【概況】
5月26~29日のLME非鉄相場は高値圏でまちまち。銅は週中に買い戻しが入ったものの、月末の利益確定売りもあり13,600ドル台で小反落し、1万4,000ドル台回復は持ち越しとなった。アルミは在庫減少と現先バックワーデーションの100ドル超への拡大を背景に3,600ドル台後半へ続伸し、需給逼迫感が強まった。ニッケルは1万9,000ドル台を回復して続伸したものの、2万ドル台には届かず上値の重さも意識された。ドル円は159円台中心の円安圏で推移し、国内建値の下支え要因となった。COMEX銅は14,000ドル台の高値圏を維持し、NYプレミアム再拡大を背景とした米国向け現物流入観測も引き続き市場の注目材料となった。
(為替概況)159円台中心に高止まり 160円台定着は見送り(NY外為)
5月26日から29日にかけてのドル円は、159円台を中心に底堅く推移した。週前半は米金利高やFRBの利下げ慎重姿勢を背景にドル買いが優勢となり、一時160円台を試す場面もみられた。しかし、160円近辺では日本当局による為替介入への警戒感や利益確定売りが上値を抑制。米GDP改定値や個人消費関連指標をにらみながら神経質な値動きが続いた。
総じてみると、ドル高・円安基調は維持されたものの、160円台の定着には至らず、159円台後半を中心とした高値持ち合いの展開となった。円安基調は引き続き非鉄金属の国内建値を下支えする要因となった。東京外為ではほぼ160円台前半の進行となった。
東京外為市場

5月29日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=160.39円
前週末
5月22日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=160.19円
に対して20銭のドル高円安に。
【LME概況】
(カッパー)小反落も高値圏維持 1万4,000ドル台回復は持ち越し
5月29日、3Mは13,636.0ドルが終値。前週末(5月22日)終値13,667.5ドルに対しては31.5ドル安と小反落。なお、25日はLME休場。週前半は米・イラン情勢を巡る思惑や中国株安を背景に一時13,508ドルまで下落したが、その後は停戦協議進展期待や米株高を支えに買い戻され、28日には一時13,747ドルまで上昇した。もっとも、月末を控えた利益確定売りや手仕舞い売りが上値を抑制し、1万4,000ドル台回復には至らなかった。
COMEX銅先物は高値圏で持ち合い NYプレミアムは再拡大
5月26~29日のCOMEX銅先物は、14,000ドル台前半を中心に高値圏で推移。LME銅が13,600ドル台で伸び悩む一方、米国では関税観測やAI・電力インフラ向け需要期待を背景に買いが継続し、NYプレミアムは再び拡大傾向を示した。COMEX在庫は63万3977トンから64万0181トンへ増加したものの、価格は高値圏を維持。LME在庫減少とCOMEX在庫増加の対照的な動きが続いており、NYプレミアムを背景とした米国向け現物流入が引き続き意識される展開となった。
LMEカッパー相場推移(オフィシャルUSD/T)1カ月
キャンセルワラント比率は前週17%から30%へ急上昇し、3週連続で需給引き締まり観測が強まった。Trafiguraの5万トン引き出しによるものと推測される。一方、総在庫は前週39万3400トンから38万9525トンへ減少し、39万トン台を割り込んだ(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。COMEX在庫は前週63万3977トンに対し、週後半には64万0181トンまで一貫して増加した。

国内銅建値は前週末(5月22日)の2,250円で据え置かれ、月内は改定なく推移した。LME銅は週中に13,700ドル台まで買い戻される場面があったものの、週末は13,636ドルと小反落し、1万4,000ドル台回復には至らなかった。一方、東京外為ドル円は160円台中心の円安圏を維持して国内価格を下支え。LME銅の高値圏持ち合いと為替の円安が綱引きとなる中、国内建値は過去最高圏の2,250円で様子見色の強い展開となった。
LMEカッパーVS国内建値推移 1カ月
(アルミ)高値圏で続伸 現先逆ザヤ100ドル台で需給逼迫感強まる
5月29日3Mは3,666.5ドルが終値。前週末(5月22日)終値3,649.5ドルに対しては17.0ドル高と続伸。週前半は米・イラン協議進展期待から供給不安が後退し一時3,612ドルまで軟化したが、その後は中東情勢を巡る不透明感や押し目買いに支えられ反発。26日には一時3,707ドルまで上昇した。現先バックワーデーションは前週の80ドル台後半から101ドルへ拡大し、現物需給の逼迫感はむしろ強まった。供給不安後退観測がある一方、在庫減少と現物需要の強さを背景に、相場は3,600ドル台後半の高値圏を維持した。
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LMEアルミ(CASH/3M USD/T)1カ月
キャンセルワラント比率は前週17%から22%へ2週連続急上昇し、需給ひっ迫を思わせた。総在庫は前週34万1775トンから33万9350トンへ減少し、17週連続の取り崩しとなった(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。在庫減少基調は継続しており、需給引き締まり感が現先バックワーデーションを100ドル台に押し上げ、相場を下支えする構図に変化はない。

