6961 エンプラス 26/3期WEB決算説明会メモ ニュートラルややポジティブに変更
26/3期AI半導体拡大で11.7%増収16.6%営利増、27/3期3.8%営利増予想は上振れ期待
株価145200円(5/11) 時価総額1413億円 発行済株9732千株
PER(27/3期DO予:22.2X)PBR(2.1X) 配当DO予100.00円 配当利回り:0.7%
要約

26/3期AI半導体拡大で半導体46.4%増、光デバイス減を埋め11.7%増収16.6%営利増益
26/3期決算が4/30に開示され、同日WEB説明会が実施された。26/3期は売上高425.40億円(1/30増額修正予想比0.4億円上振れ、11.7%増)、営業利益61.64億円(同1.64億円上振れ、16.6%増)と2回目の増額修正予想並みで着地した。

部門別では半導体事業が売上高236.03億円(期初計画比70.03億円上振れ、1/30再修正予想比0.97億円未達、46.4%増)、営利49.74億円(3.25倍)と上伸した。特にAIサーバー用ソケットが大手GPUメーカーに加えハイパースケーラー向けASIC関連にも増加した。車載向けSoCは新規顧客向けの売上拡大、スマホ向けも開発案件が好調に推移した。利益面では増収効果、MIX良化もあり総利益率が47.6%から53.3%へ5.7ポイント向上し大幅な利益増となった。

ライフサイエンスは売上高30.84億円(期初計画比1.17億円未達、0.9%増)、営業利益4.53億円(4.6%減)とほぼ計画線。

デジタルソリューション事業は売上高16.52億円(期初計画比15.48億円未達、1/30修正予想比0.83億円上振れ、前期比66.2%減)、営業損失2.84億円(22.0億円悪化し赤字転落)と低迷した。25/3期収益を稼ぎ出した光通信関連の高額デバイスがAI用途向け等の1.6T光トランシーバー用レンズの量産開始でハイエンド領域の量産が始まったものの、既存製品の大幅減、新製品の立ち上げ遅れなどで大きな誤算が生じ、光通信関連部品が9.15億円(75.1%減)と激減した。LED光学レンズも市場シュリンクが止まらず7.37億円(39.2%減)とこちらも大幅減が影響した。利益面では減収影響に加え、新製品立ち上げに伴う費用増もあり、営業赤字転落に。

エナジーセービング事業は売上高142.01億円(期初計画比7.99億円未達、1/30修正予想比2.01億円上振れ、前期比1.5%増)、営業利益10.41億円(27.0%増)となった。注力している低騒音・高効率ギアが好調に推移、一方でプリンター用部品は低調に推移した。全体として5期連続増収を確保、利益面では収益性の高い自動車向けギア製品の拡大でMIX良化から増益を確保した。

全体として経常利益の増減分析では、増収効果で30.16億円、原価率がデジタルソリューションの低迷が響き11.32億円の減益要因、販管費は増収効果が大きく営業利益率では1.0%改善しているが、人件費増4.39億円、R&D費1.9億円増などで10.07億円の減益影響に。為替は円建て事業が多く総利益では影響は軽微で、営業外では換算差益で4.27億円(25/3期2.59億円差損が26/3期1.67億円の差益)のプラス効果などがあった。

四半期推移では、26/3期Q4は売上高101.66億円(同期比9.7%増、Q3比11.4%減)、総利益45.57億円(同9.3%増、同16.3%減)、営利9.61億円(同20.1%減、同55.3%減)と、デジタルソリューションの減額などの影響があり、利益が伸び悩んだ。

セグメント別では売上高29.68億円(同期比52.0%増、Q3比24.7%減)、営業利益8.15億円(同94.0%増、同56.6%減)とAI関連伸長も、Q3比は中国春節影響などで一時的に伸び悩む。

デジタルソリューションは売上高4.81億円(同38.6%減、Q3比25.6%増)、営業損失1.23億円(同期比3.86億円で赤字転落、Q3比0.2億円赤字拡大)となった。光通信デバイスが3.30億円(同37.6%減、Q3比45.4%増)で、Q4に入りようやく1.6T対応製品の出荷、既存品の下げ止まりで底入れに。一方LED拡散光源は1.51億円(同期比40.8%減、Q3比3.2%減)とシュリンクが続いている。利益面では新製品立ち上げの段階で利益の低迷続く。

エナジーセービングは売上高37.31億円(同期比9.8%増、Q3比1.9%増)、営業利益9.64億円(同期比19.9%減、Q3比3.0%減)と、プリンター部品の低迷が継続している。ライフサイエンスは遺伝子検査製品の低迷で売上高2.0億円(同期比78.8%減、Q3比23.7%減)、営業損失0.53億円(同期比3.80億円減で赤字転落、Q3比0.02億円減、赤字拡大)となっている。
27/3期12.8%増収3.8%営利増は半導体向け下期想定慎重で上振れ期待大きい
27/3期会社予想は売上高480億円(12.8%増)、営業利益64億円(3.8%増)、経常利益65億円(0.3%増)、税引利益50億円(4.5%減)予想と、半導体向け拡大続く前提も、設備投資130億円(59億円増)に伴い減価償却費が30億円(6.1億円増、25.5%増)、研究開発費20.0億円(17.8%増)、半導体での増加がメモリ向けの伸びが高まり、MIX悪化で収益性が多少低下するなどの影響で、利益の伸びが小さくなる見通しとなっている。

