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フランスがけん引するリユース経済、パリ「リユース経済エキスポ」現地レポート②RELION FACTORY

2026/05/26 08:30 FREE
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フランスがけん引するリユース経済、パリ「リユース経済エキスポ」現地レポート②RELION FACTORY

2026年5月19日・20日、パリ南西部の大型見本市会場パリ・ポルト・ド・ヴェルサイユ(Porte de Versailles)で、リユース産業に特化した見本市「リユース経済エキスポ(Reuse Economy Expo 2026)」が開催された。リユースは循環経済における優先セクターとしてフランス政府が市場構築に力を入れており、本見本市もマクロン大統領の支援を受けている。

MIRUは、今回この見本市に出展しているThe Future is Neutral(仏ルノーグループ)から招待を受け、フランスのリユース経済の現状を現地で取材した。その内容を連載でレポートしているが今回第2回は、電池のリユースを手がけるRelion Factoryのブースを訪問、担当のLorena MINAULT氏に話を聞いた。

フランス南部マルセイユ近郊に拠点を置くRelion Factoryは、電動キックボードや電動自転車など「軽モビリティ」に使われたリチウムイオン電池のセカンドライフ活用を行っている。電池を回収し、セル単位まで分解して一つひとつを診断、性能の高いセルだけを選別して再構成することで「第二の人生」を与えるスタートアップだ。 自社工場でのリマニュファクチャリングを通じて、平均約10年の追加使用が可能なバッテリーへと生まれ変わらせることを目指す「インパクト企業」でもある。

同社が手がけるのは、汎用的な再生バッテリーだけではない。決済端末(TPE)向けの小型バッテリーから、住宅や産業施設向けの「ソーラーキット」まで、用途に応じたカスタムメイドのパックを設計・提供する。ソーラーキットは複数の出力帯をカバーし、家庭用バックアップ電源から小規模産業サイトまでを想定。また社内にR&D機能を抱えることで、顧客ごとの要件定義に合わせた設計と、高い品質基準の両立を図っている。

Relion Factoryの技術的な要となるのが、セル単位の診断だ。回収したバッテリーパックはまず分解され、リチウムイオンセル一つずつについてSOH(State of Health=健全性)と残存容量を測定する。電動自転車用バッテリーのように、駆動用途としてはピーク出力が不足していても、容量そのものは8割ほど残っているケースは少なくない。その一方で、劣化が進んだセルは容赦なく排除される。こうして選び抜かれたセルだけを再構成することで、安全性と性能を両立した「第二の人生」用バッテリーが組み上がっていく。

セルを一つひとつ計測することで、再生バッテリーの安全性とパフォーマンスは大きく底上げされる。新造バッテリーの場合、製造ロットごとの標準的な仕様は分かっていても、実際にどのような条件で使われてきたかは分からない。一方、Relion Factoryのリユース・バッテリーは、セルごとの計測データとトレーサビリティに基づいて構成されるため、「履歴が見える」こと自体がリスク管理の強みになるという。

こうした取り組みの背景には、資源安全保障の問題がある。リチウムやニッケルなどの重要鉱物をアジアなど海外からの輸入に頼る状況のなかで、フランス国内で発生する使用済みバッテリーを破砕前に最大限活用することは、資源の有効利用と主権強化の両面で急務となりつつある。 しかし、バッテリーの「セカンドライフ」というコンセプトは、いまだに「中古=性能や安全性が劣るのではないか」という根強いバイアスと向き合わざるを得ない。Relion Factoryは、セル診断とトレーサビリティに基づく品質保証を掲げ、「第二の人生だからこそ、条件が見える」と市場に訴えかけている。

規制面でも、同社は一歩先を見据える。フランスの循環経済法(AGEC法)や、2025年8月以降段階的に適用が強化されているEU電池規則では、バッテリーのライフサイクル全体にわたるトレーサビリティとリユース・リサイクルの促進が求められている。 Relion Factoryは、もともとリユース前提で事業設計をしてきたこともあり、「第一の人生」をできる限り把握したうえで「第二の人生」を設計するというアプローチが、規制の方向性と自然に整合すると強調する。

具体的には、セルやモジュールにQRコードを付与し、製造・使用状況・リユースプロセスといった情報紐づけシステムを導入済みだ。2027年までに本格運用が始まるバッテリーパスポート(DPP)では、容量や出力、カーボンフットプリントなど、より多くのデータが求められることになっており、特に小型セルへの印字や産業用設備の改造など技術的ハードルは高い。 それでも同社は、この流れを事業機会と捉え、「新興企業だからこそ柔軟に対応できる」として、早い段階から仕組みづくりを進めている。

長期的なビジョンとして、Relion Factoryは「フランス、ひいてはヨーロッパで流通するバッテリーの多くが第二の人生を歩む」世界を描く。現在対象としているのは主に円筒セルの小型バッテリーだが、今後は角形(プリズマティック)セルを含む多様なフォーマットや、電気自動車用の大型パックにもスコープを広げていく考えだ。 すでに自動車バッテリーの領域で実績を持つ事業者と対話を始めており、「そう遠くない将来」にEV用バッテリーのセカンドライフ事業へ踏み出したいとしている。

ビジネスモデルの最終形としては、第二の人生を歩み終えたバッテリーを再び回収し、データに基づいて評価・選別しながら次の処理プロセスにつなげる「クローズドループ」を構想する。理想的には、第一の人生から第二の人生、その先のリサイクルに至るまで連続した履歴が残ることが望ましいが、仮に初期データがなくとも、セル単位のSOH診断を徹底することで安全性は担保できる、というのがRelion Factoryの考えだ。

リユースバッテリーを当たり前の選択肢にできるかどうかは、市場の受容性次第でもある。だが、厳格なテストと高度なトレーサビリティを武器に、Relion Factoryは「第二の人生=妥協」ではなく、「見える化された品質」という新しい価値観を示そうとしているようだ。

取材協力:RELION FACTORY https://re-lion-factory.com

 

 

Yukari SCHANZ

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