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世界の海上には千隻以上の「闇のタンカー船団」が存在

2026/02/24 14:21
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世界の海上には千隻以上の「闇のタンカー船団」が存在

「闇のタンカー船団」、基本的に違法で規制外のタンカーが、プーチンのロシア、次いでイラン等から制裁対象の石油を積載し、中国などの買い手へと海上輸送することが、ますます深刻な問題となっており、その数は世界で千隻以上といわれている。

 

増え続ける「闇のタンカー船団」

2023年の2月で600隻 注)ほどだった「闇のタンカー船団」が、現在の様に千隻以上に増え続けている原因はロシア産原油は運搬する「闇のタンカー船団」への取り締まりが世界の随所で厳しさを増していることだ。

 

注)「闇のタンカー船団」出現とシップ・リサイクルへの影響(2023年9月14日)

https://www.iru-miru.com/article/62777

 

窮地に立つロシア石油産業

ロシア産原油に対するディスカウント(値引き)要求は一段と激化しており、買い手が求める国際的な原油価格に対する値引き幅は、ウクライナ侵攻開始直後の数カ月以来で最大となっている。

 

こうした状況が、ロシア経済の最大の収入源である原油の輸出が正念場を迎えていることを浮き彫りにしている。プーチン大統領が2022年にウクライナに侵攻して以降、西側諸国はロシアの石油産業を締め付けようとしてきたが、ロシアは巧みに制裁を回避、独自の「影のタンカー船団」を組織して、原油の新たな買い手を見つけだしていた。

 

しかし、特定の船舶に対する欧州の制裁、公海上での船舶拿捕、ロシアとインドの間にくさびを打ち込もうとするトランプ米大統領の取り組みが功を奏し、新たな圧力の波がロシアの石油産業を不安定な状態に陥れている。

商品(コモディティー)関連データを分析するアーガス・メディア(Argus Media)によると、ロシアの主力油種「ウラル」は1バレル=45ドル前後で取引されており、国際的な標準油種である北海ブレント原油の取引価格を約27ドル下回る記録的な低水準となっている。

 

この水準は既に、ロシアの26年の財政収支を均衡させるために必要な1バレル=59ドルを大きく下回っており、ロシアの石油会社が採算割れとなる生産損益分岐点に近づきつつある。アナリストらはこれを1バレル=20~25ドルと推定しており、今年1月に同国の石油・ガス収入は、20年7月以来で最も低い水準となった。

 

国際通貨基金(IMF)は1月、25年と26年のロシア成長率見通しをわずか0.6%と0.8%にそれぞれ下方修正した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の年を除けば、14年のロシアによるクリミア併合以降で最も低い成長率となる。

 

洋上に滞留するロシア産原油

ロシアが原油の販売に苦戦している兆候として、原油市場分析会社ボルテクサ(VORTEXA)によると、2月10日時点で約1億4300万バレルが洋上に浮かんだまま、買い手がつくのを待っている。ロシアの25年の生産水準に基づくと、これは約半月分の生産量に相当するそうだ。

 

この大半は、ロシア、インド、中国の港湾付近、またはマレーシア沖の公海など主要貿易ルート沿いの洋上積み替え地域の周辺にあると、ボルテクサの担当者は述べている。

 

インドや中国の国営製油所といった従来の買い手は慎重姿勢を保っている。中国の民間の買い手を引き付けるため、ロシア産原油の洋上在庫はイラン産に対抗して価格を引き下げる必要に迫られている。イラン産は通常、さらに大幅なディスカウントで販売されている。

 

1月のインドによるロシア産原油の購入量は日量114万バレルと、月間ベースで22年12月以降の最低水準となり、ロシア石油製品の輸入も大幅に減少した。

 

影の船団に圧力

ロシアの石油産業への影響でさらに懸念されるのは、米国と欧州が最近、「影のタンカー船団」を世界の海上で相次いで拿捕し、差し押さえていることで、所有者が不透明、欧米の保険や金融サービスを介さずに運用されているこれらの船舶は、25年にロシア産原油の約80%を輸送した。

 

フランス海軍は先月、ロシア産原油をアジアに運ぶタンカーの通過ルートである地中海で、「グリンチ号」という名前のタンカーを拿捕した。今週には、米軍が「アクイラ2号(Aquila II)」を拿捕した。同タンカーはベネズエラ産原油を積載していたが、過去にはロシア産原油を輸送していた。

 

「影のタンカー船団」の差し押さえが頻発するようになれば、売り手はリスクが大き過ぎるとして、供給を思いとどまるかもしれないが、ただ現時点では、ロシアにとっては得られる収益の方がタンカーを拿捕されるリスクを依然として上回っているようだ。

 

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

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