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高炉3社:25年度業績および26年度の見通しについて

2026/02/11 15:24
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高炉3社:25年度業績および26年度の見通しについて

 高炉3社の25年度3Q決算が出揃った。各社とも厳しい外部環境は変わりなく、各社とも微修正するなか、日本製鉄は想定外の事故影響の減益要因が追加され、修正幅が目立つ結果となった。ここでは3社の25年度見通し及び26年度見通しについて現時点での見方を考察してみた。

 

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<高炉3社の25年度見通し>

 高炉3社は3Q決算を受けて25年度見通しを微調整した。

 

図表1、高炉3社の25年度3Q実績(億円、万トン、円/ドル)

出所:各社発表資料よりIRU作成

 

〇日本製鉄

 25年度通期の事業利益を4,500→4,200億円、6,800→6,200億円に下方修正した。室蘭地区の事故影響(▲400億円)が響いた。また、原料炭価格の上昇分として▲200億円を見込んでいる。ただ、今回の業績見通しにUSスチールの業績を見直していない。理由は熱延コイル市況がトランプ関税の影響で上昇(スプレッドが拡大)しているものの、寒波影響(物流面と若干生産に影響)があるため見直さなかったとの事。ただ、素材産業においてスプレッドの拡大による収益への影響が、数量要因より大きいことを経験上知っているため、着地は上振れする可能性がある。ちなみに、インドの市況は、25年末のセーフガード発動以降熱延コイル市況の上昇が続いており、同社にとってはプラス要因になる。

 

 なお、一部メディアでは同社のみが当期損益の赤字転落(▲700億円:前期は3,502億円)を強調している記事があるが、その主因は個別開示項目にあるようにAM/NS Calverの持分譲渡損失(▲2,311億円)やウジミナス持分譲渡(▲168億円)を中心に▲2,700億円(前回予想より▲100億円)が主因で、室蘭工場の事故は、その他の増益要因で吸収できている。

 

〇JFE HD

 25年度の事業利益1,400億円を据え置いたが、実力利益は、1,900→1,700億円と下方修正した。これは、原料炭価格上昇分(▲250億円)を織り込んだため。同社は日本製鉄と異なり紐付価格を先決めで決めていないため、今後の価格転嫁の浸透具合によっては業績が上振れする可能性がある。また、同社もインドの熱延コイル市況の上昇はプラス要因になる。

 

〇神戸製鋼所

 25年度の経常利益1,100億円を据え置いたが、実力利益は1,240→1,180億円と下方修正した。機械・エンジニアリング事業は堅調であるが、電力事業の定期点検の遅延▲50億円が大きく、鉄鋼のスプレッド悪化(原料炭価格上昇)を織り込んだため。同社もJFE HDと同様、紐付き価格を先決めで決めていないため、今後の価格転嫁の浸透具合によっては業績が上振れする可能性がある。

 

図表2、高炉3社の25年度業績見通し(億円、万トン、円/ドル、円/株)

出所:各社発表資料よりIRU作成

 

<高炉3社の26年度見通し>

 26年度も原燃料価格の上昇など引き続き厳しい環境が続くと思われるが、26年度の業績を見るうえでのピントをまとめてみた。なお、26年度の原燃料価格について足元の価格水準が続くとし、鉄鉱石については100ドル/トン(前年度比8%上昇)を、原料炭については250ドル/トン(27%上昇)と想定。各社共通の減益要因が発生する。なお、原料炭価格はサイクロン時期が過ぎれば値下がりする可能性はあるが、今回の想定には、それを織り込んでいない。

 

図表3、原燃料価格の動向(ドル/トン)

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

〇日本製鉄

 26年度は前年度に発生した一過性要因▲700億円が無くなることに加え、USスチールの利益貢献が期待できる。同社は紐付き価格が先決めであるため、他社と異なり原燃料価格の減益分を年初から薄めることができる。また、インドのAM/NS Indiaの業績は40%持分なので事業利益に取り込める。なお、当期損益について前年度に発生した株式譲渡損▲2,479億円が無くなるため、黒転しよう。

 

〇JFE HD

 前年度は、棚卸資産評価差等が+710億円もあった。特にキャリーオーバー影響が+780億円もあったため、26年度の影響が気になるところ。また、原燃料価格上昇分の価格転嫁の浸透具合をどう見るかもポイントになる。少なくとも1,000円/トン程度の値上げが必要になるが、国内需要や輸出環境が厳しいことを加味すれば、吸収できない可能性がある。ただ、インドのJSWの増益が期待できるが、15%持分が事業利益に取り込める。

足元、同社の株価が一番上昇しているが、26年度の業績を考えると持ちこたえるのかが気になる。

 

〇神戸製鋼所

 電力事業の燃料調整の増益や売電価格の一過性の増益要因、定期点検の遅延影響(▲50億円)など無くなると思われるが、明確なのは+50億円。また、JFE HD同様、原燃料価格の製品価格への転嫁が、どこまで吸収できるのかポイント。なお、当期利益は有価証券売却益+176億円は減少する可能性がある。

 

<参考>

図表2、高炉3社の株価推移(%:2025年末=100)

出所:YahooファイナンスよりIRU作成

 

 

(IRuniverse 井上 康)

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