2026年4月8日から10日にかけて、ポートメッセなごやで第11回ものづくりワールドが開催された。本稿では、同時開催された第11回機械要素技術展で展示された磁石メーカーを紹介する。
ジャパンマグネットの創業者は磁石メーカーにおいて20年以上にわたり技術者として開発に携わり、その知見を基盤に独立した。独立後は中国ローカルメーカーの技術顧問として、生産技術および品質管理の指導を行ってきた。
同社は現在、国内4拠点、海外(主に中国)4拠点のネットワークを活用し、8つのコア事業を展開している。主軸であるマグネット事業では約50社の磁石メーカーと提携し、高性能・高品質なマグネットの製造支援および販売を行っている。年間供給量は約3億個にのぼり、多様な産業分野の顧客と協業している。取り扱う製品の95%以上は中国OEMメーカーで生産されており、顧客の品質要求に応じた管理体制のもと、優れたコスト競争力を実現している。
今回の展示会では、モーター事業で開発している小型DCモーターや波動歯車式減速機、DCサーボモーターが展示されていた。同社のモーター事業は、マグネット事業で培ったノウハウを活かし、高性能かつ高信頼性の製品を提供している点が特徴だという。
同社のマグネットおよびモーター事業ではカタログ品の販売ではなく、顧客の要望に基づいたオーダーメイド製品の開発・販売を行っている。年間50個という小ロットにも対応可能で、用途に応じた材質選定などの技術支援も提供している。例えばモーター分野では、精密機器メーカー向けにフレームを持たないローターとステーターのみで構成される「フレームレスモーター」や、エンコーダーや減速機を一体化したモーターを提供するなど、柔軟な対応力を強みとしている。
ネオジム磁石の地政学リスクについて伺ったところ、担当者はレアアースに限らず資源輸入全体において足元でリスクがより顕在化していると指摘する。2026年2月、中国商務部は日本企業および大学(計20団体)に中国両用品目の輸出禁止や取引停止を命じる措置を発表した。これにより、レアアース、特にネオジム磁石の原料供給を中国に依存している日本の磁石開発は、今後一層厳しい状況に直面する可能性があるという。
こうした環境下においても、ジャパンマグネットはこれまで培ってきた中国企業とのコネクションと信頼関係を維持・強化しながら、磁石およびモーターの開発を継続していく考えだ。長年にわたり築いてきた技術支援と品質管理の実績を背景に、変化する国際情勢の中でも柔軟かつ高度なモノづくりを推進し、顧客ニーズに応えていくという。
今回取材させていただいたジャパンマグネットは中国と業務提携しており、長年培った信頼関係を武器に国内での磁石産業を支えている。ネオジム磁石はフェライト磁石に比べて価格が高く、地政学リスクがあるものの、その性能は非常に優れており、ネオジム磁石がなければEVをはじめとした電動化社会は実現しないと言っても過言ではない。
筆者がエンジニアとして働いていた頃もネオジム磁石を用いた製品の開発は活発であり、特に小型化・高効率化を求められる分野においては不可欠な材料として広く活用されていた。現在もその重要性は変わらず、むしろ電動化の加速に伴い、需要は一層高まっているといえるだろう。
今後は資源循環の確立や代替材料の開発といった動向も含め、ネオジム磁石を取り巻く産業の変化を引き続き注視していきたい。
(IRuniverse Midori Fushimi)