2月17日16時、三菱マテリアルとUBEの持分法適用子会社であるUBE三菱セメントが25年度3Q決算について説明会を開催した。説明会資料はこちら。同社は東京証券取引所への上場を見座している。
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<25年度3Q実績>
〇諸元(資料4ページ)
3Q累計の国内セメント需要は前年比93%の2,339万トン。40ヵ月連続で前年を下回った。週休2日制の導入や時間外労働規制による平日の稼働時間の減少、変更基準や熱中症対策による工事進捗の遅れなど、複合的な要因を受けた結果と考えている。
同社のセメント国内販売は569万トン、前年比95%。輸出は225万トン、同103%。輸出採算重視の方針は継続している。
米国南カリフォルニアでのセメント販売量は113万ショートトンと、同91%。米国生コン販売は431万キュービックヤードで、同88%。
需要は低水準で推移した。石炭は、グローバルコールインデックス6,000キロカロリーのFOB価格は106ドル、為替は1ドル149円。連結対象会社は、連結子会社51社、持分法適用会社10社、前期末期で増減はない。
〇損益計算書(同5ぺーじ)
売上高は同270億円減収の4,042億円、営業利益は25億円減益の405億円、当期利益は46億円減益の201億円となった。
売上高は国内、海外事業ともに減収した。国内事業は、環境エネルギー事業における外販、石炭の価格下落と減販。1Qでの電力事業の定期検査と設備不良などが減収の主因。海外事業は、米国での生コンの減販による減収。
営業利益のうち海外事業が占める割合は51%。前年比較では国内増益、海外減益。前年比較の詳細は後ほど。
特別損益に記載のある米国訴訟損失引当金繰入額▲56億円は、上期に計上したロバートソン社の生コン事業用地に関わるもの。減損損失▲40億円、前年増減としての記載となっているが、今期計上額は45億円で、昨年12月23日に発表したセメント体制の再構築に伴う九州工場神田第2地区設備の減損。
図表1、25年度3Q実績(百万円)

出所:会社発表資料よりIRU作成
〇セグメント別(同6ページ)
●セメント事業:前年並みの営業利益だが、国内事業が57億円の増益、米国事業が▲58億円の減益。国内事業は後で説明。米国事業は、1Qで発生したセメント工場での定期休転コストの影響や生コンの減販版が減益の主因。値上げについては、マーケットの状況を勘案し、ごく一部の実施にとどまった。
●環境エネルギー事業の減益は、単体電力事業における2年に1度の定期検査と設備不良対応による休業影響に加え、豪州石炭採掘事業での石炭市況下落影響が中心。
●資源事業の増益は、値上げや燃料コストの減少によるもの。
〇セメント国内営業利益要因分析(同7ページ)
営業利益増益57億円のうち、国内セメント固化材の値上げを中心とした販売価格差が+69億円、輸出価格下落影響が▲20億円、熱エネルギーコスト低減が+44億円といったところが主な要因。
国内のセメント・固化材のトン2,000円の値上げについては、サプライチェーン全体での価格転嫁推進により大多数のユーザーから有額回答を得ているが、一部段階的な獲得となっている。また、国内事業の収益は改善傾向にあるが、まだ十分な利益率とは言えない。
※筆者は89年からセメント業界を見ているが、幕張などウォーターフロント開発が盛んな時は値上げがと通ったことがあるが、基本的には需要低迷・・・8,000万トン以上もあった国内需要は現在、半分以下にまで縮小。国土面積がわが国よりも小さい韓国のセメント需要と同等の水準だ。セメント業界は、国から不況産業との指定を受け、産構法や円滑化法などの指定のもと統廃合が進んだが、国内需要の低迷もあり、効果があったのかどうか、わからない状況。実際、UBE三菱セメントが誕生したのは1998年のことなのだから。
同じ建築基礎素材である鉄鋼と比べても、セメントは付加価値がつけにくいことも、値上げがしにくい要因になっている。鉄鋼では、自動車用鋼板や電磁鋼板など付加価値の高いものがあるが、セメントは普通ポルトランドセメントがほとんどで、そこまで高付加価値なセメントが無い。なので、セメント各社は、セメント製造時のエネルギー代替(廃タイヤ、廃木材など)や原料代替(汚泥など)として産業廃棄物処理を行うことで収益を確保してきたが、現在では、これ以上の産廃物を受け入れる余地が無い。投入比率の上限になっており、これ以上入れるとJIS規格から外れてしまうほどだ。
<25年度業績予想>
〇諸元(同10ページ)
セメント国内需要は、前回同様、前年比95%となる3,100万ドンとしているが、やや弱含みで見ているため、同社国内販売は前回予想から微減の742万トン。輸出についても、前回予想比微減の319万トン。
米国は、セメント、生コンともに足元の需要の弱さを反映し、前年下期並みの販売量としていたが、今回は前年下期に対し減販を織り込んだ。石炭、グローバルコールインデックスと為替は3Qとほぼ同じ。
〇業績予想(同11ページ)
売上高は前回と同額の5,400億円、営業利益も同額の510億円、当期利益は40億円減益の220億円の見通し。
営業利益のうち海外事業が占める割合は49%。前回予想比較では国内増益、海外減益。詳細は後ほど。
当期利益は、3Qに計上した減損損失影響により下方修正。
図表2、26/3期業績見通し(億円)

出所:会社発表資料よりIRU作成
〇セグメント別(同12ページ)
●セメント国内事業は、売上高、営業利益ともにほぼ前回並み。米国事業は、減販織り込みにより▲27億円の減益見込み。
右側の前年増減。セメント事業の増益9億円のうち、国内が+79億円の増益、米国が▲70億円の減益。
国内は増収増益で、値上げと熱エネルギーコスト低減が主な要因。米国は減収減益。減販や工場休転コストの期ずれなどによるもの。
●環境エネルギー事業は、豪州で石炭販売量がやや持ち直し、+10億円の増益見込み。
右側、環境エネルギー事業は減収減益。▲25億円減益のうち、国内が電力事業の定期検査、設備不良影響などで▲13億円の減益、欧州が石炭市況下落を主因として▲12億円の減益。
●資源事業は増収増益。
以上により、全体で前年並みの営業利益を確保する見通しに変更はない。
<参考>
図表3、四半期別業績推移(億円、%)

出所:会社発表資料よりIRU作成
(IRuniverse 井上 康)