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為替相場推移 TTS 3か月
タングステンAPT(EU Freemarket) 1年
純タングステンススクラップ(USD/Kg cif Japan) 1年
(輸出分析)
■数量では、
2月単月は119トンと、前月180トンから減少(前月比66%)し、1月にみられた急回復の反動減となった。前年同月比では225%と大幅増を維持しているものの、月次では再び振れの大きい展開に戻っている。
主要仕向け地別では、
ドイツは51トン(前月ゼロ)と急回復し、一転して最大仕向け先に浮上。
米国は9トン(前月45トン)と大幅減(前月比20%)となり、前月の反動が顕著。
台湾は22トン(前月108トン)と急減(同20%)し、主力から一転して縮小。
中国は実績ゼロ(前月1トン)となり、引き続き低水準。
韓国は37トン(前月22トン)と増加(同168%)し、相対的に存在感を回復。
オーストリアは引き続き実績ゼロ。
「その他」もゼロ(前月4トン)となり、補完的需要も縮小した。
総じて2月は、ドイツ向けの急回復と韓国向けの増加が下支えとなった一方、前月の主導役であった台湾・米国向けが大きく反落し、全体数量は減少した。仕向け地の主役が月ごとに入れ替わる構図は変わらず、輸出は引き続きスポット依存型で不安定な構造が継続しているとみられる。
なお、1〜2月累計は299トン(前年比170%)と前年を大きく上回っており、基調としては回復方向にある。ただし、その内実は特定国向けの断続的な大口出荷に依存しており、持続的な需要基盤の強さを示すものとは言い難い。短期的には、案件ベースでの数量変動が引き続き大きく、安定的な輸出構造への転換にはなお時間を要する局面といえる。
(表―1、グラフ―1)。


■金額では、
2月単月は5億95百万円と、前月8億27百万円から減少(前月比72%)し、数量同様に1月の増勢から反落した。もっとも前年同月比では307%と高い伸びを維持しており、基調としては回復局面にある。
仕向け地別では、
ドイツは1億62百万円(前月ゼロ)と急回復し、主要市場の一角として再浮上。
米国は49百万円(前月2億51百万円)と大幅減(前月比19%)となり、前月の反動減が顕著。
台湾は85百万円(前月4億72百万円)と急減(同18%)し、主力から大きく後退。
中国は実績ゼロ(前月4百万円)となり、引き続き極めて低水準。
韓国は2億99百万円(前月78百万円)と大幅増(同383%)し、当月最大の仕向け先となった。
オーストリアは引き続き実績ゼロ。
「その他」もゼロ(前月22百万円)となり、補完的需要は縮小。
総じて2月は、韓国向けの急増とドイツ向けの回復が全体を下支えした一方、前月の主導役であった台湾・米国向けが大きく反落し、金額は減少した。仕向け地の主役が短期間で入れ替わる構図は継続しており、輸出は引き続きスポット案件依存の不安定な構造にある。
なお、1〜2月累計は14億22百万円(前年比263%)と大幅増となっており、前年対比では回復が明確。ただしその内実は特定国向けの断続的な大口出荷に依存しており、安定的な需要回復というよりは案件主導の変動が支配的な局面と整理できる。
(表―2、グラフ―2)。


■平均FOB単価は、
1月の4,596円/kgから2月は4,996円/kgへ上昇し、前月の急落から反発した。2月は円高方向への動きもあったため、円建て単価の上昇は為替ではなく、タングステン国際市況そのものの急騰を反映した可能性が高い。
背景には、APT国際価格が2月25日に高値1,900ドル/MTUと2,000ドルの節目に迫り、中国鉱石価格も一段高となるなど、上流価格の急伸が続いたことがある。酸化タングステンも上昇しており、輸出FOB単価にはこの市況高が遅れて反映され始めたとみられる。
仕向け地別では、
米国向けは5,574円/kg→5,428円/kgと小幅低下ながら高水準を維持。
台湾向けは4,369円/kg→3,846円/kgへ続落。
中国向けは実績ゼロ。
一方、韓国向けは3,550円/kg→8,082円/kgへ急騰し、当月の全体平均を大きく押し上げた。
ドイツ向けも新たに3,176円/kgで出現した。
数量構成では、2月は韓国向けが37トンと最大となり、同国向けの高単価化が平均FOB単価上昇の主因となった。一方、1月に主力だった台湾向けは108トンから22トンへ急減し、全体数量も180トンから119トンへ縮小している。
したがって2月は、数量面では反落したものの、APT・鉱石・酸化タングステンの急騰を背景に、高単価案件が平均単価を押し上げた月と整理できる。ただし、炭化タングステン、フェロタングステン、スクラップなど一部品目では足踏みもみられ、最終需要の弱さも残る。市況は強いが、輸出単価はなお仕向け地構成に大きく左右される不安定な高値圏にある。
(グラフ―3)。

