26年3月の貿易統計の発表を受けて、国内スポンジチタン2社の分析を行った。なお、大阪チタニウムテクノロジーズは大チタ、東邦チタニウムを東チタと表記する。
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<貿易統計>
〇輸出量
26年3月のスポンジチタン輸出量は、大チタが前年同月比60.2%減と4ヵ月連続の減少。一方の東チタも同30.4%減と、2ヵ月連続で減少。大チタは25年9月以降、月別の輸出量が減少傾向になっている。今年に入り回復の兆しを見せたが、3月は大きく減少した。1、2月は1,000トン前後だったのが3月826トンと落ち込んだ。これは、出荷タイミングのズレが考えられる。一方、東チタの輸出量は、今年に入りおおむね860トン前後で推移している。なお、両社の伸び率の違いは、各社の主要ユーザーが異なることに起因している。ボリュームの多い輸出先でみると、東チタは米国最大のチタン展伸材メーカーであるTIMET向けが多く、大チタは米国の特殊鋼大手メーカーであるATI向けが多い。両社とも四半期毎の微調整があるが、年間の販売数量は、既に決まっている。
図表1、大チタの輸出量推移(トン、%)

注意:伸び率は前年同月比
注意:神戸税関からの米英向けの合計
出所:貿易統計よりIRU作成
図表2、東チタの輸出量推移(トン、%)

注意:伸び率は前年同月比
注意:横浜と門司税関からの米英向けの合計
出所:貿易統計よりIRU作成
26年スポンジチタン輸出については、前半は伸び悩むものの、後半のどこかのタイミングで回復してくる可能性がある。その際は、過去のパターンから見て、垂直立ち上げのような形になる可能性がある。様々なトラブルに見舞われたボーイングも年内の回復が期待できること。人気機種のB737MAXが6月中に月間生産機数の制限が緩和されるのかにも注目したい。また、エアバスのNEOシリーズの一部のエンジントラブルも、部品交換対応などで短期間に終わる見通しのため。
〇チタンの販売価格について
スポンジチタンは6割以上が輸出で、ほぼ全量が航空機向けである。ただ、輸出価格はその6割が長期契約(3-5年:為替や原燃料コスト面で一応見直し条項は付いている)となっており、毎年価格(1-12月)を決めるのは4割程度に過ぎない。需給がタイトでひっ迫している時は、年内の10月頃に決まることもあるが、逆に需要が弱く、読みにくいときは、年を越し4-5月になることもある。一方の国内向けも年間契約であるが、こちらが4-3月の契約になる。3ヵ月のタイムラグがあるが、これまで国内価格は輸出価格に概ね連動していた。しかし、ここ数年は、そこに連動性があるとは言えない。輸出価格は弱含んでいる中、国内価格は堅調に推移してきた。ただ、26年度の国内向けは、電力など諸経費・輸送コストなどが上昇しているが、チタン原料安から、今までのような上昇にならない可能性がある。
〇輸出契約価格について
両社の輸出価格が、図表3の通り。大チタの輸出価格が、東チタの輸出価格を下回っているのは、東チタはサウジアラビアにJVを有しており、そこから航空機の機体向けに輸出しているため。国内からは付加価値の高いジェットエンジン向けのウエイトを高くすることができる。なお、ジェットエンジン向けでも回転系向けと非回転系でも価格差があり、その差は大きい。
貿易統計の3月のスポンジチタン輸出価格は、大チタが前年同月比3.9%上昇の9.66ドル/キログラムと2ヵ月ぶりに反発。前月比も3.9%上昇と2ヵ月ぶりに反発した。東チタは同2.1%上昇し11.45ドル/キログラムと2ヵ月連続で反発、前月比も2.1%上昇と2ヵ月連続で反発した。ただ、2社へのヒアリングによると航空機向けの26年輸出契約価格は前年比1割弱の下落となったようだ。なお、月別の価格に変化があるのは、機体向けとジェットエンジン向けの構成差による。
図表3、両社の輸出価格(ドル/キログラム)

出所:貿易統計よりIRU作成
図表4、東チタの工場別輸出価格(ドル/キログラム)

注意:横浜税関を茅ヶ崎工場、門司税関を若松工場
出所:貿易統計よりIRU作成
<株価について>
主要な需要先である航空機向けは、ユーザーの在庫調整から株価が伸び悩んでいるが、東チタの株価は、JX金属のTOB発表以降、株価水準が持ち上がり、その後はJX金属の株価に連動して推移している。
図表5、大チタ・東チタの株価推移(95年12月末=100)

出所:YahooファイナンスよりIRU作成
〇決算について
東チタは5月28日に上場廃止となる予定だが、26/3期の決算発表を5月8日に予定。ただし、同社は上場廃止になるため27/3期の業績見通しは発表しないようだ。実績についての説明会を行わない模様(弊社は電話取材を試みる予定)だが、JX金属の説明会にて質問があれば、JX金属側が(実績や見通しなどについて)回答するとの事。なお、JX金属の決算発表は5月11日を予定。一方の大チタは、5月13日に決算発表を予定しており、その際、27/3期の業績見通しが発表になるが、説明会まで数日間があるため、チタン需要見通しなどは、決算発表日に開催されるJX金属の説明会で聞けるかもしれない。ただ、説明者はJX金属側になるため、JX金属にとっては一事業に過ぎないので、詳細が聞けない可能性がある。このため、詳細については、やはり大チタの説明会を待たなければならないかもしれない。
(IRuniverse 井上 康 )