であるEBITDADDを掲げているがが、最新の見通しでは、中計目標を上回り、3年累計で2兆円程度になる見通し。
●セグメント別設備投資額(同34ページ)
今回見直し後の設備投資は2,780億円と、環境エネルギーや情報通信を中心に積極的に設備投資を実施する計画。これらは先行投資を多く含んでおり、次期中継以降で成果を刈り取っていく。
〇ROE・セグメント別ROIC(同35ページ)
セグメント別には年度ごとの利益の増減により動きがあるが、全体で見ると、ROE、ROICとも中期経営計画の目標である8%以上上回る水準に到達した。今後はさらに高い水準を狙っていけるよう、収益力向上と資産効率改善への取組みを一層強化していく。
〇五方良し(同36ページ)
同社グループは、効率を重視、ステークホルダーとの共栄を図るマルチステークホルダーキャピタリズム“五方良し“を経営の基本思想として掲げている。本日説明した様々な取り組みを通じて企業価値向上を果たし、その成果をステークホルダーと共有していく。
<株主還元・配当>(同37ページ)
通期の配当予想は、中期経営計画で目標としている配当性向40%目安を踏まえて、前回公表を18円増額し、前期から21円増配となる1株当たり118円へ見直した。なお、住友電設売却による収入は、住友理工、完全子会社可能必要資金に充当する方針。したがって、配当は、住友電設売却益を除いた通常の事業活動から得られる利益に対して配当性向40%目安で実施する。
(IRuniverse 井上 康 )