なかなか解決の糸口が見えてこない中東情勢だが、コンテナ運賃は世界的には、夏のピークシーズンの前倒しにより需給は引き締まり、船社主導で運賃は上昇方向に推移する見通しの模様だ。ピークシーズンを見据えた出荷前倒しにより、6月以降は需給のタイト化が見込まれるようだ。
現下のコンテナ運賃動向をノルウェーのゼネタ(Xeneta)社のコンテナ運賃情報「Xeneta Shipping Index by Compass」(XSI―C)https://xsi.xeneta.com/ (40フィート・コンテナのスポット運賃で各種サーチャージを含む)で見てきているが、下図のように5月は太平洋航路と北欧州航路はともに上昇中で、後者は4月に下落したが再度盛り返している。
(単位:米ドル)
航 路 | 8月29日 | 9月26日 | 10月24日 | 11月25日 | 12月19日 | 1月28日 | 2月23日 | 3月27日 | 4月28日 | 5月19日 |
東アジア/ 北米西海岸 | 1,776 | 1,772 | 2,068 | 1,955 | 2,134 | 2,260 | 1,842 | 2,329 | 2,831 | 3,141 |
| 北米西海岸/東アジア | 655 | 679 | 662 | 639 | 637 | 616 | 618 | 590 | 637 | 622 |
東アジア/ 北ヨーロッパ | 2,755 | 1,836 | 1,942 | 2,317 | 2,528 | 2,643 | 2,181 | 2,767 | 2,470 | 2,709 |
| 北ヨーロッパ/東アジア | 179 | 180 | 151 | 136 | 137 | 158 | 140 | 187 | 253 | 239 |
他のコンテナ運賃指標で東アジア発米国西岸向け運賃(40フィート)を見てみると、Drewryでは前週比28ドル増の3,385ドル(5月21日付)、Freightos Baltic Index では前週比368ドル増の3,181ドル(5月22日付)とそれぞれ増加傾向が続いている。
日本発の運賃はどうか?
(公財)日本海事センターが公表している日本発の運賃(40フィート)は、6月から急上昇、7月に急落,8月は上昇、9・10月と下落の後、11月に上昇し、12月からは減少傾向、3月入り上昇に転じている。
(単位:米ドル/40ft)
航 路 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
| 横浜―ロスアンジェルス | 3,718 | 3,627 | 5,941 | 3,863 | 4,045 | 3,980 | 3,411 | 3,677 | 3,664 | 3,543 | 3,465 | 3,788 |
| 横浜―ニューヨーク | 4,662 | 4,570 | 8,347 | 6,648 | 6,359 | 6,200 | 5,411 | 5,547 | 5,471 | 5,225 | 5,166 | 5,679 |
日本・アジア/米国間コンテナ貨物の荷動き(TEU: 20フィート換算)―中国低迷、ASEANは堅調
日本海事センターが5月26日に発表した4月のアジア18カ国・地域発米国向け往航(北米東航)コンテナ輸送量(速報値)は、前年同月比9%減の166・4万TEUで8カ月連続の前年割れだった。全体の4割超を占める中国発が18%減と落ち込んだ一方、ASEAN(東南アジア諸国連合)発は7%増と堅調だった。
同センターは、「前年同月は米関税政策発動前の駆け込み需要で単月過去最高を記録しており、その反動が続いている」と分析。中東情勢の緊迫化による原油高を背景にしたインフレ懸念も消費意欲の低下を招き、荷動きを下押ししたとみている。
国・地域別では、主力の中国・香港発が18%減の75・3万TEUと低迷したほか、韓国や台湾、インドなども前年割れだった一方、ASEANは全体で7%増の57・6万TEUで、最大シェアのベトナムは2%減の26・9万TEUだったが、高水準を維持した。日本発は9%増の6・3万TEUだった。
アジア域内スポット運賃、959ドル、2年ぶり高水準
ドゥルーリー(Drewry)が2024年9月から新たに始めたアジア域内スポット運賃指数(Intra-Asia Container Index)は、5月22日現在、40フィートコンテナ(FEU)当たり959ドルとなり、前週の939ドルから2%上昇した。6週連続の上昇で、2週前比では4%高、前年同週比では46%高い、ほぼ2年ぶりの高水準。燃料油価格の上昇や船舶の迂回運航、実効船腹量の逼迫、ホルムズ海峡周辺の混乱継続などが運賃上昇圧力になっていると指摘している。
主な航路別では、上海発ジャワハルラル・ネルー港向けが前週比23%高の1,450ドルと大幅上昇。シンガポール向けも9%高の947ドルだった。一方、タンジュンペレパス向けと横浜向けはそれぞれ1,591ドル、769ドルで横ばいだった。
IACIは上海発着のアジア域内18主要航路のスポット運賃を加重平均したもの。発着地のターミナルハンドリングチャージは含まない。2026年から週次発表となり、市況の短期変動を反映しやすくなっている。
中東海運情勢
日本船主協会の発表によると、4月29日午後4時時点でペルシャ湾で足止めになっている日本関係船は、41隻、日本人船員は13人であったが、5月26日の金子国土交通大臣の閣議後記者会見では、日本関係船舶1隻が、事実上封鎖されている中東のホルムズ海峡を25日に通過したと明らかにした結果、ホルムズ海峡以西のペルシャ湾内にとどまっている日本関係船舶は残り38隻となった。このうち1隻に日本人3人が乗船しているという。
コンテナ船社、大幅減益
最近出そろった世界の主要コンテナ船社の2026年1―3月期決算によると、前年同期に比べてのコンテナ運賃の下落、船腹供給増による需給緩和も重なって、多くの船社で大幅減益となった。燃油価格も上昇中、ペルシャ湾岸や中東向け貨物では、運航停止や抜港、迂回、積み替え、代替港への転送など、異例の対応が必要になった。これらにかかる運航費や燃料費、港湾・内陸費用、等々の手配費等は緊急燃油サーチャージや各種追加サーチャージの導入・引き上げなどでコスト回収を荷主に支払いを求めつつあるようだ。