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MIRU独占取材! ルノーが展開する循環経済特化型拠点:Refactory de Flins訪問ルポ①

2026/05/22 16:18 FREE
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MIRU独占取材!  ルノーが展開する循環経済特化型拠点:Refactory de Flins訪問ルポ①

仏自動車大手ルノーグループ(80%)および廃棄物大手スエズ(20%)が所有する「The Future Is NEUTRAL」は、2022年に業界で初めて、自動車の循環性に特化して設立された会社である。 現在同社がその活動の一部を展開する施設「Refactory de Flins」は、新車を製造するための施設ではなく、既存の自動車の寿命をできる限り延ばし、使用済みとなった時点で資源として最大限活用するための拠点だ。 ここには自動車の下流工程に関わるプレーヤーが水平統合されており、資源循環に関わる作業が一箇所の施設に集約されている。

パリ郊外のAubergenville-Elizabethvilleに位置する本施設は、ルノーの最も古い生産拠点として知られるFlins工場を母体としており、2024年までは新車の生産ラインが稼働していた。 現在は循環経済事業に特化し、自動車メーカーでありながら新車を製造しない大規模工場へと大胆に転換している。 ルノーグループは、2000年にさかのぼる循環経済推進財団「エレン・マッカーサー財団」との共同プロジェクトを皮切りに、自動車業界の中でも早期から循環経済に取り組んできたパイオニア的存在だ。 その取り組みは、循環経済を推進する多くの業界から注目を集めており、なかでも中核拠点であるRefactory de Flinsには見学希望が殺到、日本のメディアや企業からも視察要請が相次いでいるという。

MIRUではこれまでも、子会社を含むルノーグループの循環経済を中核とした事業戦略の動きを継続的に報告してきた。 今回、長期にわたる交渉の末、このRefactory de Flins内部の訪問取材が許可された。 施設の落成式以降、運営開始後に日本メディアが内部まで入るのはこれが初となる。 4月30日に実現したこの施設訪問の様子を連載ルポとしてお届けする。

 

歴史あるFlins工場とRefactory de Flinsの全体像

プレゼンテーション中のStéphane RADUT氏。隣はRobina MOHAMMAD氏。

当日、取材チームを迎えてくれたのは、今回の取材交渉でも大変お世話になったルノー広報担当のRobina MOHAMMAD氏。 Refactory de Flins施設の一部である「キャンパス ICM」と呼ばれるビルのセミナールームに通され、まず今回案内役を務めるスタッフの紹介が行われたのち、工場長のStéphqne RADUT氏によるプレゼンテーションが始まった。

Refactory de Flinsが設置されているルノーの拠点には、古い歴史がある。 ルノーがこの地に工場を建設したのは1952年までさかのぼり、その敷地面積は実に232ヘクタールに及ぶ。 これは、フランス南部に位置するモナコ公国(205ヘクタール)を上回る広さだ。 最寄り駅に降り立つと、まるでこの地域の「街の中心」がルノーの施設そのものであるかのような印象を受ける。 一方で「広さではモナコに勝っていますが、残念ながら土地の利益性ではとてもかないません」と、RADUT氏は冗談交じりに付け加える。

現在、Refactory de Flinsには約2300人が勤務し、16の事業活動が展開されている。 そのうち11の事業が循環経済に特化しており、その規模と機能において、欧州モビリティ業界で初となる循環経済特化型の大型施設と位置づけられている。以前は「Flins工場」と呼ばれていたこの拠点は、1952年の開設以来、ルノー4・ルノー5、Twingo、Clio、Zoé、日産MICRAなど、ルノーグループを代表する数多くのモデルを世に送り出してきた歴史を持つ。

「Renaultion」がもたらした大胆な転換

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、自動車業界が大きな経済危機に直面していた時期、ルノーグループ前CEOのルカ・デ・メオ氏(Luca DE MEO)は、新事業戦略「Renaultion」(RenaultとRevolutionを掛け合わせた造語)を発表した。 これに基づき、Flins工場における新車組立業務を停止する方針が決定される。

この時点から、「自動車メーカーが車を作って売るだけの時代は終わった」というルカ・デ・メオ氏の言葉とともに、ルノーグループの事業戦略は本格的に循環経済へ舵を切ることになる。 その一環として、フランス北部リールにある工場ではEV生産に注力する体制へと移行し、Flins工場は循環経済を推進するハブとしての役割を担うことになった。

ルカ・デ・メオ氏の、ある種啓示的な言葉は、循環経済を事業戦略の中核に据えたルノーグループの明確な方向性を先取りしていたと言える。現在、グループの新車販売による利益率は一桁にとどまる一方、循環経済事業セクターでは二桁を記録しているという。この数字からも、ルノーの循環経済事業がすでに本格的に収益フェーズへと移行していることがわかる。

Refactory de Flinsの中核:Renew FactoryとBodywork Factory

Refactory de Flinsの事業活動は、いくつかの段階を経て現在の形に至っている。 新戦略「Renaultion」発表の一年後、「Renew Factory」が稼働を開始した。 主に自動車のリコンディショニングを行うこの施設では、ルノー車に限定せず、あらゆるブランドの車を受け入れており、1日あたり約120台の自動車を修理している。メカニカルパーツや電子機器をここで良好な状態に戻し、再販する。 この部門はルノーグループにおける循環経済の核心ともいえる存在であり、今後さらなる規模拡大が計画されている。

2023年には、事故車修理に特化した「Bodywork Factory」が稼働を開始し、主に事故車のリコンディショニングを担っている。加えて、自動車部品やコンポーネント(モーター、エンジン、ターボ、インジェクター、パワートレインなど)のリマニュファクチャリングにも従事する。 このリマンプロセスにより、新品部品を使用する場合に比べて約30%安い価格で部品を提供できるうえ、エネルギー・材料・水の使用量削減にも貢献している。 この事業はThe Future Is Neutralの設立以降、同社の事業に統合されている。