主要税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望
足元のタングステン市場は、2026年2月の急騰(APT約1,900ドル)→3月の加速(同2,400ドル)→4月の過熱調整(同3,000ドル超で一服)という流れを経て、明確に「上昇トレンドの中の調整局面」へ移行しつつある。
構造的には依然として強気の前提は崩れていない。中国の輸出制約に加え、西側の精錬・還元能力不足というボトルネックは解消の見通しが立たず、APT市場は実質的に「中国価格+プレミアム」で形成される状態に移行している。このため、中期的には供給制約を背景とした上振れ余地(いわば青天井性)は依然として残る。
一方で、短期的には変調が鮮明になっている。
• 中国鉱石価格は3月末のピーク(100万元台)から明確に反落
• 酸化タングステン・カーバイド・フェロタングステン・スクラップは横ばい圏へ移行
• 下流の買い手は高値追随を避け、様子見姿勢を強めている
つまり、価格上昇の牽引役は引き続きAPTおよび上流原料にあるが、中間材・加工材は需要の限界を映して追随が鈍化している。この乖離は典型的な過熱局面の終盤に見られる構図でもある。
また、需要面では中東紛争に伴う軍需関連(ドローン・ミサイル)やエネルギー分野(太陽光ワイヤー等)が引き続き下支えとなるが、民生用途を含めた最終需要が全面的に強いわけではない。このため、価格は需給というよりも供給制約と投機資金に強く規定される不安定な上昇局面にある。
以上を踏まえると、今後のシナリオは以下の通り。
• 短期(1〜3か月):
高値警戒感からの調整・もみ合い。APTは高値圏維持も、ボラティリティは一段と拡大。
輸出単価も仕向け地ミックスやスポット案件に強く左右され、乱高下が継続。
• 中期(半年〜1年):
供給制約が解消されない限り、基調は強気維持。再び上昇トレンドへ回帰する可能性が高い。
ただし上昇は直線的ではなく、急騰→調整の繰り返し(階段状上昇)となる公算。
• リスク要因:
中国の政策転換(輸出緩和)
投機資金の巻き戻し
需要減速による高値崩れ
総じて、タングステン市場は「構造的逼迫を背景とした強気相場」から「過熱修正を伴う高ボラティリティ相場」へ移行した局面にある。スクラップを含む関連市場も同様に、基調は堅調ながら、統計上は仕向け地・品種構成の変化による振れが一段と大きくなる展開が続く見通し。
(輸入分析・2月更新)
■数量では、
2月単月は134トンと、前月150トンから減少(前月比89%)。前年同月(55トン)比では244%と大幅増を維持しており、基調としては高水準が続く。1月の急増からはやや反落したが、2025年以前と比べれば明確な水準切り上がり局面にある。
上位国別では、
• シンガポール:36トン(前月比97%)
ほぼ横ばいで推移し、引き続き最大級の供給源。高値環境下でも安定供給機能を維持。
• ドイツ:33トン(同110%)
増加基調を維持し、欧州系の供給が底堅い。西側供給の不足が指摘される中で、相対的に存在感を高めている。
• 中国:7トン(同25%)
大幅減少。輸出制約の影響を受け、供給の細りが鮮明。構造的な減少トレンドが継続。
このほか、
• インド:8トン(新規出現)と供給源の多様化が進行。
• 英国:5トン(同500%)と急増するも規模は限定的。
• 台湾:2トンと低水準継続。
• 「その他」:43トン(同80%)と減少ながら依然大きなシェアを占める。
■構造的評価
総じて2月は、数量自体はやや減少したものの、供給構造の変化がより鮮明となった月といえる。
• 中国依存の低下
• 欧州・シンガポール・その他への分散
• インドなど新規ソースの浮上
といった流れが継続している。
これは、タングステン市場近況で指摘されている通り、
• 中国の輸出制約
• 西側の精錬・供給能力不足
という構造要因を背景に、調達側が供給源の分散を強制されている状態と整合的である。
■市況との関係
2026年2月はAPTが1,900ドル/MTU水準へ急騰していた局面にあたり、本来であれば調達抑制(数量減)が生じやすい環境である。実際、1月→2月では数量は減少している。
しかしながら、前年同月比でみれば大幅増が続いている点から、
• 必要量の確保を優先した“確保型輸入”
• 高値でも買わざるを得ない需給逼迫
が同時に進行しているとみられる。
■総括
2月は、
• 数量:高水準維持も小幅調整
• 構造:中国縮小・多極化進行
• 背景:APT急騰と供給制約
という三点で整理できる。
タングステン市場は3月以降さらに急騰(APT2,400ドル→4月3,000ドル超)しており、この流れを踏まえると、輸入は今後も
「数量は不安定・供給は分散・コストは上昇」
という構図が続く可能性が高い。
(表―1、グラフ―1)。


