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世界リサイクル金属産業サミットフォーラム・電池リサイクルフォーラム#4:日本と中国の金属リサイクル産業の現状と戦略

2026/05/15 16:57
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世界リサイクル金属産業サミットフォーラム・電池リサイクルフォーラム#4:日本と中国の金属リサイクル産業の現状と戦略

世界リサイクル金属産業サミットフォーラム・電池リサイクルフォーラム(主催:中国の金属市場調査会社Shanghai Metals Market (SMM))が、5月11〜12日に開幕した。本フォーラムにはIRuniverseもメディアパートナー企業として参加し、20の国と地域から集まった約600人の参加者が、アジアを中心とした持続可能な資源循環の未来について議論を交わした。

本報告では12日午前中に行われた再生可能資源設備フォーラムの講演、およびパネルディスカッションの内容について報告する。

◼︎パネルディスカッション:イノベーションが推進するグリーンリサイクル - 中国における浮選・破砕・選別設備の技術最前線

金属リサイクル業界が回収量の増加を背景に処理能力の拡大が進んでいる一方、実際の設備稼働率や収益性には依然として課題が残る。登壇した中国の設備メーカー各社は、高性能設備への需要について顧客層によって差はあるものの、品質、耐久性、処理効率、安定稼働を重視する企業は確実に存在すると指摘。特に、グローバルな顧客は「高効率で壊れにくい設備」を重視する傾向が強まっており、設備メーカーの評判や導入現場、環境対応力まで総合的に評価されるようになっていると説明した。

一方、業界の利益が不安定な中では、低価格設備や中古設備を選ぶ企業も少なくない。こうした企業は短期的な投資回収を重視する傾向が強く、相場が良い時期に参入して一定の利益を得た後に撤退するケースもあるという。これに対し、3年、5年、10年という中長期で事業を継続する企業は設備の減価償却期間、日々のメンテナンスコスト、破砕後の製品品質まで考慮し、高性能設備への投資を選択する傾向がある。

本パネルディスカッションでは、中国製設備がこの十数年で技術力が大きく向上し、破砕・選別分野では欧米製品と競争できる水準に達しているとの見方が示された。特に、部品供給の速さ、価格競争力、顧客ごとのカスタマイズ対応は中国メーカーの強みである。欧米メーカーでは主要部品の納期が半年以上かかる場合もある一方、中国メーカーでは1〜2カ月程度で対応できるケースがあり、大きな利点となっている。ただし、受注増に伴う短納期対応の中で、品質管理や検査基準が不安定になりやすい点は今後の課題とされた。

今後3〜5年の方向性としては高効率化、AI・データ活用によるスマート選別、環境対応の強化が重要になる。AI選別では色や形状、成分など複数のデータをもとに物料を識別し、工場間で蓄積したデータを共有・学習することで、より精密な分別が可能になると期待されている。また、騒音対策、空気選別、集じん設備の改良など、環境規制への対応も不可欠になる。

最後に、今後の金属リサイクル産業は単なる設備販売ではなく、顧客の課題解決と事業成長を支える長期的な戦略パートナーシップの重要性が強調され、議論は締めくくられた。

 

◼︎関税・地政学・供給ショックがベースメタル価格を数年ぶりの極端な水準へ押し上げる中、利益率を飲み込むボラティリティへのリスク管理:Pillar Hedge社CEO 兼共同創業者、Harsha Ramesh氏

Ramesh氏は冒頭、関税政策や地政学リスクや中国の需要サイクル変化によって、非鉄金属市場のボラティリティが構造的に高まっていると指摘。特に、2026年はホルムズ海峡危機を背景にアルミ価格が2カ月で20%上昇し、銅価格も2024年半ば以降40〜45%上昇するなど、市場変動が急激に拡大しているという。

アルミ市場では中東情勢悪化による供給混乱が深刻化しており、世界供給の約9%が影響を受ける可能性がある。加えて、米国の関税政策によって物流や供給網の地域分断が進み、プレミアム価格の変動も拡大している。銅市場ではAIやデータセンター需要の拡大、新興国のインフラ需要増加によって中長期的な需要成長は続く一方、新規鉱山開発には数十年単位の時間を要するために供給不足への懸念が強い。そのため、金属スクラップが今後さらに重要性を増すとの見方が示されている。

Ramesh氏は金属リサイクル業界における最大の課題として、価格変動による利益率悪化を挙げた。例えば、100トン規模の銅取引ではLME価格が2週間で3%下落するだけで利益が赤字化するケースがあると説明し、現在の市場では価格変動リスクを管理しないこと自体がリスクだと強調。最後に「市場をコントロールすることはできないが、利益率は守ることができる。今後の再生金属ビジネスではリスク管理が競争力の重要要素になる」と述べ、発表を締めくくった。

