スイス資源大手グレンコアは2月3日、自社ホームページ上で、「コンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)に保有する鉱山資産について、米政府系コンソーシアム(共同事業体)による出資を受け入れることを検討している」と発表した。対象となる鉱山の資産価値は合計90億ドル(1兆4000億円)で、米側が権益の40%を保有する。
■将来はカッパーベルト全体での資産取得でも協力
両者は既に拘束力のない覚書を交わした。米側は「オリオン重要鉱物コンソーシアム(オリオンCMC)を通じ、グレンコアがコンゴ南部に所有するムタンダ(ムミ)とカモト(KCC)の両銅鉱山に出資する。オリオンは非業務執行取締役を任命し、資産から該当する生産分を購入する権限を有する。これにより、米側はコンゴ産鉱物の安定供給の一助を得る。
コンゴの主要鉱山 南部に集中している

(出所:JOGMEC)
また、グレンコアとオリオンCMCは、コンゴ政府と、グレンコアがかねてKCCの運営で協力していたコンゴ国営鉱山会社のジェカミンと協力し、両鉱山の拡大や、コンゴおよびアフリカのカッパーベルト全体での生産拡大と資産確保を目指す。
■グレンコア、25年の銅コバルトの生産は減少
グレンコアは英豪同業のリオ・ティントとの経営統合を計画する。統合の過程で資産整理を進めるとみられ、今回の出資受け入れは統合への過程の一環と言えそうだ。
同社が1月末に発表した2025年の生産量は、銅が85万1600トン、コバルトが3万6100トン、亜鉛が96万9400トン、ニッケルが7万1900トン。亜鉛のほかは前年から生産量が減少した。
プレスリリース: Full Year 2025 Production Report
■米中対立が背景か、国営ジェカミン巻き込む
オリオンCMCは、投資会社オリオン・リソース・パートナーズ(本社:米ニューヨーク)が米政府と提携して2025年10月に設立したコンソーシアム。重要鉱物のサプライチェーン(供給網)開発することを目的とする。
コンゴの鉱山資産は多くが中国資本の傘下にある。洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)は、コンゴにテンケ・フングルーメ(TFM)とキサンフー(KFM)の両大型銅鉱山を所有し、コバルト生産量で世界首位に立つ。
これに対し、米国はかねてコンゴ地場のチェマフ・リソーシズ(Chemaf Resources)による中国国有の中国兵器工業集団への資産売却計画を、ジェカミンを通じて阻止するなどの行動に出て、コンゴにおける中国勢の拡大を阻止してきた。コンゴは2025年2月からコバルト輸出を規制しているが、これも米中対立が背後にあるとの見方がある。今回のグレンコアの出資受け入れもその流れでとらえることができそうだ。
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(IR Universe Kure)