米国務省は5月26日、ホームページ上で、旧ソ連構成国であるアルメニア共和国との間で「重要鉱物および希土類の採掘および加工における供給確保のための両国間の枠組みに署名した」と発表した。輸送を含めて整備し、ユーラシア大陸からのレアアース供給網の確立につなげる。
■米国のサプライチェーン入り促す
マルコ・ルビオ米国国務長官がインドのデリーで行われたQuad会議に続く外遊先としてアルメニアを訪問し、同国のアララト・ミルゾヤン外相と対談した。
ルビオ氏は署名式で「重要鉱物へのアクセスだけでなく、それらを加工・精製して実用的な製品にする能力も、繁栄の未来にとって極めて重要だ。それを成し遂げられる国々は経済的自立を得て、21世紀のイノベーションの中心に立つことができるだろう。逆に、遅れをとる国々はその代償を被ることになる」と話し、アルメニアに米国のサプライチェーンに連なるように促した。
■要は「トランプ回廊」
もっとも、アルメニアは別段、レアアースの生産国ではない。主要鉱物は金と銅、モリブデンで、国土の70%が山岳地帯だ。
Ferroalli.netは5月29日、アルメニアについて「スカンジウム、テルル、レニウム、ゲルマニウム、セレン、そしてネオジム、セリウム、ランタンといったレアアースが微量埋蔵しているかもしれないが、規模は小さい」と指摘。米国の関心は「既存の銅モリブデンプロジェクトからの希少元素の抽出と加工に関係している可能性がある」と指摘した。
アルメニアの地図と主要鉱物


(出所:ともにJOGMEC)
さらに今回の会談の要はむしろ、同時に合意した「トランプ国際平和・繁栄ルート(TRIPP、トランプ回廊)」にあるだろう。これはアルメニア南部を横断し、アゼルバイジャンとその飛び地ナヒチェワン自治共和国を結び、さらにトルコに通じる全長43キロメートルの輸送回廊で、実現すればロシアやイランを通ることなく欧州とアジアをつなげることができる。
アルメニアとアゼルバイジャンは2025年夏の和平合意の柱にこのトランプ回廊の開通計画を含めた。米国務省は今回の発表資料でトランプ回廊について「貿易、交通、経済発展を支援しつつ、国際的・州間・州内の交通接続性を強化することを目的とする」と説明した。
■ロシア反発、6月の議会選挙に注目
ロシアはアルメニアの欧米接近に反発する。ロイター通信の5月26日報道によると、ロシアは5月25日、ルビオ氏のアルメニア訪問を前に、アルメニアがロシアに背を向ければロシア産ガスに対して支払っている「非常に魅力的な」価格を失う可能性があると警告していた。アルメニアは6月7日に議会選挙を予定する。