2026年4月中旬~4月下旬のレアアース市況は一部上昇。中東紛争とホルムズ海峡の実質封鎖が長引く中、軽中希土類に運賃の価格転嫁の動きが広がった。ただ、実需はなお弱いとの見方も根強い。重希土類は慎重な値動きで、レアアース全体には様子見気分も漂う。
■中国指数は回復基調
中国の業界団体である中国稀土協会が日次で発表するレアアース価格指数は4月22日に284.9と、前日(283.2)から上昇した。3月19日の252を底に、直近高値である2月末の307を目指して回復基調が続く。
中国レアアース指数の推移

(出所: 中国稀土協会)
上海有色網(SMM)は4月23日までのレポートで、レアアース価格について「海上運賃の上昇を上乗せできるとの見方から上流のサプライヤーが強気になり、販売価格を高めに設定した」と指摘。ただ、「調達側の需要がそこまで回復しておらず、価格の上値は限られている」と指摘した。
■ネオジムとイットリウムは毎週値上がり
金属ネオジムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

レアアースの中でも、軽希土類は電気自動車(EV)向けなど中長期の需要が堅調との期待が根強く、価格が持ち直している。軽希土類の代表格である金属ネオジムは毎週値上がりした。4月17日に$154.25/kgを付けた。4月9日に$150台に乗せてからも上昇が続く。直近高値である3月6日-12日の$167には届かないが、さらに中長期でみれば2022年夏以来の高値圏にあり、ムードは悪くない。
酸化イットリウムの価格推移(99.999% FOB China)(S/Kg)

毎週値上がりしたのは中希土類の酸化イットリウムも同じ。4月17日に$28.25/kgと、節目の$28を超えた。2013年4月以来13年ぶりの高値水準にある。
関連記事: 半導体製造の急所「イットリウム」:超高エネルギー・プラズマとサプライチェーンの地政学
関連記事:酸化イットリウム価格が27ドル超え 資源枯渇感強まる、国際価格は一部で高騰も
過去3か月間の酸化ガドリニウムの価格推移(99.99%min in China)($/kg)

酸化ガドリニウムもやはり毎週値上がりした。4月17日仲値は$39.419/kg。SMMによれば、イットリウムとガドリニウムはネオジムに連動しやすい面がある。
■重希土類とランタンは横ばい
金属ランタンの価格推移(99% FOB China)($/kg)

金属ジスプロシウムの価格推移(99.5% FOB China)($/Kg)

金属テルビウムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

ほかは横ばいが目立つ。超硬向け需要の多い軽希土類の金属ランタン、重希土類の代表格である金属ジスプロシウムと金属テルビウムはいずれも4月3日から動きがない。
<Topics>
4月21日
日本政府が出資するオーストラリア資源のライナス・レアアースが4月21日発表したに2026年1-3月期業績で、売上高は2億6500万豪ドル(約300億円)と、前年同期の2.2倍に増えた。
関連記事: 豪ライナス・レアアース、1-3月期売上高か倍増 日本向け輸出の本格化などで
4月20日
中国税関総署が4月20日に発表した2026年3月の貿易統計月報によると、同国の3月のレアアース鉱石の輸入量は前年同月比69.8%増の1万3176トンと大幅に増加した。同月はレアアース製品の輸出量が前年同月比11.9%減の1万285トン、レアアース磁石の輸出は前年同月比1.6%減の5238トンだった。
関連記事: 中国、3月のレアアース鉱石輸入が大幅増 製品輸出は対日禁輸などで前年割れ
関連記事:中国の3月レアアース輸出量4110トン 前月からやや縮小、輸入は大幅増
4月15日
経済産業省は4月15日に発表した「製造基盤強化レポート」で、レアアースについても触れた。赤澤亮正経済産業大臣も4月2日、リサイクルを含めたレアアースの安定供給確保に言及した。
関連記事: 重要鉱物の輸出管理強化は「経済の武器化」―経産省が「製造基盤強化レポート」を公表
関連記事:赤澤経産大臣、タングステンの鉱山開発や精錬事業を後押し―レアアースリサイクルの目標設定にも言及
4月14日
ダイキン工業と信越化学工業、日立製作所、東京エコリサイクルの4社は4月14日、ダイキンの業務用エアコンの圧縮機からレアアース磁石を回収し、再資源化する計画で協力すると発表した。
関連記事: 日立・ダイキン・信越化学 業務用エアコン圧縮機のレアアース磁石リサイクルに向けた協創を開始
4月9日
新日本繊維(本社:千葉県我孫子市)は4月9日、自社開発した次世代繊維の製造過程で、レアアース元素を取り出す基礎研究に成功したと発表した。
関連記事:新日本繊維、⽯炭灰繊維製造に伴うレアアース元素の取り出しに成功
4月9日
米レアアース大手のUSAレアアース(USA rare earth)は4月9日、「欧州の投資ファンドであるインフラヴィア(InfraVia)とともに、仏レアアース分離企業のカレスター(Carester)に出資する」と発表した。カレスターには日本政府も出融資している。
関連記事:米企業と欧ファンド、日本も出資の仏カレスターに出資へ 南仏レアアース工場を支援
(IR Universe Kure)