NSPは週初、前週末723円から725円へ小幅上昇してスタート。その後、LMEアルミが現先バックワーデーション100ドル超への拡大や在庫減少を背景に3,600ドル台後半の高値圏を維持したことを映し、27日には733円まで上昇した。もっとも、月末を控えた利益確定売りやLMEアルミの伸び悩みを受け、28日は725円へ反落。中東情勢を巡る供給不透明感や円安基調が引き続き下支えとなったものの、国内価格は高値圏での持ち合い局面に移行した。
LMEアルミVS NSP推移 1カ月
(ニッケル)高値圏で続伸 2万ドル手前で上値重い
5月29日3Mは19,062.0ドルが終値。前週末(5月22日)終値18,913.0ドルに対して149.0ドル高と続伸。週前半は一時18,755ドルまで下落したものの、その後は非鉄全般の反発や需給引き締まり観測を背景に買い戻しが優勢となり、28日には一時19,130ドルまで上昇した。月末の利益確定売りで上値は抑えられたものの、終値でも1万9,000ドル台を維持。2万ドル接近への期待は残る一方、上値追いの勢いはやや鈍化している。
LMEニッケル(CASH/3M、USD/T)1カ月
キャンセルワラント比率は前週4%から6%へ上昇、低位安定推移がやや和らいだ。総在庫は前週27万5562トンから27万8886トンへ増加(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。在庫水準自体は依然高いものの、需給引き締まり観測が下支え要因となり、ニッケル相場は1万9,000ドル台で底堅く推移した。

(鉛・亜鉛・錫)鉛は2,000ドル台回復 亜鉛は高値圏維持、錫は続伸
― 鉛3M は前週末(5月22日)終値 1,997.5ドル に対し、5月29日終値は2,016.0ドルと18.5ドル高。週前半は2,000ドル近辺でもみ合ったが、週後半にかけて買いが優勢となり、再び2,000ドル台を回復した。銅など非鉄全般の底堅い推移が支援材料となった。
LME鉛価格推移(オフィシャル,USD/T) 1カ月
在庫は前週26万4250トンから28万5700トンへ大幅増加し、10週ぶりのネットでの流入となった。(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週2%から4%へ上昇も、低水準推移が続いた。

国内鉛建値は前週末387円から、26日に3円引き下げの384円へ改定された。LME鉛は2,000ドル近辺を維持し、週後半には2,016ドルまで上昇するなど底堅く推移したものの、円建て採算や前週までの上昇に対する調整が優勢となった。もっとも、LME在庫の減少継続やドル円の159円台中心の円安圏推移が下支え要因となり、国内建値も高値圏を維持する展開となった。
LME鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 1カ月
― 亜鉛3M は前週末(5月22日)終値 3,543.0ドル に対し、5月29日終値は3,540.0ドルと3.0ドル安。週中には一時3,585ドルまで上昇したものの、その後は利益確定売りに押され小反落。ただ、LME・SHFE在庫の低位推移や銅相場の高値圏維持を背景に、3,500ドル台の高値圏を維持した。
LME亜鉛(オフィシャル,USD/T) 1カ月
在庫は前週10万9925トンから10万9950トンへ小幅増加、11万トン台近辺での低水準継続(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週15%から16%へ小幅上昇し、需給引き締まり観測が継続。LME・SHFE在庫はなお低位圏にあり、相場の下支え要因として意識される状況が続いた。

亜鉛国内建値は前週末622円から、26日に9円引き上げの631円へ改定された。LME亜鉛は週中に一時3,585ドルまで上昇するなど3,500ドル台の高値圏を維持し、需給引き締まり観測が継続。加えて、ドル円が159円台中心の円安圏で推移したことも支援材料となった。週後半はLME亜鉛が小反落したものの底堅さは維持されており、国内建値も前週の調整局面から再び上昇基調へ転じる展開となった。
LME亜鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 1カ月
― 錫3M は前週末(5月22日)終値 54,174ドル に対し、5月29日終値は55,418ドルと1,244ドル高。週を通じて堅調に推移し、一時55,855ドルまで上昇。AI・電子材料向け需要期待に加え、東南アジアの供給不安が引き続き相場を支え、5万5,000ドル近辺へ水準を切り上げた。
LME錫価格推移(セツル,USD/T) 1カ月
在庫は前週7985トンから8195トンへ増加し、3週ぶりのネット流入となった。(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週5%から5%へ横ばい。もっとも、東南アジア供給不安が意識される中、在庫水準自体は依然低位にあり、相場の下支え要因となった。

