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2026年3月チタンスクラップ輸出入統計分析 輸出は米国主導で底堅く、円安でFOB高止まり

2026/05/28 11:40
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為替相場推移 TTS 3か月

純チタン板スクラップ・合金チタンスクラップ国内相場推移(JPY/KG) 1年

 

(輸出詳細分析)
■数量では、3月単月は557トンと前月比91%へ小幅減少したものの、前年同月比では125%と前年超を維持した。米国向けは223トン(前月比68%)へ減少した一方、「その他」は324トン(同117%)と増加し、インド169トン、タイ58トン、台湾54トン、韓国22トン、ドイツ21トンなどアジア向け中心に分散需要が下支えした。英国向けは10トンへ小幅回復。
1-3月累計は1,569トン(前年比112%)と前年超を維持。米国734トン(前年比112%)が主軸ながら、その他820トン(同115%)も底堅く、「米国+アジア分散」型の輸出構造が定着しつつある。

(表―1、グラフ―1)。
 


■数量構成比では、米国向けが54%→40%へ低下し、数量も328トン→223トンへ減少した。一方、「その他」は45%→58%へ上昇し、再び最大シェアを回復。内訳では、インド169トン、タイ58トン、台湾54トン、韓国22トン、ドイツ21トンなどアジア向けを中心に分散需要が広がった。英国向けは1%→2%へ小幅上昇したが、水準はなお限定的。
結果として3月は、2月の米国主導型から「アジア分散回帰」へやや重心が移行した月と整理できる。


(グラフ―2)。
 


 
■金額では、3月単月は3億47百万円と前月比84%へ減少し、前年同月比でも88%と前年割れとなった。米国向けは1億80百万円(前月比61%)へ減少し、2月の反発は一服。一方、「その他」は1億65百万円(同146%)へ増加し、インド・台湾・韓国向けなどアジア分散需要が下支えした。英国向けは2百万円と限定的。
1-3月累計は10億47百万円(前年比87%)で、数量増(前年比112%)に比べ金額回復は鈍い。「数量は底堅いが、単価は伸び悩む」構図が続き、採算面ではなお調整色が残る。

(表―2、グラフ―3)。



 

■FOB単価は、全体平均で2月676円/kgから3月624円/kgへ低下し、円安進行にもかかわらず続落した。背景には、米国向けが898円→806円へ低下し、構成比も54%→40%へ縮小したことが大きい。一方、「その他」は411円→510円へ上昇したが、インド(393円/kg)やタイ(289円/kg)など低単価材比率がなお高く、全体押し上げ効果は限定的だった。
もっとも、中東紛争による燃料・物流コスト上昇を受け、中国のスポンジチタンや二酸化チタン価格は3月に上昇基調にあり、原料コスト転嫁圧力は強まっている。したがって3月のFOB軟化は市況悪化というより、米国向け単価調整と仕向け地ミックス要因による一時的な下振れと整理できる。


(グラフ―4)。


 

主要税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績

主要国別税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績


■今後の展望(チタンスクラップ輸出)
数量面では、米国向けが引き続き主軸となる一方、インド・タイ・台湾など「その他」向けはスポット性が強く、月次変動の大きい構造が続く見通し。3月は米国比率が低下したものの、累計ではなお輸出全体を支える中核市場である構図に変化はない。
価格面では、2026年春先に中東紛争の物流コスト転嫁を背景として二酸化チタンやスポンジチタン、フェロチタンが高値圏に上昇したが、5月入り後は最終需要不安から上値追いが一服し、原料系は横ばい~弱含みへ移行している。もっとも、チタンスクラップ自体は需給悪化による急落局面ではなく、ドル建てでは高値圏での持ち合いが基本となりやすい。
加えて、3月以降の円安進行が円建てFOB価格を下支えしており、今後も米国向け高単価案件の比率次第では円建て価格は強含みやすい。総じて、「需給はやや緩和、価格は円安で下がりにくい」という粘着的な高値圏相場が基本線となる公算が大きい。

 

(輸入詳細分析)
■数量では、3月単月は190トンと前月172トンから小幅増(前月比110%)となったが、前年同月比では97%と前年並み圏。2月の中国主導型から、3月は韓国品85トン(前月比773%)が急増し最大供給源へ浮上、中国品は34トン(同29%)へ減少した。米国品も24トン(同2,400%)と回復し、ドイツ17トン、バングラデシュ16トンなど「その他」も再開し、供給構造は再び分散化した。もっとも、1-3月累計は489トン(前年同期比86%)と依然前年割れで、中国品231トン(同166%)への依存はなお高い。
総じて、3月は中国一極集中がやや緩和され、韓国・米国・欧州系を含む多極化へ戻ったが、数量水準自体はなお回復途上で、供給構造の安定性には課題を残す展開となった。

(表―3、グラフ―5)。



 

■金額では、3月単月は2億02百万円と前月1億55百万円から増加(前月比130%)したが、前年同月比では89%と前年割れ。韓国品が81百万円(前月比713%)と急増し最大供給源へ浮上、中国品は31百万円(同29%)へ減少、米国品は44百万円(同2,377%)と回復した。「その他」も35百万円へ戻り、2月の中国偏重構造は緩和された。
■累計では、1-3月累計は4億84百万円(前年同期比75%)と依然低調。中国品205百万円(同131%)が最大ながら、韓国品92百万円(同71%)、台湾品59百万円(同55%)、米国品68百万円(同71%)はいずれも前年割れで、中国の増加だけでは全体を補い切れていない。
総じて、3月は韓国・米国品の回復で金額面も分散化が進んだ一方、年初累計ではなお前年割れが続き、輸入回復は限定的な段階にあると整理できる。

(表―4、グラフ―6)。
 


 

■輸入CIF単価は、全体平均で2月901円/kgから3月1,061円/kgへ上昇し反発。3月以降の円安進行も円建て単価を押し上げた。韓国品は1,031円→951円、中国品は916円→917円と横ばい圏だった一方、米国品は1,860円→1,842円と依然突出した高単価を維持し、数量も1トン→24トンへ回復。加えて、輸出側で確認された中東紛争由来の輸送コスト転嫁や加工品高も一定程度反映された可能性がある。結果として3月は、中国依存の緩和と高単価の米国・欧州系流入、円安要因が重なり、平均単価が切り上がった月と整理できる。


(グラフ-7)。


 

主要国別税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績

主要国別・税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績(  )内は前月実績


■今後の展望(輸入)
輸入面では、中国・韓国を中心としたアジア材が主軸となる構造が続く見通しだが、3月にみられた韓国品急増や米国・欧州系高単価材の流入再開が示すように、スポット調達色が強く月次変動は大きい。中国依存はなお高いものの、供給源は一極集中からやや分散化へ向かう可能性がある。
価格面では、中東紛争由来の輸送コスト上昇や加工品(スポンジチタン・フェロチタン)の高値維持、加えて3月以降の円安進行が円建てCIFを押し上げやすい。一方、5月以降は最終需要不安から国際市況の上値が重くなっており、ドル建て価格の急騰シナリオは描きにくい。
総じて、輸入市場は「数量はスポット要因で振れやすいが、価格は円安で下がりにくい」局面に入りつつあり、実需以上に為替と調達ミックスが価格形成を左右する展開が続く公算が大きい。


(IRUNIVERSE S. Aoyama)
本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意図したものではありません。

 

青山 雫

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