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ステンレス鋼材国内市場近況2026 #2 日鉄が3月契約枠で追加値上げを発表 広がるメーカー販価と市況の乖離、4月以降の価格転嫁が流通の死命を制す

2026/03/12 22:37
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ステンレス鋼材国内市場近況2026 #2 日鉄が3月契約枠で追加値上げを発表 広がるメーカー販価と市況の乖離、4月以降の価格転嫁が流通の死命を制す

■ 日本製鉄、3月契約分でニッケル系20円・クロム系10円の追加値上げを実施

日本製鉄は11日、3月契約分のステンレス冷延薄鋼板の一般流通(店売り)向け価格を引き上げると発表した。値上げ幅はニッケル系がキロ当たり20円(3~4%)、クロム系が同10円(約3%)。厚中板についても同20円の引き上げとなる。日鉄のニッケル系の値上げは昨年10月から6か月連続。

下表は日本製鉄のステンレス鋼材価格改定の推移。

 

今回の改定は、アロイ(合金)リンクに基づく原料価格の変動分に加え、ベース価格の底上げ(諸コスト上昇分の転嫁)が含まれている点が大きな特徴である。

アロイ分については、ニッケル国際相場(1~2月平均:7.93ドル/ポンド、前期比7%上昇)を反映し、ニッケル系で1万5000円/トンのプラスとなった。一方、クロム原料価格は横ばいであったため、クロム系のアロイ分変動はゼロ(据え置き)だった。

すなわち、ニッケル系の残り5000円/トン、およびクロム系の1万円/トン全額の値上げ要因は、鉄鋼原料価格の上昇に加え、労務費や物流費など「ロールマージン(加工費)を圧迫するベースコストの増分」を製品価格に転嫁するための措置という位置づけになる。

■ 埋まらない価格差:重くのしかかる「累計70円」のメーカー値上げ

メーカー側が強力なコストプッシュを背景に矢継ぎ早に販価改定を進める一方で、流通市況への浸透は深刻な遅れを見せている。

2025年度(4月~3月)の累計で見ると、日鉄のメーカー値上げ幅はキロ当たり換算でニッケル系が+70円、クロム系が+30円に達している。しかし、流通市場における実勢価格の転嫁幅は、依然としてニッケル系・クロム系ともに+10円程度にとどまっているのが実情だ。足元の実勢値(コイルセンター販売価格)は、304系薄板でキロ当たり530~550円、430系薄板で同360~370円。ここから4月以降は304系で10円の値上げを図る。が実需は相変わらず冴えない。

しかしながら、メーカーからの仕入れ価格と末端市況価格のスプレッド(利幅)はかつてないほど圧縮されており、流通やコイルセンターの採算を著しく圧迫している。

■ 26年度も「我慢の年」:4月からの新年度に向けた価格是正が急務

今後の需要動向に目を向けると、主力需要の一つである建築・建材分野は、25年度と比較して26年度は幾分か持ち直す兆しが見えるものの、本格的な回復には至らず、依然として「我慢の年」が続くとの予測が大勢を占めている。

販売数量の伸びによる利益のカバーが見込めない以上、単価の是正によるマージン確保は業界全体にとっての至上命題である。

流通各社にとって、来月(4月)からの新年度入りは、販価仕切り直しの最大の機会であると同時にタイムリミットでもある。今回の3月契約分のメーカー追加値上げ(キロ当たり+10〜20円)により、末端への転嫁目標のハードルはさらに一段上がった。

この新年度のタイミングで適正な価格転嫁を急ぎ、需要家へ危機感を持って浸透させなければ、値上げが追いつかないばかりか、恒常的な採算割れ(赤字販売)を引き起こしかねない。

メーカーが「ベース値上げ」の根拠としている労務費や物流費の高騰は、流通・加工業者にとっても全く同じ課題として直面している問題である。自らの事業継続のためにも、春先の価格転嫁に向けた強い交渉力が鋭く問われる局面を迎えている。

(IRUNIVERSE YT)

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