(マクロ経済・重要イベント)
―マクロ経済指標結果
【米国】
5月26日(火)
コンファレンスボード消費者信頼感指数(5月)
→市場予想を上回り、米個人消費の底堅さが確認された。米景気減速懸念が後退し、ドル円は159円台へ上昇。LME非鉄はドル高に上値を抑えられたものの、需要期待が相場を支えた。
5月27日(水)
住宅ローン申請指数(MBA)
→住宅ローン金利の高止まりを背景に低調な内容となったが、市場への影響は限定的。米長期金利は高水準を維持し、ドル円は159円台後半で推移。LME銅は一時調整後に買い戻しが入り、高値圏を維持した。
5月28日(木)
GDP改定値(2026年1-3月期)
耐久財受注(4月速報値)
新規失業保険申請件数
→GDPおよび耐久財受注は総じて米景気の底堅さを示す内容となり、FRBの利下げ慎重姿勢が改めて意識された。ドル高圧力が続く一方、AI・電力インフラ投資期待を背景にLME銅は13,700ドル台まで反発。アルミも需給逼迫観測から堅調に推移した。
5月29日(金)
シカゴ購買部協会景気指数(PMI、5月)
卸売在庫速報値(4月)
→製造業活動は依然として弱含みながらも改善期待が維持された。ドル円は159円台を中心に推移し、160円接近では介入警戒感が上値を抑制。LME銅は月末の利益確定売りで伸び悩んだが、AI・半導体需要期待や米国向け現物流入観測を背景に高値圏を維持した。
総じて、今週の市場は「米景気の底堅さ」と「FRBの高金利長期化観測」が主材料となった。NYドル円は159円台中心の円安圏で推移し、国内非鉄建値を下支え。一方、LME非鉄はドル高の逆風を受けながらも、AI関連需要や供給不安を背景に総じて底堅い推移となった。
【中国】 5月18日
4月は消費低迷続く 貿易好調も内需回復なお課題
• 消費低迷が鮮明
o 4月の小売売上高は前年同月比 0.2%増 とほぼ横ばい。
o 新車販売は 2.5%減 と低迷が継続。
o サービス業PMIは 49.4 と2カ月ぶりに50割れ。
• 不動産不況が続く
o 不動産開発投資は 13.7%減 と減少幅が拡大。
o 固定資産投資も 1.6%減 と低調。
o 景気低迷の根本要因である不動産問題は依然解決せず。
• 金融面でも需要不足
o 新規融資は前年比でマイナスとなり、企業・家計の資金需要の弱さが顕在化。
o 景気刺激策の効果は限定的。
• 物価は低位推移
o CPIは 1.2%上昇 にとどまり、需要不足を反映。
o デフレ圧力は依然残存。
• 製造業はかろうじて拡大維持
o 製造業PMIは 50.3 と好不況の分岐点を上回る。
o ただし3月の50.4からは小幅低下。
• 貿易は引き続き好調
o 輸出は 14.1%増。
o 輸入は 25.3%増。
o 外需が中国経済を支える構図が継続。
• 企業収益環境は改善
o PPIは 2.8%上昇 とプラス圏を維持。
o 長く続いたデフレ圧力には改善の兆し。
• 総合評価
o 「外需は強いが内需は弱い」 状態が続く。
o 不動産不況 → 投資停滞 → 消費低迷という流れが続いている。
o 今後の焦点は、輸出主導の成長を個人消費や民間投資の回復へ結び付けられるかにある。
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-今週の重要イベント
【中国】
6月1日(月曜日)
【中国】
製造業購買担当者景況指数(PMI)2026年5月(RatingDog)
6月3日(水曜日)
【中国】
サービス業購買担当者景況指数(PMI)2026年5月(RatingDog)
→中国では、製造業PMI(1日)とサービス業PMI(3日)が最大の焦点。製造業PMIは銅・アルミ・亜鉛など非鉄需要の先行指標として重要であり、景況感改善が確認されればLME銅や亜鉛の支援材料となる。一方、50割れや市場予想を下回る結果となれば、中国需要減速懸念が再燃する可能性がある。
【米国】
6月1日(月曜日)
【米国】
建設支出 2026年4月(商務省)
ISM製造業景況指数 2026年5月
6月2日(火曜日)
【米国】
新車販売台数 2026年5月
6月3日(水曜日)
【米国】
住宅ローン申請指数(MBA)
ADP雇用統計 2026年5月
製造業新規受注 2026年4月
ISM非製造業景況指数 2026年5月
FRBベージュブック公表
6月4日(木曜日)
【米国】
新規失業保険申請件数
6月5日(金曜日)
【米国】
雇用統計 2026年5月(非農業部門雇用者数・失業率)
消費者信用残高 2026年4月
→米国では、ISM製造業景況指数(1日)、ADP雇用統計(3日)、雇用統計(5日)が最大の注目材料。とくに雇用統計はFRBの金融政策見通しや米金利、ドル円相場を通じてLME非鉄市場に大きな影響を与える可能性が高い。強い結果となればドル高・金利高を通じて非鉄相場の重石となる一方、景気の底堅さによる需要期待が下支え要因となる。弱い結果となれば利下げ期待が強まり、ドル安を通じて銅やニッケルなどには追い風となりやすい。ISM製造業・非製造業指数やベージュブックも、米景気の実勢を測る重要指標として注目される。
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意
図したものではありません。