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世界の3Dプリンターメーカー・ストラタシス(アメリカ)2

2020.09.25 10:27

世界の3Dプリンターメーカー・ストラタシス(アメリカ)1」からの続き

 

 

・苦戦する新製品開発、医療業界への進出

 IBMのラピッドプロトタイパー事業買収後、ストラタシスは新型3Dプリンターの開発に乗り出す。1996年には買収したIBMの技術を活用し、「ジェニシス3Dプリンター」シリーズをリリースする。ジェニシス3Dプリンターは、当時業界初の価格10万ドル以下の3Dプリンターで、5万ドルという低価格が話題の製品となった。

 

 しかし、ジェニシス3Dプリンターは素材のプラスチックウェハーが十分に溶融せず、ノズルが詰まるというトラブルが続出した。また、造形されたモノの外囲に反りがしばしば生じ、ユーザーからのクレームが殺到した。それゆえ、ストラタシスはジェニシス3Dプリンターをわずか150台販売しただけで製造を中止した。しかし、その後ストラタシスは問題点を克服し、リデザインした「ジェニシスX3Dプリンター」を1999年に再度リリースしている。

 

 1997年にはFDA(米国食品医薬品局)より自社3Dプリンターの医療機器承認を受け、医療業界への参入を果たしている。これにより、医療関係者がMRIやCTスキャンで撮影された医療データを3Dプリンターで出力し、医療モデルにして活用することが可能になった。医療業界への進出以来、ストラタシスは医療業界を同社における主たる事業活動領域の一つとし、現在に至っている。

 

 

・ディメンション3Dプリンターシリーズのリリース

 ストラタシスはその後、2002年にディメンション3Dプリンターシリーズをリリースする。ディメンション3Dプリンターシリーズは、プラスチックフィラメント(プラスチックをリール状に巻いたもの)をノズルで溶融して造形するという現在一般的なFDM方式の3Dプリンターの原型となるシリーズで、当時としては破格の価格3万ドルを実現した画期的な3Dプリンターであった。ディメンション3Dプリンターシリーズはネットワークにも接続可能で操作も簡単、しかも比較的低価格でもあり、各種の産業セクターの研究開発施設などに多く導入されることとなった。

 

 ディメンション3Dプリンターシリーズの成功により、ストラタシスは3Dプリンティング業界のリーディングカンパニーとしてのポジションを確たるものにしたと言っていいだろう。NASDAQに上場しているストラタシスの株価は上昇し続け、それに対応する形でストラタシスは株式の分割を繰り返した。それにより、2003年までにストラタシスの発行株式数は1020万株まで増加している。

 

 

・Eden3Dプリンターシリーズの販売開始

 ディメンション3Dプリンターシリーズのリリースに続き、ストラタシスは2003年からイスラエルのオブジェット・ジオメトリーズが開発したEden3Dプリンターシリーズの販売を開始している。Eden3Dプリンターシリーズはインクジェット技術を活用した3Dプリンターで、各種の素材をもとに最小16ミクロンの造形精度で造形が可能な画期的な3Dプリンターであった。

 

 ディメンション3Dプリンターシリーズの成功に合わせ、Eden3Dプリンターシリーズもストラタシスにさらなる成功をもたらす大ヒット3Dプリンターとなった。同社の売上は2002年までに5000万ドルに、純利益は620万ドルにそれぞれ達している。

 

 

・オブジェットとの合併、メーカーボットの買収

 ストラタシスは、2012年にディメンション3Dプリンターシリーズの開発元のオブジェット(オブジェット・ジオメトリーズから社名変更)と合併し、経営統合している。オブジェットは未上場企業であるため同社の時価は明らかにされていないが、業界関係者によると、経営統合前の時価総額はストラタシス16億3千万ドル、オブジェット14億ドルで、経営統合後の新ストラタシスの時価総額は30億ドルに達するという。なお、新ストラタシスのCEOにはオブジェットのCEOのデビッド・ライスが就任し、ストラタシス創業者でCEOのスコット・クランプは同社の会長に就任している。

 

 経営統合の翌年2013年には、ストラタシスはレップラップベースのデスクトップ3Dプリンターメーカーのメーカーボット・インダストリーズを4億ドルで買収し、傘下に収めている。4億ドルという買収額は、メーカーボット・インダストリーズの当時の売上や時価総額などを見るに相応に高いという評価が多かったが、連結ベースでの売上が欲しいストラタシスの財政的必要性から買収が行われたとする見方が多い。

 

 ストラタシスは、2014年にも3Dプリンティング・サービスビューロー大手のソリッド・コンセプトとハーベスト・テクノロジーズも買収し、傘下に収めている。両社の買収により、ストラタシスは3Dプリンターメーカーというポジションから、3Dプリンティング・サービスビューローの領域への進出を果たしている。

 

 ストラタシスはその後、イスラエルの大型FDM3DプリンターメーカーのMassivit 3Dや、AIベースのアディティブ・マニュファクチャリング・プラットフォーム開発のインクビットにも出資するなど、M&Aの攻勢をさらに強めている。ストラタシスの攻めの経営は今後も続くと見られ、3Dプリンティング業界の雄としてのポジションをさらに強化してゆくものと予想される。

 

 

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前田健二 (Kenji Maeda)

 経営コンサルタント・ビジネスライター。大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスでビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わる。アメリカのニュービジネス事情に詳しく、3Dプリンター、ロボット、ドローン、ITにおけるニュービジネスを研究、現地のネットワークから情報収集している。

 趣味は料理。好きなお酒はビールとウィスキー。

*3Dプリンターに関するアドバイスのご用命は→ info@iruniverse.co.jp(窓口:川合)

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