足元のタイヤチップ市況は、国産はサイズ別で需給が分かれる安定基調、輸入品は一定のプレミアムを伴う供給構造となっている模様だ。
国産は店頭ベースで、2インチが1~5円/kg、1.5インチが5~8円/kg、1.0インチが8円以上/kgの相場観である一方、輸入品(各港CY)は20~30円/kg前後で推移している。
輸入品は輸送費・ハンドリングコストに加え、品質の均一性・安定供給への対価として一定の価格水準が形成されており、ある商社関係者によれば、「廃タイヤの回収や中間処理が逆有償または有償であるかの違いも価格に影響してくる」(商社筋)とのことだ。今後については、「国内発生量の制約や需要増を背景に輸入材の役割が徐々に重要性を増す構造にシフトする可能性があると見ている」という。
中期的には人件費の上昇や物流コスト増加、処理・加工コストの上昇などから上昇基調となる見込み。ただし、価格はエネルギー価格(石炭・他の廃棄物燃料)やユーザーのコスト許容度とのバランスで決まるため、「合理的な範囲内での上昇」となるとみられる。
今後の需要拡大局面では、「供給ソースの確保や品質の均一化、ロジスティクス最適化が重要となり、単なる売買ではなく、需給をつなぐ“調整機能”の価値が高まる市場取扱機会・付加価値創出の双方が拡大する可能性がある」(同商社筋)という。
ホルムズショックの顕在化は時間の問題
各業界が対応を迫られているホルムズショックの影響については、現状こそ表面化してないものの、影響が生じるのは時間の問題といえそうだ。
タイヤの主原料の一つである合成ゴム(スチレン・ブタジエン)は、ナフサを原料とする石油化学製品であり、当然。原油動向の影響を強く受ける。すでにホルムズショックにより、原料コスト上昇・供給面の不透明感が強まっており、その結果としてタイヤメーカーの値上げ発表・消費側での買い控えといった動きも見られるようだ。このまま、状況が改善しなければ、廃タイヤの集荷にも影響が出てくる可能性も高い。
また、排出量取引制度(GX-ETS)の影響についても顕在化していないようだが、将来的にはタイヤチップ利活用の需要増につながる可能性も高い。SHK制度(温対法の報告義務)においては、調整後排出量がゼロカウントとなる利点のほか、熱量が高く品質が安定していることから、中長期的には需要の押し上げ要因となる見込みだ。ある事業者は、「『コスト+脱炭素』の両面で優位な代替燃料として採用が進む余地は大きい」と分析している。
(IRuniverse)