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ヤマシンフィルタ(6240) 20/3Q1決算メモ コロナで赤字転落も高機能マスクで活路

2020.09.24 08:49

 21/3Q1はコロナ影響で赤字転落も着々と総合フィルタメーカーへの脱皮進展。コロナを逆手にとり高機能マスクを開発。

 

 

要 約

 ・21/3Q1はコロナ影響受け、既存事業不振で4.3%増収ながら0.98億円営業損失に

 ・21/3期は既存事業にヘルスケア加え18.4%増収58.2%営利増予想に増額修正は不安残る

 ・22/3期は既存事業の増収増益回帰に加え総合フィルタメーカーとして新たな成長期に

 

 

グラフ21/3Q1はコロナ影響受け、既存事業不振で4.3%増収ながら0.98億円営業損失に

 建機用油圧フィルタトップシェア(70%)を誇り、現在、2017年に開発した幅広い分野で活用できる「ナノフィルタ」を中心に、グローバル展開とM&Aなどで総合フィルタメーカーを目指すニッチトップ企業。

 

 21/3Q1は売上高28.58億円(4.3%増)ながら営業損失0.98億円(2.15億円悪化)、経常損失1.01億円(2.0億円悪化)、税引損失0.82億円(1.43億円悪化)と、コロナ影響を受け既存ビジネス低迷を余儀なくされた。

 

 事業別では主力の建機用油圧フィルタ事業が売上高21.94億円(19.9%減)営業損失1.44億円(2.61億円悪化)となった。各国でコロナ影響からロックダウンが発生、主要顧客の生産、サプライチェーンに大きな支障がでて大幅減収に。地域別では日本が10.86億円(20.0%減)、北米2.95億円(36.2%減)、欧州2.13億円(19.3%減)、アジア(除中国)2.74億円(15.8%減)など軒並み2桁減に。中国は建機市場が好調も、同社シェアがまだ低く3.25億円(1.2%減)に止まった。利益面では 主力のフィリピンセブ工場がロックダウンを受け、佐賀工場で一部代替生産(今後、ベトナム含め生産拠点再配置を計画)などを行い、航空便などの経費増もあり、売上減と経費増(1.85億円)が直撃した。

 

 昨年8月より加わったエアフィルタ事業(アクシー)は売上高6.63億円、営利0.45億円を計上した(Q4比3.8%減収、14.8%営利減)。

 

 

グラフ

 

 

グラフ21/3期は既存事業にヘルスケア加え18.4%増収58.2%営利増予想に増額修正は不安残る

 会社側では期初、売上高130億円(2.6%増)、営利5.9億円(24.1%減)、経常利益5.6億円(7.2%減)、税引利益3.4億円(44.1%減)予想としていた。しかし今回、コロナ対策として新たに感染対策用マスクビジネスを始めたことで、売上高20億円、営業利益、経常利益を6.4億円、税引利益で4.5億円上乗せし、売上高150億円(18.4%増)、営利12.3億円(58.2%増)予想とした。

 

 事業別では建機用油圧フィルタが売上高100億円(11.5%減)、営利3.0億円(54.1%減)予想。内外の建機需要が中国を除き低迷、2020年の販売台数が10~20%程度減少するとの予想が出ており、同社の地域別でも国内45.87億円(15.4%減)、北米20.81億円(10.0%減)、欧州8.45億円(20.7%減)予想としている。一方、中国は12.12億円(3.3%増)を見込む。同社は建機用油圧フィルタで世界シェア70%を有するが、中国向けは単価競争が厳しく、従来は積極的な展開を避けてきた。

 

 

グラフ

 

 

図 しかし昨今の中国市場は巨大化しており、しかも外国勢がシェアを失う中で市場が急拡大、同社も積極的に市場を取りに行く姿勢に転換した。具体的には2016年に中 国最大手の三一重機と直接取引を開始、21/3Q1現在、中国現地企業の39%までシェアを拡大、21/3期末には62%までシェア拡大を図る計画。

 

 但し、コロナ影響で、第4次の建機環境規制開始が20年末から21年末、更には22年末にずれる観測もあり、実際には今期の寄与は小さく、非中国メーカーへの供給が大きく落ち込む分 を補えず、21/3期は小さな伸びにとどまる見通し。

 

