Loading...

自工会・嶋村部会長、自動車リサイクル法に性悪説を

2026/06/24 15:55
文字サイズ
自工会・嶋村部会長、自動車リサイクル法に性悪説を

嶋村部会長

 

日本自動車工業会でリサイクル・廃棄物部会部会長を務める嶋村高士氏は22日、都内で開催された日本自動車リサイクル機構(JAERA)の懇親会に来賓として参加。挨拶の場で、自動車リサイクル高度化財団で実施している解体業の実態調査の内容について言及し、「性悪説で規制を作ることも必要」と考えを示した。

嶋村氏によれば、同調査において優良な外国籍の解体事業者に周囲に潜む違法業者や自動車盗難犯の動向について聞き取り調査を行ったところ、万が一、違法行為で逮捕されて2~3年刑に服したとしても、1台500万円するランドクルーザーを100台盗難すれば5億円稼げるため、「日本の刑務所に入るぐらいはどうってことない」という話もあったという。また、アンケート調査では、「廃掃法は規制が厳しく、それに対し自動車リサイクル法は緩いため外国人の違法業者は自動車リサイクル法に目をつける」といった趣旨の回答もあったという。

嶋村氏は「自動車リサイクル法は国内の優良事業者をベースとして、性善説に則って運用されてきた」と前置いた上で、「グローバルな視点で考えれば、性悪説も必要ではないか」と考えを示した。

嶋村氏が指摘した「性悪説」への転換は、もはや避けて通れない課題となっている。背景にあるのは、巧妙化する窃盗団の手口や、国内の貴重な資源が不透明な形で海外へ流出しているという強い危機感である。刑罰を「経費」の一部と捉えるような犯罪集団に対して、従来の信頼に基づく枠組みは限界を迎えている。法規制の隙間を突く違法業者の存在は、真面目に従事する国内の優良事業者の経営を圧迫するだけでなく、日本のリサイクルシステムそのものの根幹を揺るがしかねないといえる。

 

JARP・樋口理事、「輸出前検査の導入を」

 

 

また、同懇親会で乾杯の挨拶を務めた自動車再資源化協力機構(JARP)の樋口勝敏業務執行理事も現行制度の問題点について触れ、JAERAが提唱している輸出前検査の必要性を訴求した。

同氏は、「国内の使用済み自動車の大きな減少とそれに相反するように増える中古車輸出というのはかなり大きな課題となっている」と強調。「輸出前検査が実行されれば、自動車の基本性能を揃えた品質の確かな中古車のみが海外に適正に輸出されて、向こうの地で元気に活躍するほか、検査を通過しない車両も適正に国内の資源循環サイクルに加わる」と見解を述べた。

JAERAは自動車リサイクル法を見直すための審議会において、輸出前検査の必要性を繰り返し主張していたが、9日に公表された取り纏め報告書の草案では、輸出前検査の実装を検討する旨の記載はなかった。

草案が公表された会合では、JAERAの石井浩道代表理事が再検討を求めたが、経産省からは「まず違法性のあるものからちゃんと取り締まっていくことが大事だと思う。その上で、海外輸出抑制の観点から、プラスαで何ができるかを真剣に考えていきたい」という回答に留まり、前向きな回答は得られなかった。

行政側が「既存の取締りの強化」を優先する姿勢を崩さない一方で、業界側は制度的な裏付けなしには実効性が上がらないと強く危惧している。盗難車ビジネスの収益性の高さや、他法に比べて自動車リサイクル法の規制が「緩い」と見なされている現実がある以上、現行法が直面している課題は極めて深刻といえるだろう。

【関連記事】
自動車リサイクル4団体が連携「窓口を一本化」―JAERA懇親会

Kota Kuribara

関連記事

新着記事

ランキング