 

◼︎精密選別が切り拓くグリーンな未来:浙江天力装備科技股份有限公司(Zhejiang Tianli Equipment Technology Co., Ltd.)、Jayna氏

 

Jayna氏は冒頭、金属リサイクル市場の拡大を背景に、AIを活用した高精度分選設備の需要が高まっていると説明。このため、浙江天力装備科技股份有限公司は再生資源を「都市鉱山」と位置付け、原生鉱物資源の代替として循環利用を進めることが資源安全保障や脱炭素化において重要な役割を果たすと考えている。

例えば、アルミリサイクルではエネルギー消費が新地金生産の約5%に抑えられ、鉄スクラップ1トンを利用した製鋼では約1.6トンのCO2削減効果があるという。また、2030年まで中国の再生金属市場は年平均6〜8%の成長が見込まれ、自動車や家電の大量廃棄を背景に、銅・鉄・アルミなどの回収需要がさらに拡大すると予測した。

一方、現場では人手による分解・選別に依存するケースが依然多く、処理速度や精度の低さが課題となっている。特にアルミやステンレスは、材質グレードごとに価値が大きく異なるため、高価値金属と低価格材が混在した状態で販売されると収益機会を失うリスクがある。同社はこうした課題に対し、AI画像認識と高速エアノズルを組み合わせた高精度選別技術を提案。AIによるデータ学習を重ねることで、高付加価値金属をより正確に分離できるとのことだ。

同社は中国国内だけでなく、日本、韓国、オーストラリア、インド、中東、欧州、南米など世界各地で設備導入を進めている。ブラジルのUBC(使用済みアルミ缶)選別ラインや、スペインの廃アルミ処理ラインなどの事例を紹介し、電子廃棄物、炉スラグ、建設廃棄物向けにも移動式選別設備を提供していると説明。最後に、今後もAI活用と自動化を軸に、再生資源業界の高効率化・省人化を支援していく方針を示し、発表を締め括った。

 

◼︎パネルディスカッション:リサイクル業界の課題を突破する:高品質サプライヤーによる実践事例

本パネルディスカッションは内田産業株式会社、環球貿易株式会社、野田金属産業株式会社といった日本の金属リサイクル企業の代表者が登壇し、日本市場特有の課題や今後の業界変化について議論が行われた。登壇した日本企業各社は、国内の金属リサイクル業界が価格競争の激化、人材不足、規制強化といった複数の課題に直面していると説明した。

内田産業株式会社は、中国系を含む新規参入企業の増加によってスクラップ確保競争が激化し、品質低下や利益率悪化が進んでいると指摘。また、EV化や電子部品増加によってスクラップ材そのものが複雑化しており、高度な選別・処理能力が求められているという。さらに、日本では外国人労働者規制の強化もあり、現場作業員の確保が難しくなっているほか、環境規制の強化によってヤード整備や設備投資負担も増加していると説明した。

一方、日本市場には「都市鉱山」としての大きな可能性があるとの意見も示された。日本では家電やインフラの大量更新が進んでおり、高品質スクラップを安定回収できる点が強みだという。また、AI画像認識やロボティクスを活用した自動選別技術への投資も拡大しており、省人化と高付加価値化の両立が進みつつあると紹介された。

野田金属産業株式会社の代表者は日本の再生金属業界について、従来は「処理費をもらって引き取る」ビジネスモデルも存在していたが、現在は利益性の高さに注目した小規模事業者の参入増加により、業界全体の品質低下や価格競争が進んでいると説明した。そのため、今後はより高度な分別技術や自動化設備の導入によって、廃棄物を高付加価値資源へ転換することが重要になると述べた。

中東情勢悪化による物流混乱や原油高騰も日本企業に大きな影響を与えているという。ホルムズ海峡問題による輸送遅延、資材不足、運賃上昇に加え、在庫リスクや資金負担増加も課題として挙げられた。

登壇者らは、今後3〜5年の間に日本国内で規制や法整備がさらに進み、業界淘汰が加速すると予測。その中で生き残る企業には「誠実さ」「品質管理」「高度技術導入」が不可欠になると強調した。特に、AI選別や自動化設備、カーボンクレジット対応などが次世代の重要テーマとして挙げられ、単なるスクラップ回収業から高付加価値資源を供給する循環型産業への転換が進むとの見方が示された。

 

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(IRuniverse Midori Fushimi)

Midori Fushimi

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