Mining weeklyの6月4日報道によると、仏資源大手エラメットのインドネシア子会社が同国北部の北マルク州で運営する鉱山でのニッケル鉱石生産を停止した。同国政府の減産方針に沿ったものだが、フィリピン産の輸入拡大につながれば財政への影響も考えられる。

報道によると、生産を停止したのは、エラメットが中国の青山集団およびインドネシア国営鉱山のアンタムと合弁で運営するウェダベイ(Weda Bay)ニッケル鉱山。既に1200万トンを生産し、インドネシア政府が設置する同社の鉱石生産枠(RKAB)に達した。同社は既に5月下旬から操業停止を始め、現在は従業員削減と鉱山メンテナンスを行っているという。ウェダベイ鉱山の減産開始については5月下旬に報道が出ていた。
関連記事:インドネシアのニッケル鉱石不足、IWIP工業団地で減産・メンテナンスを余儀なく
インドネシアはニッケル価格の維持と加工業への注力を目的にRKABを設置する。2026年のRKABは2億6,000万-2億7,000万トンで、2025年よりも3割少ない。ウェダベイ向けの2026年RKABは1200万トンだったがウェダベイは2025年には4200万トンを生産しており、このままだとウェダベイだけで3000万トンの供給不足になる。エラメットのインドネシア支社は、インドネシア当局と生産枠拡大を交渉中という。
もともと2026年のRKABはインドネシアのニッケル製錬協会であるFINIが推算するニッケル需要約3億4000万-3億5000万トンよりも小さく、原料不足が言われていた。加工業への注力のため、原料需要は高まっている。インドネシアは不足分をフィリピン産に頼っており、実際、フィリピンの1-3月期のニッケル鉱石輸出は6割増と大幅に増えていた。
関連記事:フィリピン、1-3月期のニッケル鉱石輸出量が6割増 インドネシア向けか、鉱業好調
輸入拡大はもちろん貿易赤字の拡大につながる。足元のインドネシアルピアは対ドルで過去最安値圏にあり、輸入負担は大きい。折しもインドネシアの金融市場は6月5日、中央銀行の独立性を警戒されて株と通貨、債券が同時に売られるトリプル安を付けた。
金融面で揺らぐ中、ニッケル鉱石の生産抑制はインドネシア経済全体に響く可能性がある。中長期には外資の投資意欲にも影響しそうだ。Mining weeklyはエラメットインドネシアのトップのこんな発言を伝えた。
「生産を削減し、延長を出さなければフィリピンからの輸入は大幅に増加するでしょう。なぜなら、ウェダベイ周辺に鉱石が不足しているからです...それは大きな代償になるだろう」