春節休暇明けとともに再び上値を試してきていたリチウム市況に足元、天井感が出てきた。ジンバブエによるリチウム濃縮物など未加工鉱物の輸出停止の発表も重なって急反発していたが、ここにきて押し戻され始めた。主要指標の炭酸リチウム(99.5%、China)で9日現在、2月末に記録した直近の最高値比で2,500元安の1トン15万6,000元(仲値)の水準にある。主要仕向け先になるEV市場で大手メーカーの2月の販売不振が確認され、成長分野のBESS(バッテリーエネルギー貯蔵システム)でも有望な輸出先である中東の情勢緊迫化で先行き懸念が浮上してきたためだ。上下動を繰り返しながらも昨年後半以降、上値を試してきた同市況が本格的な調整局面入りするのか、ひとつの節目を迎えている。
9日現在、(99.5%、China)は1トン当たり安値15万3,500元、仲値15万6,000元、高値15万8,500元の水準にある。2月上・中旬の直近最安値の1トン13万7,500元(仲値)から2月末には仲値で15万8,500元へと大きく上げてきていたが、足元ピークアウトし、反落場面を迎えている。

炭酸リチウム (99.5% China) 相場
主因はEVの販売不振。2月の新車販売が前年同月比でおよそ41%減となった最大手のBYDを始め、主要メーカーの多くが実績割れとなった。春節休暇(2月15‐23日)による営業日数減だけでなく、消費者向けのEV購入支援措置の縮小が、その背景として指摘されている。4日にあった米・イスラエルによるイラン攻撃も、これに追い打ちをかけた。成長著しいBESSの有望な輸出先になる中東の情勢が混乱し、その販売が落ち込めば、原料のリチウム市況への波及も避けられないからだ。
今後の中東情勢の展開にもよるが、今回の市況の反転の背景には、そうした地政学リスクや構造的な要素も絡んでいるだけに、下げ幅の大小だけでなく、市場の全体の動きをしっかり押さえておく必要がありそうだ。
2月25日にあったジンバブエの輸出規制の発表で、市況が底上げされていた分の調整がどの程度の広がりを持つのか、その点への目配りも欠かせない。規制対象は精鉱ベースにとどまり、中間製品の硫酸リチウムは規制対象に含まれないことを市場が織り込みつつあるからだ。投機筋の資金逃避の動きは速い。
一方、(99.5%、Delivered EU)は好調なE V販売などを背景に上値を試す局面が続いており、9日現在、年初比4ドル高の1キロ19.45ドルの水準にある。(99.5%、China)と昨年来、ほぼ同じ足取りをたどってきたが、ここにきて独自の動きを見せ始めた。

炭酸リチウム(99.5%min Delivered EU)相場
(IRuniverse G・Mochizuki)