ドイツ・アーヘンを拠点とするバッテリーリサイクル・スタートアップのCylib(サイリブ)は、同社の独自技術により回収された炭酸リチウムが、大手国際電池メーカーの品質認証(認定)を取得したと明らかにした。回収された材料は既に新しい電気自動車(EV)用バッテリーの製造に使用されており、欧州における「バッテリー・サーキュラーエコノミー」の確立に向けた重要なマイルストーンとなる。
独自技術「OLiC」で商用グレードを達成
今回のプロジェクトで実証されたのは、Cylibが開発した水系リサイクルプロセス「OLiC(Optimized Lithium & Graphite Recovery)」である。
同社は使用済みのNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)バッテリーから、製造廃棄物やブラックマスを経てリチウムとグラファイトを回収。今回認定を受けた「リサイクル炭酸リチウム」は、特にLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーの主要部材である正極材の原料として供給される。
Cylibの共同創業者兼CEOであるリリアン・シュヴィッチ博士は、次のように述べている。
「大手バッテリーメーカーの厳しい仕様を満たしたことで、当社の水系OLiC技術が商用グレードの循環型材料を供給できることが証明されました。重要鉱物を現地(欧州)で回収することは、輸入依存度を低減し、欧州のバッテリーメーカーへの供給安定化に直結します」
なお、今回の提携先である大手電池メーカーの具体的な企業名は非公開となっている。
ポルシェ・ボッシュが出資、年産6万トン工場へ拡張
アーヘン工科大学からのスピンオフ企業であるCylibは、ポルシェ・ベンチャーズやボッシュ・ベンチャーズなどから既に5,500万ユーロを調達しており、欧州のバッテリーリサイクル市場における有力なプレイヤーと目されている。
現在、同社はノルトライン=ヴェストファーレン州のケムパーク・ドルマーゲンにて、初の産業用リサイクルプラントを建設中であり、2026年の稼働開始を目指している。
当初の計画では年間3万トンの処理能力(回収率90%目標)であったが、昨年12月にドイツ連邦経済・気候保護省から6,340万ユーロの資金提供を受けたことで計画を拡大。第2期拡張工事を含め、処理能力を年間6万トン(EVバッテリー約14万個分に相当)へと倍増させる方針を固めた。
同社は昨年夏にもSyensqo社と共同で水酸化リチウムの精製プロセスを発表しており、今回の炭酸リチウムと合わせ、多様な正極材ニーズに対応できる技術力を示した形となる。
(IRUNIVERSE)