 昨年M&Aで獲得したアクシーのエアフィルタ事業は売上高30億円、営利2.9億円を見込む。アクシーは従来9月決算であり、Q1までの9か月累計売上高は20.41億円、営利1.69億円となっている。受注環境は堅調とのことであるが、多少、収益見通しが楽観的と判断される。

 

 今回、増額修正したのが新規事業のヘルスケア事業。経産省のコロナ対策としての令和2年度「マスク等生産設備導入支援事業補助金事業に応募、年産180万枚供給する計画が採択された。「超高捕集効率」と「性能持続性」という特長を持つ合成高分子系ナノファイバーを利用し、国産マスク、マスクシートを開発、5/18より販売を開始した。

 

図 同社サイトに加え、紳士服コナカの「洗える立体マスク」向けにフィルタシートを供給、更にで「アジャスター付きダブル抗菌・洗えるクールマスク」向けにシートも供給、9月にはヤマシンオリジナルマスク「ヤマシン・フィルタマスク Zexeed(ゼクシード)」のEC販売も開始した。また10月からはドラッグストアで量産供給を始め、21/3期売上高20億円、営利6.4億円を見込む。

 

 実際に10月から販売するが、市販で825円(3枚入り)とのこと。現状、国産マスクが不足している中で、販売実績が上がるかは未確定要素も多く、この業績上乗せはあくまでもMAXの数字とみられる。

 

 上記の状況から、会社予想はかなり希望的観測が多いように感じられ、21/3期業績は会社計画に対しかなり下振れするとみられる。

 

 

グラフ22/3期は既存事業の増収増益回帰に加え総合フィルタメーカーとして新たな成長期に

 22/3期は主力の建機用油圧フィルタについて、中国では第4次環境規制の開始を睨んだ新製品開発が加速し、高機能要求が強まる中で、同社の油圧フィルタシェアが急速に拡大しよう。規制が1年遅れとなっていることから、売上計画は1年ずれ、22/3期には23億円まで拡大が期待される。中国以外については緩やかな回復に止まるとみられるが、全体として2桁増収が見込める。

 

写真 エアフィルタ事業について、アクシーが国内粗塵フィルタ市場(マーケット規模約82億円)で第2位、中・高性能フィルタ市場で5位のシェアを持つが、市場成長率は3.5%程度と伸び率は高くない。このような環境下で、ヤマシンの持つナノフィルタを利用し、新製品投入によるシナジー効果で市場成長率を上回る伸びが期待される。

 

 新たに立ち上げたマスク事業は、性能面でN95マスク(米国労働安全衛生研究所の規格)の性能基準である①捕集効率95%以上、密閉性を満たす密着率90%以上、長時間装着可能という3大性能を満たしており、今後、一般向けに加え、医療用などへの展開も期待される。このため、22/3期には年間20億円規模の売上も十分期待されると判断した。このほか、2017年に自社開発した新素材のナノフィルタを利用して、農業分野(ビニールハウスの保温資材)、アパレルメーカー数社に断熱素材(ダウン代替)、自動車の吸音材など、総合フィルタメーカーとして事業領域の拡大を推進し持続的な成長が期待される。

 

 なお、これらの事業拡大に際し、今回、9/25を割当日として第三者割当による行使価格酒精条項付第5回新株予約権を発行することとした。調達額は116億円、発行による潜在株数は950万株(当初行使価格1,220円)となる。また同資金調達資金の使途は「グリーンボンド原則2018」、「ソーシャルボンド原則2018」、「サスティナビリティボンド・ガイドライン」の特性に従うものとして、第三者評価機関の日本総研からセカンドパーティ・オピニオンを取得している。

 

 改めて、同社グループは成長戦略の推進にあたり、主力の建機用油圧フィルタではロングライフ製品の投入、リターナブル製品の拡販により、地球環境保全に貢献していく。またエアフィルタにおいては低圧損で高捕集率のフィルタ投入で使用電力の低減によるCO2削減、クリーン環境、健康被害リスク低減などを実現、さらに高性能マスクは日米欧の認証取得の加速により、持続的な社会生活実現に向けた企業貢献も果していく方針。このような活動などもあり株価がかなり先行して評価しすぎている感があるものの、今後「SDGs」でも注目される企業となってこよう。

 

 

表とグラフ

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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