国内ステンレススクラップ市況は現在、高値から安値の値幅がワイドである。
例えば中部地区の特殊鋼メーカーは304系スクラップでキロ当たり195~200円あるのに対して、輸出最大手の親和スチール社は先週22日に5円の下げを講じて、平均180円まで下げている。関係者によると「(スクラップの)需要が落ちていることで、うちではナイモノ高というのはないですね。在庫状況によってはさらに5円下げも考えている」とのこと。
日鉄系のJSPは185~190円(枠制限あり)だが、少なくとも5円の下げはありそうだ。中部地区も愛知製鋼がカッパー入りの304系スクラップが多く入ったことで返品多発したリバウンドで買値を引き上げたようだが、ここまで値差が広がると一気に10円の下げもありえる。
製品面では、11月の店売りで日鉄はニッケル系でキロ当たり5円の下げを打ち出し、12月もさらに5円の上げを企図していると聞く。
しかし
「市中ではステンレス鋼材の売れ行き悪いことで(年間通して悪い)引き続き、大手コイルセンターのI金属やS社のディスカウント販売が広がっている」(コイルセンターディストリビュータ氏)とのことで、市中では値上げムードはほとんどないようだ。
また輸入鋼材のほうでは
「日本のAD調査で台湾、中国品を避けて、韓国浦項ポスコに集中している。ホットコイルの生産はフルフル。インドネシア品は納期が通常の倍の4か月かかることで必然的に浦項ポスコへの発注が増えている。また、中国ヨンジンの製品に慣れたユーザーはベトナムヨンジンの鋼材輸入を増やしているため、ベトナム品の輸入量は確実に増える」(輸入商社筋)という。
しかし、であるならば、ポスコの生産は好調で、原料としてのスクラップ需要も旺盛なはず。
「いや、そんなことはないですね。実際、彼ら(ポスコ)の購入量は減らされているので、それにうちも粛々と対応して現在、在庫調整を行っているところ」とは親和スチール関係者。
ここで気になるのは今年相次いでいる浦項ポスコの火災含めた事故である。
KBSworldの記事によると、浦項ポスコでは今年だけで6人の死亡事故が起きている。
https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=91672
こうした事故によって、受注あっても順調に生産が進まない、ということも考えられる。
そのポスコ社の12月の韓国国内のステンレススクラップ買値は、304系でキロ当たり10ウォン下げの1810ウォンとなった。316と400系は未発表。304系の円価は194円、となる(26日の為替レートによる)。
台湾向けも弱くSABOTはトン当たり1200ドル前後に下落。ちなみにインド向けも同値。
アジア全体でみても実はステンレススクラップの需要はそう高くはない。
日本国内でも、これまではナイモノ高、為替の円安高原市況が支えていたが、需要面の落ち込みから師走相場は下げ含み、と予想する。
(最近3か月のLMEニッケル相場と為替円ドル相場の推移)

(IRUNIVERSE YT)