■金額では、2月単月は14億61百万円となり、前月15億61百万円から小幅減少、前月比94%となった。ただし前年同月比では702%と大幅増を維持し、金額水準はなお極めて高い。
国別では、
中国は1億74百万円で前月比39%と大きく減少。数量減に連動し、1月の主力からやや後退した。
シンガポールは3億79百万円で前月比120%と増加。数量がほぼ横ばいだった一方、金額は伸びており、単価上昇または高品位品の比率上昇が示唆される。
ドイツは2億45百万円で前月比97%とほぼ横ばい。数量も増加基調を維持しており、安定した主要供給源として機能している。
「その他」は3億89百万円で前月比73%と減少したが、なお最大級の構成要素であり、全体を下支えした。
英国は1億63百万円と前月11百万円から急増し、当月の特徴的な押し上げ要因となった。インドも75百万円で実績が再開、台湾は35百万円と小口ながら計上された。
1-2月累計では30億22百万円となり、前年同期比496%と急拡大した。特にシンガポール、ドイツ、「その他」の寄与が大きく、中国も累計では6億24百万円と前年を大きく上回っている。
総じて2月は、中国と「その他」の減少で単月金額はやや反落したものの、シンガポール、英国、インドの増加が下支えし、高水準を維持した。数量は前月比89%、金額は同94%にとどまっており、数量減ほど金額は落ち込んでいない。これは輸入品の単価・品位構成が上振れしている可能性を示しており、タングステン輸入は数量よりも金額面で一段と過熱感を帯びた局面が続いている。
(表―2、グラフ―2)。


■輸入CIF単価は、全体平均で1月キロ10,406円から2月10,902円へ上昇し、前月に続いて高値を更新した。2月は為替がやや円高方向に振れた局面だったが、それでも円建て単価が上昇しており、APTなどタングステン国際市況の急騰が強く反映されたとみられる。
国別では、
中国は16,056円→24,862円へ急騰し、突出した高単価となった。ただし数量は28トン→7トンへ急減しており、高単価ながら数量寄与は限定的。
台湾は2トンのみながら17,472円で再開し、高値圏での小口入荷となった。
シンガポールは8,554円→10,530円へ上昇し、高水準をさらに切り上げた。数量も36トンとほぼ前月並みで、全体平均の下支え要因となった。
インドは9,350円で再出現し、低くはない水準。
英国は32,697円と突出した高単価を記録し、少量ながら平均単価を押し上げた。
ドイツは8,449円→7,439円へ低下し、主要国の中では唯一調整色がみられた。
総じて2月は、中国・英国・台湾などの高単価案件が全体を押し上げた一方、数量面ではシンガポール、ドイツ、その他が中心で、単価上昇は広範な全面高というより高単価スポット案件によるミックス押し上げの色彩も強い。
それでも、円高気味の為替環境下で平均単価が上昇した点は、タングステン国際価格の上昇圧力がなお極めて強いことを示す。輸入単価は引き続き、市況高騰+品種・仕入先ミックス変動に左右される高ボラティリティ局面にある。
(グラフ―3)。

主要税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望(輸入)
タングステン輸入は、APT価格の急騰と高止まりを背景に、当面は高単価・低弾性の状態が続く公算が大きい。2026年2~4月にかけてAPTは$2000→$3000台へと急伸し、その後も高値圏で推移していることから、輸入単価は為替が円高方向に振れても下がりにくい構造にある。とりわけ中国市況が価格決定の基軸である以上、輸入価格は引き続き「中国APT+プレミアム」の形で上振れしやすい局面が続くとみられる。
一方で、足元では過熱感に伴う調整も一部で顕在化している。市場レポートでも指摘されている通り、4月以降は中国鉱石価格のピークアウトや、下流の買い控えによる様子見姿勢が広がっており、輸入においても高値忌避による数量抑制圧力がかかりやすい。結果として、短期的には「数量は伸び悩み、金額は高止まり」という構図がより鮮明になりやすい。
また、輸入構造の面では変化が続く。中国からの直接調達は依然として価格指標としての影響力を持つものの、実務上はシンガポールや欧州(ドイツ・英国)経由の比重が高まり、流通経路の多層化・間接化が進行している。これは中国の輸出制約や西側の精錬能力不足を背景とした構造的変化であり、輸入単価のばらつき(ミックス要因)を一段と拡大させる要因となる。
中期的には、中国鉱山の老朽化・資源制約という供給面の制約に加え、西側の精錬・還元能力不足というボトルネックが解消されない限り、需給は引き締まりやすい。軍需・エネルギー関連(太陽光向けワイヤー等)といった新規需要も底堅く、価格の下押し余地は限定的とみられる。
したがって、輸入市場は、
• 短期:高値警戒によるもみ合い・数量調整
• 中期:供給制約主導の強基調維持
• 構造:調達先多極化と価格ボラティリティ拡大
という三層構造で推移する可能性が高い。特に統計上は、仕向け先や経由地の変化による単価の振れが大きくなりやすく、実勢価格の把握には一層の注意が必要な局面に入っている。
(IRUNIVERSE S. Aoyama)
本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意図したものではありません。