セグメント別では半導体事業を売上高290億円(22.9%増)、デジタルコミュニケーション30億円(81.6%増)などを高成長する前提となっている。ただし、半導体事業について、上期152億円(同期比42.5%増、前下期比17.7%増)に対し、下期は138億円(同期比6.8%増、上期予想比9.2%減)予想となる。現状、AI半導体について、上期に対し、下期減収となる見通しは慎重すぎると思われ、しかも下期は推論型データセンターの設備投資が本格拡大するとみられ、DDR-6,DDR-7、超多層NANDフラッシュの設備増強が本格化、そのほかフィジカルAI投資に絡んでGPU以外の投資も活況となる見通し。このため、下期半導体向け売上が大幅な上振れとなるとみられる。デジタルコミュニケーションにおいては、タワーセミコンダクターが26年2月よりエヌビディア向けに1.6Tデータセンター光モジュールを量産・提携し始め、またエヌビディアイスラエルも次世代ルービン対応で1.6T対応を27/3下期には本格展開する動きにある。このため同社予想でもデジタルコミュニケーション事業は上期11億円(同期比40%増、前下期比27%増)、下期が19億円(同期比2.2倍、上期予想比72.7%増)予想としている。光通信部品が18億円程度で倍増、LED拡散部品も新製品投入で12億円(62.8%増)の見通しと推定され、利益面では次々世代3.2T対応などの費用増があっても、利益で黒字転換が見込める。その他事業はほぼ会社想定で推移しよう。全体としては半導体向けの下期の売り上げ増額で、全体収益も上振れが期待される。

29/3期に売上高550億円、営利100億円目標設定は半導体向けの伸びで前倒し達成も
同社は従来、中計計画として28/3期に売上高500億円、営業利益80億円を目標として掲げていたが、半導体の生産拡大テンポ、AIデータセンターの大型設備投資の加速などを受け、新たな中計予想として、29/3期に売上高550億円、営業利益100億円を新たな目標として掲げた。

各事業でニッチトップ・高付加価値化を目指すとし、中計期間に成長投資として研究開発投資を含め275億円を投入する計画を示した。

具体的には半導体事業では350億円程度を目指す。米国中心にマーケティングを展開、AIサーバー、汎用サーバー、モバイル、車載SoCなどのテスト需要、また次世代半導体のテスト市場への参画を図る。同社の強みは、独自の微細加工技術と高機能樹脂の応用技術にあり、AI/HPCプロセッサ・最先端モバイルSoC向けでは超多ピンコンタクト(19000コンタクト)なども投入している。AIサーバー向けGPU/CPUの出荷検査、HBM搭載広帯域メモリ融合型パッケージ試験、最先端スマフォのSoCバーンインテストなどに需要が拡大している。さらに高発熱デバイス対応では温度センサーを付与し、ソケットでデバイスの精密温度制御を可能にするなど、付加価値を高めている。今後、学習型AIに加え、推論型Aiの本格普及が加速する中で、ロジックICのバーンインソケットで高いシェアを有する同社は、AI推論向けASICデバイスの拡大恩恵を受け、中計目標を上回る売上が期待される。

デジタルコミュニケーションでは27/3期に30億円(26/3期比81.6%増)を見込むが、伸びの中心は光通信デバイスで、データセンターの1.6T光トランシーバ用レンズの本格拡大、さらには光電融合に向け、3.2T、6.4TのCPO(Co-Packaged Optics)光電融合パッケージ)対応品開発も進めており、29/3期には光通信関で35億円規模、デジタルコミュニケーション全体で43億円程度に拡大する見通しとしている。ただし、25/3期に光通信デバイスで36.8億円の売上実績があるだけに、実際に光通信デバイスだけで43億円規模の達成が可能とみられる。

このほか、ライフサイエンスではマイクロ流路チップなどで29/3期にライフサイエンス事業を30億円規模にするなどの目標が示されているが、医療関連は認可の問題もあり努力目標的な数字とみられる。またデジタルコミュニケーション事業はプリンタの低迷を自動車用ギアで埋めて横ばい見通しとなっており、これについては計画並みに推移しよう。
全体として、27/3期はAI半導体向けで収益の上振れ期待があり、28/3期については光通信用部品の拡大、半導体向けも推論型の拡大加速で収益上伸が見込まれる。このため、29/3期中計予想について前倒し達成の期待も高まる。
株価は生成AI/HPC向け半導体検査ソケットの伸長で四半期ごとに増額修正されたことから大幅上昇を続け、4/21には17990円の高値を付け、4/30の本決算発表で27/3期予想の伸び率が小さかったこともあり30%の急落となった後、出直り基調にある。27/3期会社予想EPS553円に対し、PER26.3倍は東証プライム電機平均PER23.5倍に対し多少割高、類似企業のヨコオ(6800)の34.7倍に対し割安、山一電機(6941)の25.0倍と似通った水準にある。ただし27/3期下期予想が慎重であり、しかも光通信用レンズも1.6T対応品の拡大が期待され、28/3期も収益上伸が期待される。一時、GPU関連で過剰に反応した後で調整、ほぼ調整が完了したと判断、ニュートラルからややポジティブに評価を高めたい。



*山一電機(6941)、ヨコオ(6800)、日本マイクロニクス(6871)との比較
