J&T環境株式会社のリサイクル・廃棄物処理について 影山嘉宏氏
先月の29日、東京竹橋で行われたIRRSG例会でJ&T環境株式会社取締役専務執行役員、東京事業本部長、影山嘉宏氏が、自身の経歴を交えながら、同社の行う廃棄物処理、リサイクルについて語った。以下はその要旨。
影山氏は、1982年に東京電力に入社して以降、1997年に電気事業連合会へ異動。
当時COP3が行われ、京都議定書がまとまった時期でもあった、この頃日本では、環境省、経産省が中心となって、地球温暖化対策の会議が行われたという。それを肌で感じた影山氏は
「こんなにも地球温暖化が深刻になっているという実感が湧いた。」と話す。
また、その後、日本のCOP3での、CO2削減率6%カットが決定し、日本がこれをどう達成するかが、業界では大きな話題だったという。
影山氏は、2006年時点で東電に戻り、同社の環境部長と電気事業連合会の環境専門委員会の委員長を務めており、2010年の温暖化防止の目標達成の責任者として、多くの議論を交わしてきたが、当時原発のデータ改ざん、地震による原発の稼働率低下などを受けて、アジア諸国等の各国のCO2クレジットを買う「京都クレジット」の使用によって、この急場をしのいだと話す。
影山氏は
「日本でクレジットを一番買ったのは私だったのではないか。」と話している。しかし、その後2011年に東日本大震災が起こり、クレジットが暴落し、非難の的になったことを明かしている。
この頃、中央環境審議会では、CO2排出取引ビジネスなどの話し合いなどが行われ、CO2削減に対して、電力業界がどのような対応を迫られるかというのが一つのトレンドであったというが、影山氏は、その結果原発推進という意思表示をしていたという。
その折、2011年に東日本大震災の発生により、福島第一原発の事故が起き、汚染廃棄物の処理、除染洗浄等の責任者として、自治体と国と連携し、その最前線に立っていたという。
中環審の環境部の中心になっていた影山氏は、福島への対応の多忙さから、その立場から退こうとしたが、原発推進した第一人者という事もあり、周囲から大きな非難があったという。しかし、福島への対応を優先した結果、退任したという。
3年後には、福島第一原発の汚染処理が落ち着いた事もあり、当時データ改ざん、隠蔽が非難の的になっていたため、東電の情報公開の責任者として、福島に出向いたという。
2016年に東京リサイクルパワーの社長になり、2019年4月にJFE環境と東京リサイクルパワーが合併して誕生した「J&T環境」の専務執行役員に就任したという。
この会社は、売り上げ規模業界5位のJFE環境とランク外(47位)の東京リサイクルパワーが合併し、業界4位に浮上した廃棄物処理会社であるという。
合併当時、東電、JFEの子会社が合併したことにより、センセーショナルに言われたという。この合併は、JFE64%、東電(JERA)側が36%という出資比率になっているが、PCB処理、産廃、医療廃棄物の強化が事業領域内として強化されたという。
影山氏は
「なぜ、この二社が合弁会社を設立したかという質問が多いが、実は東電とJFEは、廃棄物処理、下水汚泥、バイオマス発電の方面で、アライアンス契約をしていた。また東電側が、福島の一件以降、様々な領域で仕事を広げていこうという動きがあり、その中で合弁会社を作り、廃棄物処理へ領域を広めた結果が、同社誕生につながった。」と話す。
年々増加する客からの問い合わせ
同社の所有する設備(東京臨海エコクリーン)は、廃棄物処理量550トン/日を誇る大規模設備だが、最近では医療廃棄物の処理量が年々増加し、逆に2016年を境に、産廃は頭打ちだという。この要因としては設備の稼働率低下や、定期修理があるが、影山氏は
「最近、顧客からの問い合わせが非常に多い。もっと受け入れをしてくれないかという内容だが、これは明らかに中国の輸入規制による影響。今後は自治体と協力して、解決の糸口を見つけないといけないが、例えば、サーマルリサイクルなどの質の高い焼却を目指す必要もあると考える。」と話した。
また講演終了後、司会の外川氏から、処理コストを上乗せすれば処理量が増えるのか。という質問に対し。
「処理コストについては、確かにそれはできるかもしれないが、我々は信頼で仕事をさせていただいている身なので、処理コストの上乗せを顧客の負担増、という答えならば、それはできない、というのが我々の意見。」と話した。
(IRUNIVERSE Hatayama)
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