7月15日から17日までの3日間、東京ビッグサイトで「TECHNO-FRONTIER 2026」が開催された。同展示会はモータや電源、EMC、制御、熱設計、部品設計・加工などの要素技術から、工場全体の見える化・最適化を実現するDXソリューションまでを網羅する国内有数の展示会である。
本稿ではモーション・エンジニアリング展で注目を集めたTechShareによるヒューマノイドロボット「Unitree G1」の実機展示と、テスラ車両の分解展示を交えながら紹介されたEV技術の技術変遷について紹介する。
小型ヒューマノイドロボット「Unitree G1」のダンスパフォーマンス

TechShare(本社:東京都江東区、代表取締役:重光貴明氏)は、2012年設立のテクノロジーベンチャー企業であり、ロボットアーム事業、UGV・AGVや電動4足歩行ロボットなどを扱う移動ロボット事業、シングルボードコンピュータやセンサーを販売するSBC事業の3分野を中核として事業を展開している。
同社は中国・杭州市のHangZhou YuShu Technology Co., Ltd.(Unitree Robotics)の日本国内正規代理店として、同社製ロボットの販売や導入支援、技術サポートを提供している。Unitree Roboticsは2016年に設立され、低価格かつ軽量で安定した運動性能を備えた電動4足歩行ロボットの量産で実績を築いてきた。現在は4足歩行ロボットに加え、小型ヒューマノイドロボット「Unitree G1」をはじめとする最先端ロボットの開発にも注力しており、急速な成長を続けている。
本展示会では、TechSareのUnitreeチームが小型ヒューマノイドロボット「Unitree G1 Basic」」を展示。同製品は数多ある中華製ヒューマノイドロボットの中でも性能はトップクラスとのことで、二次開発に対応したモデルで研究開発や教育用途をはじめとする幅広い分野での活用が期待されている。Unitree G1 Basicの主な仕様は身長130cm、重量35kg、23~43個の関節用モーターを搭載して落ち、広い関節可動域を実現している点が特徴である。また、9000mAhの着脱式バッテリーを採用しており、約2時間の連続駆動を可能としている。そのほか、コントローラーはゲームコントローラーに近いデザインで操作が直感的にできる。
展示では挨拶などの基本動作に加え、滑らかなダンスパフォーマンスを披露した。自然で安定した動きは多くの来場者の注目を集め、コミュニケーションロボットとしての可能性と高度な運動性能を印象付けた。近年はダンスや接客、イベントでの演出など、人とのコミュニケーションを重視したヒューマノイドロボットへの需要が高まっており、商業施設やテーマパーク、展示会、教育機関などでの導入が進みつつある。特に、ダンスは高いバランス制御や全身協調制御が求められるため、ロボットの運動性能を分かりやすく示すデモンストレーションとしても活用されている。

なお、TechShareは国内正規代理店として、Unitree Robotics製ヒューマノイドロボット「Unitree G1」の日本国内向け販売を2024年6月3日に開始しており、価格は約800万円だという。今回の展示はヒューマノイドロボットの普及拡大と関連市場の成長を背景に、TechShareが国内市場におけるUnitree Robotics製品の普及を推進する姿勢を示す機会となった。
EV技術の進化を俯瞰 テスラ分解展示と中国OEMの最新動向を紹介

ヒューマノイドロボットの展示と同会場では、EVの技術変遷をテーマとした展示もされた。
インバーターおよび車載充電器の技術変遷
パワー半導体モジュールの片面冷却構造が主流となっている。中国メーカーではInfineon製品をベースとしたパワー半導体モジュールの採用が進んでいるほか、テスラはSiCパワー半導体の冷却構造を改良し、高効率化を図っていることが示された。
また、降圧DC-DCコンバーターとの統合が進展している。中国OEM各社では設計の共通化が進み、部品の標準化やコスト削減を目的とした開発が加速していることが紹介された。
駆動ユニットの技術変遷
駆動ユニットでは、高電圧部品を一体化する集約設計が大きな潮流となっている。中国OEM各社では駆動ユニットへ機能を統合する動きが加速しており、BYDは「8 in 1」に続いて「12 in 1」の統合システムを採用した車両を投入したほか、Geelyもより高い統合化を実現したシステムを市場投入している。一方、テスラは従来通り、高電圧関連部品を電池パック上部へ集約する設計思想を維持している。
モーターの技術変遷
テスラは2015年頃から、地政学リスクへの対応を見据えてレアアース使用量を削減したモーターの開発を本格化させた。このため、テスラ製EVの一部のモデルでは、駆動モータにネオジム磁石を用いた磁石同期モーター、非駆動輪には磁石を用いない誘導モーターを採用している。
展示会では、2024年発売の「Cybertruck」に搭載されているフロントモーター(非駆動輪:誘導モーター)とリアモーター(駆動輪:永久磁石同期モーター)の分解展示もなされた。テスラは両方式でモーターケースや減速機、インバーターなどの構成を共通化し、生産効率やコスト競争力の向上を図っている。また、磁石モーターと誘導モーターではローター構造が異なるものの、ステーターの共通化が進められている。

実際に両モーターの分解展示を確認すると、ステーターが共通設計となっていることからほぼ同じような外観となっており、高さ方向の違いは積層厚の変更によって対応していることが確認できた。こうした設計は、部品点数の削減や生産効率の向上を目的とした共通化戦略の一例として注目を集めていた。
車載電池の技術変遷
車載電池では、中国OEMを中心にリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の採用が拡大していることが紹介された。近年はCTP(Cell to Pack)構造や大型ブレードバッテリーの採用によってパック効率が向上し、LFP電池でも三元系リチウムイオン電池に迫る体積エネルギー密度を実現している。安全性やコスト競争力を兼ね備えたLFP電池は、中国市場だけでなく世界市場でも採用が拡大しており、今後のEV普及を支える主要技術の一つとして存在感を高めている。
(IRuniverse Midori Fushimi)