ルノーが提案する自動車の「リコンディショニング」は、「整備済iPhoneの四輪版」だと考えてほしいとRADUT氏は語る。 自動車内部を新品に近い状態まで修理・部品交換し、電子機器も現在の消費者ニーズに合わせてアップデートされたものに置き換えるのである。

The Future Is NEUTRAL が描くクローズドループ

The Future Is Neutralは、循環経済とリサイクルを事業の中核に据え、リサイクルのエコシステムを実現する企業である。 同社の大きなビジョンは「自動車から自動車へ」というクローズドループの実現であり、回収・選別・リコンディショニング・部品・電池・材料のリユースが事業の中心となっている。 さらに、データ収集、エンジニアリングや再生材アプリケーションに関するコンサルティング、セミナーなどのサービスも提供している。 これはすでにEUにおいて、再生材を積極的に活用する自動車メーカーとして「優良事例」と認識されているルノーグループならではの取り組みだといえる。

このエコシステムを展開するにあたり、The Future Is Neutralはその傘下にいくつかの専門企業を結集する。フランスにおける自動車解体のリーダーであるINDRA、クローズドループリサイクルを専門とし(近年はバッテリー修理にも取り組む)GAIAに加え、機械部品(ターボ、トランスミッション、内燃機関エンジンなど)および電気部品(電動モーター、パワーエレクトロニクス)のリマニュファクチャリングを担うTHE REMAKERSなどが参画している。

Refactory de Flinsに運び込まれた事故車は、その状態に応じて施設内の適切な部門へ振り分けられる。 修理不能と判断された車両はGAIAによって解体され、外装部品やエンジン、EVモーターなどを回収し、銅・スチール・繊維素材などはリサイクル工程へ回される。 一方、修理可能と評価された車両はBodywork Factory、またはRwnew Factoryで修理される。 ここでは低価格の提供とサービススピードの両立に重点が置かれている。

人材育成・スタートアップ連携とデジタル化によるコスト削減

MIRUが最初に案内された「キャンパスICM」ビルでは、政府機関との連携により、循環経済の推進に関わる社内外の人材トレーニングも実施されている。 ルノーは大手メーカーでありながら、スタートアップとの協業にも非常にオープンで、リサイクルやセカンドライフ活用プロジェクトにも積極的に取り組む。

さらにルノーは、デジタル技術を活用したコスト削減にも注力する。インダストリー4.0の原則に基づくプレスラインの監視システムがFlins工場に導入されており、ブラジル、韓国、モロッコなど世界各地のルノーグループ工場におけるプレス設備の稼働状況をリアルタイムで監視することが可能だ。専門家が設備の状態を常時分析し、異常を検知した場合には警告を発するとともに、必要に応じてラインを予防的に停止する判断を下すこともできる。この「予知保全」システムにより、年間500万〜1,000万ユーロのコスト削減を実現しているという。さらにモニターシステムの集約により、移動を伴う現地対応を減らすことで、炭素排出削減にも寄与している。

ロボットと3Dプリンティングにおけるサーキュラー原則

施設ではオートメーション化も推進されているが、その焦点はコスト削減とサーキュラー原則の実装に置かれている。 一般にロボット導入には大きな初期投資が必要となるが、ルノーはここでもリユース・リファービッシュ」の考え方を徹底する。 既存ロボットの機械部分はそのまま活用し、電子機能だけをアップデートすることでリユースを実現するのである。 いわば「ロボットのレトロフィット」で、新品ロボット導入と比べて約30%のコスト削減効果があるという。 他工場で使用されていた古いロボットもRefactory de Flinsに集められ、「ロボットの近代化」が実践されている。

またこの拠点には3Dプリンティングセンターも設置されており、プロトタイプ部品(ネジ、ボルト類)の製造や、車両をカスタマイズするための自動車用アクセサリーの生産に活用されている。その生産能力は1日あたり約1,000点に達する。

新ロジスティクス拠点と「ルノー美術館」構想

最後に RADUT氏は、現在進行中の2つの大型プロジェクトについても語ってくれた。一つ目はFlins工場に設置されているASC(After-Sales Supply Chain=アフターセールス・サプライチェーン)部門の物流インフラの一部刷新である。新施設は主にルノーグループのアフターセールスネットワーク全体へ供給する補修部品の保管を目的としており、施設の総面積は12万m²に達する予定だ。エネルギー供給は9万m²にわたる太陽光発電設備によって賄われる。

二つ目の新設計画は「ルノー美術館」だ。 工事は今年12月から開始される予定で、広さは1万1000平方メートル、高さ15メートルの建物となる。 この美術館は一般公開を予定しており、130年にわたるルノー社の歴史を物語る「文化遺産」の場となる。 これまで同社が製造してきた、美しいクラシックカーから現行モデルに至るまでの自動車に加え、同社財団が収集してきたRobert Doisneau、Bernard Buffetなど、フランスを代表するアーティストによる作品も展示される計画だ。

プレゼンテーション終了後、MIRUチームは施設見学に向けて安全装備を受け取り、施設内を巡回するRefactory de Flinsロゴの入ったヴァンに乗り込んだ。 今回見学したのは、Bodywork Factory、Renew Factory、The REMAKERS、そしてルノーの自動車製造の歴史をたどる「博物館」The Originals:La Collection Renaultである。 それぞれの詳細は、次回以降のルポで順次紹介していく。

取材協力:Groupe Renault, The Future is Neutral, Refactory de Flins of Flins, Aubergenville,-Elisabethville, France

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Yukari SCHANZ

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